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223/225

223話 久しぶりとか言わないでください

 エストランテ。

 領主の屋敷。


「ごきげんよう、ガイ様」

「ああ、こんにちは」


 セリスが丁寧に頭を下げて。

 俺も、不格好ながら挨拶を返した。


 今日は街の領主であるセリスの屋敷に赴いていた。

 アルティナ達がしていたような、のんびり気楽に過ごす、なんてことはない。

 いくらなんでも領主を相手にそんなことはできない。


 冒険者としての依頼の話だ。


「本日は、わざわざ足を運んでいただきありがとうございます」

「それは構わないのだが……」


 首を傾げる。


「依頼内容を聞かされていないのだが?」


 数日前。

 セリスからの使者が我が家にやってきて、依頼をしたい。

 詳しい打ち合わせのために屋敷まで来てほしい、という話をされた。


 セリスからの依頼なら即答してもいい。

 それくらいには彼女のことを信頼していたし、力になりたいとも思っていた。


 ただ、内容は直に会った時に、とのこと。

 もしかしたら機密性が高い依頼なのかもしれない。


 緊張しつつ、セリスの屋敷を訪ねた、というわけだ。


 ちなみに、アルティナ達はいない。

 彼女達は今、他の依頼の対応に動いている。


 セリスの依頼がどういうものかわからなかったため、まずは俺が話を聞く。

 その間、アルティナ達は独自に動く。

 そして、後で情報をすり合わせて、セリスの依頼に対応するかどうか決める、という流れになっている。


「申しわけありません。依頼の詳しい内容も告げず、無理を言ってしまい……」

「いや、それは構わない。事前に言えなかったのは、なにか事情があるんだろう?」

「あ、いえ……その、非常に恥ずかしい話なのですが、我が家の中で連絡の行き違いが起きてしまい、そのせいで……」


 セリスがとても恥ずかしそうに、そして、申しわけなさそうに言う。


 なるほど。

 そういう凡ミスが起きていたのか。


 珍しいことだけど、セリスも人間だ。

 そんなミスもたまにはするだろう。


「本当に申しわけありません……」

「いや、気にすることはないさ。それに、少し安心した」

「安心?」

「セリスもそのようなミスをするんだな、と。失礼かもしれないが、親近感が湧いたくらいだ」

「まあ。ガイ様にそのように思っていただけるなんて」


 セリスが嬉しそうに言う。


 最近、その笑顔を見ていると、ふと思うことがある。

 セリスの笑顔は普通の笑顔と違うというか……

 俺がいると、違うというか……


 いや、やめておこう。

 こんなことを考えるのは、痛い自意識過剰のおっさんだ。


「ガイ様?」

「ああ、いや……すまない。少しぼーっとしていた」


 考えている内容を告げることはできず、適当な言葉でごまかした。


「もしかして、疲れなどが溜まっているのでしょうか? でしたら、依頼の話はまた今度に……」

「いや、大丈夫。本当にぼーっとしていただけだ。それで、どのような依頼を?」

「はい、その……」


 言葉に迷うセリス。

 そして、なぜかその顔が赤くなる。


 どうしたのだろう?

 よほど難しい依頼なのだろうか?

 しかし、それなら顔を赤くする理由がわからないのだが……


「セリス?」

「……ガイ様!」

「は、はい?」


 ものすごく真剣な表情のセリスに、ついつい背筋が伸びてしまう。


「その、あの……!」

「……」

「っ……!!! ど、どうか……わたくしと婚約していただけませんか!?」


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