第8円 移動販売車始動
今日もイドマイのみの更新となります。
1時間後……。
「兄貴……そろそろ出来てきましょうよー」
「そうっすよ!日が暮れちまうっす!」
ハルトはまだトイレから出てこなかった。
『まさかマスターにとってそんな大切なものだとは思っていませんでした。申し訳ございません』
握りしめた手の中のスマホからイアの声が聞こえてきた。
「いや俺も大人げなかったな……そろそろ出るよ」
『かしこまりました。外でお待ちしてますね』
ガチャっと扉を開けると「「兄貴!」」っとキィとロックが寄ってきた。
「兄貴やっと出てきてくれましたか……長いっすよ」
「そうっすよ!もう日暮れの刻っすよ!」
「日暮れの刻って?」
『マスター。イアアプリの異世界辞書機能をお使い下さい』
「異世界辞書?」
『はい。この世界の基本的な知識からアップレードにより更新されていく辞書機能です。アップグレードにはその地域の人との交流を持つことで行われます』
「それって凄く便利じゃね?どうやってやるのそれ!」
『タブレット又はスマホの私に知りたい用語を言ってくだされば検索いたします』
「なるほど!じゃあ日暮れの刻って何?」
『はい。日暮れの刻とはこの世界の時間表記の一種となります。日明けの刻、日上りの刻、日止めの刻、日下りの刻、日暮れの刻の5つに分かれているものが太陽の出ている時間の表記です。』
『対して月上り刻、月止めの刻、月下りの刻の3つが月の出ている時間帯の表記となります』
『このように太陽と月の動きにより判断しているので季節や地域により時間感覚が違っています』
『月の満ち欠け、星の動きは季節の変化、日食、月食、新月などは特別な日とされているため大体の住人は空を見上げることで時間や季節の変化を知ることが出来るのです』
『日暮れの刻は大体この季節ですと17時~20時あたりを表しています』
(そうすると時間の概念は変容するのか……時計とか売り出したら儲かるんじゃないか?)
「兄貴。このイアの姉御は博識なんですね!俺も生まれた時から時間見てたんでそんな理あるとは思いませんでしたよ」
『姉御とはいい響きですね。そう呼ぶことを許可します』
イアがドヤッとした顔でキィ立ちに向かって言った。
(こいつ本当に人工知能なのかよ……元の世界にもこんなのいないよな……異世界すげー)
「ハルトの兄貴!早くしないと商会の受付しまっちまうっす!ラーク様も帰っちまいますよ!」
「えっ?今日行くつもりだったの?」
「えっ兄貴違うんですかい?俺てっきり今日面会するんだと思って念話石で連絡入れちまったっすよ」
「イア。念話石を検索」
『かしこまりました。念話石とは特殊発掘石と呼ばれるもので発掘時の大きさや形は様々なのですが発掘された時の石を分割、加工することで相互感の会話を可能とする石のことです。石のグレードにより会話できる距離が変わってきます』
(なるほどなるほど携帯みたいなものね)
「それにしても突然だね……」
「ラークさん明日から遠征しに行くみたいなんすよ……でもライガイドさんの面会許可貰うにはラークさん通してじゃないと……」
「商会は月上りの刻になる前に閉まっちまうすからあと少ししか時間ないっす!」
「まじかーー!」
ハルトはキィを助手席に移動させると運転席に乗り込みエンジンをかけた。
「うお!兄貴この車両って言うんでしたっけ?……なんか小刻みに動いてますよ!!」
「地揺れっすか!?」
キィとロックは近くのものに捕まり動けなくなっていた。
「ちょっととばすから案内お願いねキィさん!!」
「はい?」
ハルトは勢いよくアクセルを踏むと移動販売車は急発進した。
「ひぃーーー兄貴!どうなってるんすかー!!」
「俺死にたくないっすーー!!」
「次の道どっちに行けばいい!?」
「右右右っです」
「了解!」
路地を抜けると昼間市場で人が多くいた道には数人の人が散らばっているだけになっていた。
『マスター前方に障害物がございます。お気をつけください!』
「ありがとう!イア!」
爆走する移動販売車、集中するハルト、淡々と状況を読むイア、混乱しつつも道案内するキィ、失神しているロックの4人?の旅路が今始まったのである。
???「……あーあ行っちゃった……」???
遂に移動販売車が移動しました笑
これから営業に向けて動き出しますので宜しくお願いします。
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