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133 力の体現者 絶望のマリア編7 執念の果てに掴む終章


 紅蓮、白銀、そして漆黒。


 三つの規格外の魔力がぶつかり合う中心で、シンディ・バーンズの意識は白熱していた。


 全身の皮膚がエネルギーの逆流で裂け、真紅の竜鱗装甲『クリムゾンスケール』がパキパキと音を立てて崩壊していく。対する『切望のマリア』の神魔混載の姿もまた、紅蓮の炎に焼かれてその半身の翼を炭化させていた。だが、マリアの瞳は未だ狂気的な悦びに濡れ、神魔の槌をミリ単位で押し返し始めている。


「あはははは! 素晴らしいわシンディ! でも、私の神魔二重奏(ドゥオ・カルマ)からは逃れられない! 終わりよ、私の一部になりなさい!」


「……誰が、終わるって……言ったよ……!」


 シンディは血を吐きながら、奥歯が噛み砕けんばかりに力を込めた。

 脳裏を過るのは、これまで積み上げてきた己の戦い、そして「俺様が最強だ」という絶対的なプライド。ここで敗北することなど、彼女の魂が、執念が、断じて許さなかった。


「お前みたいなイカれた変態に……俺様が、負けるわけねえだろぉぉぉッ!!」


 シンディの心臓が、限界を超えた爆発的な鼓動を打った。


 クリムゾンスケールの残骸が、彼女の右脚へと一気に収縮していく。それはただの魔力の集中ではない。マリアが放つ『ダイダロス』の絶対的な質量――その重圧とエネルギーの流動を、シンディの戦術直感が、この極限状態の中で完璧にラーニングし、己の脚へと強制的に同調(シンクロ)させたのだ。


 お前の強さが「圧倒的な質量」なら、俺様の脚をそれ以上の「絶対的な質量」へ変えて叩き潰す。


 キィィィィィン――!!


 シンディの右脚の周りで、空間が不自然に歪み、重力が逆転した。真紅の炎は限界まで圧縮され、文字通り星の核(コア)さながらの高密度な超質量の質量兵器へと昇華していく。


「な、に……これ……!? 質量が……私のダイダロスを、上回って……!?」


 マリアの顔に、初めて本当の「絶望」が走る。


「往けぇぇぇぇッ!!」


 シンディは閃光となった。


 神魔の光を強引に踏み潰し、マリアの胸元へと右脚を突き出す。それはもう、ただの蹴りではない。天を突く城塞の杭が、音速を超えて撃ち込まれるかのような絶対の質量の一撃。


「『プロミネンス終章――ダイダロスバンカー』ッ!!」


 ドッゴォォォォォォォォン!!!


 世界の終わりを思わせる大爆音。

 マリアが必死に掲げた神魔の巨槌は、シンディの右脚が触れた瞬間に硝子細工のように粉々に爆砕した。光と闇の翼は引き裂かれ、絶対的な破壊の衝撃波がマリアの全身を貫通する。


「あ、あはは……っ。……最高の、絶望、だわ……」


 マリアは血の泡を吹きながら、糸の切れた人形のように後方へと吹き飛び、崩落した瓦礫の奥深くへと沈んでいった。神魔の光は完全に霧散し、戦場には完全な静寂が訪れる。


「ハァ、ハァ、ハァ……ッ……!」


 クリムゾンスケールの装甲が光の粒子となって消え去り、通常の姿に戻ったシンディは、その場に激しく膝をついた。


 両脚のハイフリード・ギアからは激しい火花と黒煙が上がっている。全身はボロボロで、指一本動かすのも億劫なほどの疲労感が襲っていた。


 だが、シンディの唇は、不敵な笑みを刻んでいる。


「チッ……、手古摺らせやがって。……勝ったのは、俺様だ」


 壊滅した戦場の中、シンディは自分の脚を見つめた。


 今、彼女の脚には、死闘の果てに敵の特性すらも奪い取り、自らの力へと昇華させた新たなる最強の足技――『ダイダロスバンカー』の感覚が、確かに刻み込まれていた。




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活動報告に全体のストーリーラインを上げてますので、良ければ見ていってね~! 小説家になろう 勝手にランキング
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