222話 王女様のおもてなし
「そして最後の締めはこの私、ユミナちゃんだぞ♪」
のどかとの公園散歩と昼寝を終えて。
今度は、ユミナと合流した。
「……」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「なんだか性格が変わっていないか?」
「普段と違うユミナちゃんにドキドキしない?」
「ちょっと心配するな」
「むぅ、おかしいな? 普段と違うギャップにめろめろ~、ってなるはずなのに?」
めろめろ?
若者が使う言葉はよくわからないな……
「それで、どこへ?」
「ふっふっふ。今は夜だよね?」
「そうだな。もうすっかり日も暮れてしまった」
「夜……そして、お兄ちゃんと私は女と男。そして大人……そうなれば、やることは一つだよね?」
「まさか……」
そして、俺達は……
「かんぱーーーいっ!!!」
酒場に来ていた。
共にエールで乾杯。
ぐいっと、一気に半分近くを飲む。
「ぷはぁーーー!!!」
「あー……俺が言うのもなんだが、それはやめておいが方がいいんじゃないか?」
「えー、なんで? ぷはー、ってするところが気持ちいいんだよ」
「わからないでもないが……」
それはおっさんがする仕草であって、ユミナのような女の子がすることではない。
いつの間にそんなおっさんスキルを得たのだろうか?
エールだけに、おっさんスキルをえーる、とか。
「お兄ちゃん、今、くだらないことを考えなかった?」
「……そのようなことはないぞ」
ユミナの観察力が鋭い件について。
「しかし、なぜ酒場なんだ? いや、酒が嫌いというわけではないが……」
「一日の締めに飲む! これは鉄板じゃない?」
「悪くはないけどな」
しかし、微妙に発想がおっさんくさいような?
いや。
それとも、最近の若者はこうなのだろうか?
若者文化に触れる機会がなかったため、よくわからない。
今度、アルティナやノドカから学ぼうか?
……理解できず、混乱する未来が簡単に予想できた。
「いつかお兄ちゃんと二人で飲みたいなー、って思っていたの」
「なるほど」
「お兄ちゃんのおもてなしなんだけどね。でも、私もしてみたくて」
「十分に楽しんでいるから、いいんじゃないか?」
なんだかんだ、俺は、今まで酒に触れる機会が少なかった。
というか、ほとんどなかった。
幼い頃は粗雑に扱われて。
四十になるまで剣のことばかり考えてきて。
冒険者になってからは、物理的にも精神的に余裕ができて、こうして酒を嗜む機会も増えたが……
それでも、同年代の人と比べたら少ないだろう。
だから、こうして飲むことも悪くない。
最近は、わりと好きだ。
剣を極めたいと思うし。
剣のことばかり考えていることも多い。
ただ、それだけではいけないだろう。
剣が上達しても、心が寂しくなってしまう。
剣だけではなくて、色々なことを経験して。
たくさんのことを覚えて。
そうして心を豊かにしてこそ、剣も豊かになるのではないか、と最近は考えるようになった。
「楽しくお酒を飲んで、楽しい時間を過ごそー! っていうのがユミナなりのおもてなし♪」
「ありがとう、気にかけてくれて」
「というわけで、今日は潰れるまで飲もうね♪」
「可愛い顔と声で、とんでもないことを言わないでくれないか……?」
「とんでもないかな? 普通のことじゃない」
飲みつぶれることが普通なのか?
最近の若者は恐ろしいな……
「というわけで、二杯目ー!」
「早いな!?」
今日は無事に帰れるだろうか?
そんなことを思う飲み会だった。
書籍板1~2巻、コミック1巻、発売中です!
よかったら手に取ってみてください。




