110 青春の魔法学院編1 王立魔法学院ウェスタ
じわじわと暑い季節が続く中、大陸の中央に位置する、王立魔法学院、ウェスタがある。炎の女神の名をとっているこの学院は平民から名門貴族まで、さまざまなニンゲンが最高の魔法使いになるために、日々研鑽を積んでいる。
今日も時間ギリギリで登校するのは、まだ1年生になって間もない攻撃魔法科のシンディ・バーンズが、カバンを肩に後ろ手で持ちながら、めんどくさそうにカタンとくつばこの蓋を開け室内用シューズを取り出している。寝ぼけている顔が、昨日夜遅くまで起きていたことを物語っていた。
「もう! シンディちゃん! また夜更かししたの? 目がクマだらけだよ?」
ふわぁ~とあくびをしながら伸びをしていると、少し背が小さい女の子に声をかけられた。幼なじみのミーシャ・バートンは、同じ攻撃魔法科の1年生で、小さくかわいいクマのヌイグルミをカバンにつけているのがトレードマークだ。
スタスタスタと早歩きで一階の自分の教室へ向かうシンディを、小走りで追いかけるミーシャ。なにかしゃべりかけているが、まだ寝ぼけている上にイヤホンをしているので、彼女には届いていなかった。
「よお、ミーシャじゃねぇか」
ようやく爆音イヤホンを耳から取り、ミーシャに話しかける。何回も声をかけて最後に大声で話しかけたのが、息を切らしてるミーシャの様子から現れていた。
教室に着き、イスを引いてドカッ!と席に座る。およそ女の子とは思えない、腕を組んで横暴に。それが彼女の日課だ。窓際の一番後ろ。彼女の特等席だ。ミーシャはそのひとつ前の席につく。横向きにちょこんと座り、シンディに話しかける。
「1限目はミドレー先生の授業だよ? ちゃんと予習してきた?」
「うるせぇ! 俺は予習なんかしねぇ!」
「のわりにはちゃんとノートはとってるのよね~」
「う! うるせー……」
肩肘を付きながら窓の向こうの空を見てボソッと返事する。少し顔を赤らめながら。そうこうしているうちに、1限目開始のチャイムが鳴り響く。ピシッとスーツを着たミドレー先生がツカツカツカとヒールを鳴らしながら教室に入ってくる。手には小さなムチを持ち、トンガリ黒メガネでおほほ系。魔法ではなくSMの先生なんじゃないかと、シンディは頭の中で考えていた~
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