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215/222

215話 さらなる高みへ

 ノアの必殺の剣が迫る。


 文字通りの必殺。

 防ぐことは叶わず、避けることも不可能。

 確実に対象を死に導く狂気の技。


 これがノアの剣なのだろう。

 ノアという剣士の在り方なのだろう。


 全てを喰らい。

 血と涙をばらまいていく。


 そのようなノアを認めるわけにはいかない。


「……見えた」


 ノアが超高速で迫る中、俺はいつも以上に冷静でいた。


 しっかりと剣を握り、ノアと対峙する。


 彼の剣は恐ろしく速く、鋭い。

 力もあって押し返すことは難しいのだけど……


「ここだ」


 一筋の光が見えた。


 天から降り注いだかのような。

 星の輝きを束ねたかのような。

 そんな温かな光。


 そこに刃を滑らせる。


 そして……


「がっ……!?!?!?」


 キィィィンという音が響いて。

 ノアの剣が半ばから切断されて、同時に彼の体が吹き飛ばされる。


 いくらかの量の血を吐いて。

 そのまま地面を転がり、停止。

 まだ意識は残っているらしく、手足が小さく動いていた。

 しかし、立ち上がるほどの力は残っていないらしい。


「……」


 俺は、剣を振り抜いたままの体勢で固まっていた。

 時間を忘れたかのよう。


 静かに息を吸い。

 静かに息を吐く。


 それから、時間を思い出したかのように剣を引いて、鞘に収めた。


「……え?」


 誰かの呆けたような声。

 肩越しに後ろを見ると、アルティナとノドカとユミナが唖然としていた。


 ソーンさんは……今も無表情でよくわからない。


「今……え? 師匠……なにをしたの……?」

「気がついたらあいつが倒れていて……ガイ師匠が斬った、のは確かなようでござるが、しかし……」

「わ、私……お兄ちゃんの剣がまったく見えなかったんだけど……見えないだけじゃなくて、音も聞こえなくて……攻撃した、っていう気も……なにもかもぜんぜんわからない」


 アルティナ達からはそう見えていたのか。


 俺は……


「……どうなんだろうな?」


 光が見えた。

 そこに刃を滑らせればいいと、本能で確信した。


 その通りにしたら、今までにない剣撃を繰り出すことができて……

 ノアに勝つことができた。


 なにをしたのか。

 なにが起きたのか。

 いまいち自分でもよくわかっていない。


 ただ……


「そうだな……俺は、まだまだ上を目指せるのかもしれない」


 今日、この日。

 俺は、自分の殻を一つ破ることができたような気がした。

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