第7円 イアのお節介
こんにちは!今日二個目の更新です!
「それじゃガンダさん……また明日お邪魔されて頂きますね」
「おうすまねぇな兄ちゃん!」
「いえいえそんなことないっすよ!それじゃ!」
手を振るガンダに背を向けてハルトたちは武器屋を後にした。
「それでハルトの兄貴!これからどうするんで?」
「町案内っすか?それとも商会に行くっすか?」
「うーーんそうだなぁ……まずはイアの所に戻って考えようかな?」
「あっ兄貴女連れでしたか……それじゃ俺らじゃまになんねぇーように商会戻ってますね」
「そうっすね!邪魔しちゃわるいっすからね」
キィとロックが俺ら空気読めるっしょっという顔をしているのが少し腹が立った。
「いやそんなんじゃないから……てか人間でもないから……」
「「へ?人間じゃない?」」
理解出来ていない二人を連れて元来た道を戻った。
「なっなんすかこの鉄の塊は!」
「家にしちゃ小さいし、馬車だとしたら馬見当たらないしな……なんすかこれ?」
「ま……まあ中に入ってよ……」
ハルトは2人を居住用の車両の中に招待した。
「キィの兄貴!見てくだせい!中はもっと凄いことになっていやすぜ!」
「うお!こいつはスゲーや見たことない部屋の作りだなこれわ!」
「あはははは。そっそうかなあ……」
(普通のキャンピングカーみたいなんだけどね。性能はそこらの寄りはいいと思うけど……)
「あっちの塊は何なんすか?」
「あああっちは移動販売をするための車両だよ。まだ商品なんにもないけどね」
「ハルトの兄貴は旅商人だったんですか?通りで冒険者とかではないとは思ってたんだよな。ガンダの親分に卸交渉してたのもそのせいですか」
「それなら商会に入ればいいんじゃないっすか?ライガイド商会は商業だけじゃなく冒険者に仕事紹介したり、素材の買取なんかもやってるんすよ。一種のギルドみたいなものっす!」
「そうだな加入すれば卸しとかもしやすくなるかもしれねぇぜ」
『それはあまりオススメできないと警告いたします』
急に車内に声が響いた。
「なっなんすかこの声……!」
「いろんな方向からするぞ!」
(そりゃねスピーカーからしてるんだもんそうだろうね)
「イア!どういう事か説明してもらえるかな?」
『かしこまりました。』
タブレット画面にイアの姿が映し出され、手を振りながら微笑んでいた。
「ハルトの兄貴!これなんすか?どうなってるんですか!」
「魔法っすか?」
「あーこれは僕にもあんまり分かんないけど人工知能?って奴みたい」
「人工知能?なんすかそれ?」
「まあ僕の能力だと思ってくれたらいいよ。あははは難しいことは置いておこうよ」
「そうっすね俺も兄貴も難しいこと分かんないっすから!」
ロックがヘラヘラとそんなことを言うとキィから一緒にするなと叩かれていた。
『話を始めてよろしいでしょうか?』
「ああごめん、お願いします!」
『それでは話させていただきます。イアが反対する理由には2つ理由があります』
『まず一つ目には商会に入ると卸しのしやすさと場所の提供が約束される代わりに利益の3割程を収める義務が発生します。マスターならばそんな事しなくても卸しは出来るはずですし、移動するため販売場所も必要ありません』
(過大評価しすぎだって……でも確かに3割は多いよね……)
『もう一つのとしては販売する商品の情報を流さないといけないことです。マスターの商品のほとんどは異世界のものになるはずですからそうなってしまっては色々と不都合が起こってきます』
(なるほどなあ……)
「例えばどんな不都合があるんだ?」
『そうですね。例えばマスターの店だけに売っていると商品の独占に認定され、他の店にも流さなければいけなくなります。その為その分の稼ぎは出るかも知れませんが比較安価での提供となり、定期納品を迫られる為に移動して販売することが出来なくなる恐れがあります』
「それはダメだ!そんなの何も面白くないじゃん!僕だって異世界見て回りたいよ!」
『はい。マスターならそういうと思いまして、この度は提案をひとつ持ってきました』
「提案?」
『はい。商会への加入ではなく対等の提携でしたら話は違くなるのではないでしょうか。幸いそこには商会の幹部とお知り合いの方もいるそうですし……』
「えっなんで知ってんの?」
ハルト、キィ、ロックは驚いた表情になっていた。
『はい。私はマスターのお側にいなくてはならないのでマスターのお持ちのスマホに私のデータを転送、インストールさせて頂きました』
「えっ?マジで?」
ハルトはスマホを取り出すと電源を付けた。
すると画面に見知らぬイアアプリなるものが表示されているのを確認するとアプリをタッチしてみた。
『ご理解になりましたか?マスター?』
するとスマホの画面に映し出されたイアがニコニコと手を振っていた。
(便利すぎんだろ……ここ異世界なのに近未来SFみたいになってるんですけど……)
『ついでと言いますかマスターの僕の秘蔵ファイルシリーズはマスターに悪影響があると思い消させていただきましたのでご了承ください』
「えっ……」
ハルトはスマホの奥の奥にあるはずのものを必死に探した。
三種類のパスワードにて守っていたはずのそれはどこにも無く……。
イアがいいことをしたとばかりの笑顔をこちらに向けてるのを見て。
「理不尽だーーーーーーー!!!!!」
ハルトはそう大声で話すとスマホを握りしめてトイレに引きこもってしまったのだった。
ちなみにキィとロックはハルトが叫んだ意味がわからなかったが男としての感が働いたのか「兄貴……」と小さく呟きながら静かにハルトが出てくるのを待つのだった。
男には触れてほしくない事結構ありますよね……
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