第10円 捕まりました。
深夜更新です。
「うわーーーーーー!」
「ひぃーーーーーー!」
「死んじまうよーー!」
「兄貴ーもっとゆっくりでお願いしますーー!」
「目が回るーーー!うぇ気持ちわりー!」
(おいおい吐かないでくれよ…………)
そんなことを思いながらハルトは爆走していた。
「兄貴!こんなことしてたらいつか人とぶつかっちまいますぜ!」
『キィ。余計なことは言わないでください!前方の安全は私が確認いたしますのでマスターは運転に集中してください』
(イア。君が確認しても意味無い気が……)
その時移動販売車の目の前に5人の鎧を着た男達が飛び出してきた。
「お前ら何をしているかー!止まれーーーい!!!」
「「「うわーーーー!どいてくれーーー」」」
「お前ら止まらんかーーー!」
(やばいぶつかる!)
ハルトは全力でブレーキを踏むが間に合わない。
ハルトは調子乗ってスピードを出しすぎたことを悔やんでいた。
キィとロックはこの得体の知れないものに乗ってしまったことを悔やんでいた。
飛び出してきた男達もなぜ俺達は飛び出したのかを悔やんでいた。
三者三様に後悔を浮かべ、ことの成り行きを神に任せたその時、イアだけはことの対処に当たっていた。
『安全システムを起動します。搭載術式ベルトルキャンセラー起動します』
イアが淡々と読み上げると移動販売車に変化が生じた。
居住車両と販売車両の真下に赤色の魔法陣が出現した。
すると止まれるはずのなかった移動販売車が推進力を消されたみたいにその場に停止した。
車内の様子も急に止まったとは思えないほど穏やかでハルト達も何が起こったのかを理解出来なかった。
突然飛び出してきた鎧の男達は驚いたのかみな腰を抜かして路上に尻餅をついていた。
「兄貴!何が起こったんすか?」
「そうっすよ!ぶつかっちまったんすか?」
「いやー僕にもなにかなんだか……もしかしてイア?君かい?」
3人がタブレットの画面を一斉に見た。
『はい。移動販売車件私イアがエルミス様から頂いた祝福を使わせていただきました』
「えっ?イアも祝福もらってたの?」
『はい。この世界に転生していただいた時に車体の改造と増築、そして「あの子コミュ障で頼りなさそうだから面倒見てあげる子必要ね」ということでイアが生み出されたのですがその時に祝福として3つの防衛術式を頂きました』
(女神様……心配してくれたの嬉しいんですけど……なんか複雑です……)
『さっき使用したのはその中の1つでベクトルキャンセラーです。これは推進力などの運動エネルギーを0の状態にすることが出来ます』
「何じゃそりゃ……それ現代の車に付けたいところだよね……とにかく助かったよありがう」
『いえいえ。マスターの為ならば!』
「さすが姉御っ!輝いてます!」
「カッコイイっす!」
『キィ。ロック。もっと褒めなさい』
3人に褒められてイアも上機嫌である。
「おい!おい!降りてこい!」
外で鎧の男達が何か言っている。
『うるさいですね。吹き飛ばしますか?マスター?』
「えっ。そんな装備もあるの……」
ハルトが若干引いてると『嘘です』っと舌を出しながらテヘッと笑っていた。
(本当に人工知能なのだろうか……)
ハルトは移動販売車の窓をスイッチを押し少し開けると「あの……さっきはすいませんでした……御用は何でしょう……」と小さい声で聞いた。
「兄貴。こいつらこの街の冒険者ギルドの自警団っすよ!」
「イア検索!」
『はい。冒険者ギルドとは冒険者に仕事を提供している場所です。自警団とはこの街の警察組織みたいなものらしいです』
「なるほど…」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだ!早く降りてこい!」
「兄貴素直に従いましょう……こいつらに逆らうとめんどくさいっす」
ハルト達は素直に車から降りると鎧の男達に囲まれた。
「俺は自警団三番隊隊長のテリベアだ!お前ら何をしていた」
「ぷっ。くすっくっくっくっ」
ハルトはツボに入ったのか笑いを噛み殺していた。
それはそうだろうガタイのいい歳したオッサンの名前が国民的熊のぬいぐるみみたいな名前だったら知ってるものならみんな笑うだろう。
「俺達はライガイド商会に向かってただけだ!」
「そうっすそうっす!何も悪いことしてないっす」
キィとロックが反論した。
「鉄の塊で街の中を高速で暴走することが悪いことではないと思っているのか?」
(ごもっともであります……)
「人もあんまりいないだからいいじゃないっすか!」
「な訳あるか!さっきだってぶつかってたら俺達がただでは済まなかったぞ……」
鎧の男達は思い出したのかブルッと震えていた。
「とにかくお前らをギルドに連行する!連れていけ!」
「まって下さい!今日中にラークさんに会わなくちゃいけないんですよ!」
それまで笑いを噛み殺していたハルトも反論に加わった。
「黙れお前達は1週間程みっちり教育してやる!」
(それじゃぁガンダさんとの約束も守れないじゃないか……)
ハルト達の抵抗虚しく屈強な男達に抱えられハルト達は連行された。
『マスター。マスター。私はどうすれば……』
スマホからイアが小さい声で話しかけてきた。
「調べられると説明が面倒だから自動操縦して人目のつかない所に移動することできる?」
半分無理だと思ったが一応聞いてみた。
『お任せ下さい!移動販売車なので!』
(もう移動販売車とか人工知能とかの前に高スペックすぎてついていけないわ……)
話し終わると移動販売車は旋回しながら動き出した。
鎧の男達が押さえつけていたが強引に振りほどき離れていった。
「おい!勝手に動いたぞどうなってる!」
「僕ももうなんだか分かりませんよ……」
テリベアの部下2人が全速で追いかけていったが多分追いつけないだろう。
「とにかくお前らは連行するからな!連れてけ!」
そういうとハルト達は連行された。
(これまだ一日目なんだよな……とほほほほ)
ハルトの心情と裏腹に濃い一日は佳境に突入する。
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カミラチの方も時間がありましたら…宜しくお願いします!!
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