221話 和の心
「というわけで、次は拙者の番でござるよ!」
食事を終えて、アルティナと別れて。
今度はノドカと合流した。
今日はこうして、みんながそれぞれもてなしてくれるのだろう。
なんとなく趣旨が理解できてきた。
「拙者がとても素敵なところへ案内いたしますでありますよ」
「楽しみだ」
「ところで……」
すんすんとノドカが鼻を鳴らす。
「なにやら良い匂いが?」
「匂い……さきほどパンケーキを食べたから、そのせいだろうか?」
「……パンケーキ……」
ノドカがじゅるりとよだれを飲み込んだ。
ややあって、は!? と我に返る。
「な、なにも思っていないでござるよ!? うらやましいとか拙者も誘ってほしかったとか、後で店の場所を教えてもらおうとか、そのようなことは考えていないのでありますよ!?」
「あー……今度、みんなで行くか」
「本当でありますか!?」
「もちろん」
「わーい♪」
喜びのあまり、ノドカが幼児化した。
そんなノドカと一緒に街を歩いて、とある場所に。
辿り着いたのは公園だ。
とても広い公園で、色々な区画に分かれている。
子供達が遊ぶ遊具がたくさん置かれているスペースや、花を楽しむスペースや、人工の川が流れているスペースもある。
豊かな心は豊かな自然から学ぶ。
領主であるセリスがそのような考えを持っているらしく、これほど大規模で、そして豊かな公園が作られたという。
「ここでござるよ!」
「公園か……うん。ここはいいところだよな」
「えっ、知っているでござるか!?」
「それは、まあ」
エストランテで活動を始めて、けっこうな時間が経っている。
毎日依頼というわけではないし、街を散策することもある。
この公園にも何度か来たことがある。
「くっ……不覚! ガイ師匠にドッキリ驚いてもらおうと思っていたのに、すでに知っているとか……拙者、腹を切って詫びねば!」
「なぜそうなる?」
サプライズに失敗したからといって、命をかけなくても。
「それで、公園でどんなことをするんだ?」
のどかは本気できにしている様子だったので、多少、強引に話を逸らした。
「ふっふっふ。ずばり……」
「ずばり?」
「日向ぼっこでありますよ!」
そう言うと、のどかは近くの芝生の上にごろんと転がる。
そのまま両手足を大きく広げた。
「えっと……のどか? さすがにそれは……」
「いいからいいから。ガイ師匠も気にせず、こうしてみるといいでござるよ」
「ふむ」
女の子が、とは思うが。
男なら気にする必要はないか。
ひとまず、言われた通り寝転がる。
「おぉ」
全身で感じる大地。
そして、同じく全身で感じる陽の光。
自然と一体化しているかのようで、心地よく気持ちよく、幸せな感じさえ覚える。
「これは……いいな」
「でしょう?」
のどかはドヤ顔だ。
「こうして、のんびりゆっくり、日向ぼっこをすることこそが至高なのでありますよ」
「否定できないな」
「ちょっとだけ昼寝をするのでありますよ」
「昼寝を? しかし、温かいとはいえ、外だと風邪を引くかも……」
「すやぁ」
早いな。
寝るの早すぎないか?
しかもすごく気持ちよさそうだ。
そんなのどかの寝顔を見ていたら、細かいことを気にするのがバカらしくなってきた。
「俺も寝るか」
小さく苦笑して。
それから、ゆっくりと目を閉じた。
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