第11円 即脱走出来ました
少し短い更新となります。
ハルト達は冒険者ギルドに連行されると漫画で見るような鉄格子がはめられ、周りが石積み壁になっている部屋に入れられた。
「そこでしばらく反省するんだな!飯は3食出してやる!それと後で話を聞かせてもらうぞ!」
そう言ってテリベアは部屋を後にした。
「やばい事になりましたね……兄貴」
「こんな所に閉じ込めるなんて酷いっす!」
「まあ悪いの僕達だしね……でもどうしようラークさんに会いに行くのは出来なそうだよね……」
「姉御に何とかしてもらえないですかね?」
「いやイアにはさすがに無理だと思うよ……逆に怪しまれそう」
『イアもそう思いますよ。マスター』
イアがスマホから話しかけてきた。
『マスター。報告がございます……』
「どうしたの?もしかして捕まっちゃった?」
『いえ余裕で引き離すことには成功したのですが……車の燃料の方が術式使用のために底をつきそうなのです……』
イアが貰った祝福の3つの術式は大量の燃料を使用するらしく、先程の1回で半分以上を使ってしまったみたいだ。
「燃料ってガソリンだよね……?」
『主のエネルギーとしてはガソリンが一番適しています。これはタブレットで購入可能です』
「一文無しの僕にはまだ買えないよなあ……主って言ってたけど他に何かあるの?」
『はい。居住車両、販売車両のどちらにも小規模の太陽光ソーラーが付いていますので半日あれば1割ほどは回復します』
「そんなのも付いてんのかよ……でもさすがに発電量は少ないんだね……」
『申し訳ございません。その分から私の起動分のエネルギーを使っていますので蓄電量はさらに少なくなっています』
「そうかあ……じゃあイアはそのまま蓄電に専念してもらってもいいかな……もしもの時に動かないと困るからさ」
『かしこまりました。ご武運をお祈りしております』
イアが話し終わると通信が途切れた。
「兄貴。俺難しいことわからないすけど姉御は助けにこれないんすね?」
「そうみたいだね……ガンダさんやラークさんには悪いけどこのまま1週間言うことを聞くしかできないかも……」
ハルトが半ば諦めたように言うとロックが「ハルト兄貴!鍵開いたっす!」
「へ?」
「ロック!良くやった!兄貴今のうちに出ちまいましょうぜ!」
「えっ?なんで開いたの……もしかして開けたの?」
「おいらこう見えて合鍵創成って言うユニークスキル持ってるんす!」
「そうなんすよ!ロックは名前ロックなのに鍵作っちまう能力持ってるですよ!笑っちまいますよね。俺の方がその力欲しかったですよ」
ロックは少し照れながら頭に手を当て上機嫌に笑っていた。
「さあ早く逃げちまいましょうよ兄貴!」
「いやいやいやでも無理だよ!多分外には見張りいるだろうし!僕戦えないし」
「兄貴任せてくだせい!今度は俺のユニークスキルの出番ですぜ!」
キィはそういうとハルトとロックの手を握って堂々と房を出て歩き出した。
その時向こうから1人の鎧の男が歩いてきた。
「不味いよ!どこかに隠れないと!」
「大丈夫ですよ!俺を信じてください!」
すると鎧の男はハルト達を視界にも入れずに通り過ぎて行った。
「へへ。これが俺のユニークスキル感覚切断です!」
感覚切断とは人間が持っている視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感のうち1つを感じさせなくするスキルである。
現在キィが触れているものは視覚をカットしている事により、他のものからは見えず、聞こえずの状況となっている。
(この2人って実は凄く優秀な人材何じゃないかな……)
ハルトはまだ知らないことだがユニークスキルとは先天性と後天性があり、魔道具や儀式で得る事ができる後天性とは違い、先天性はすごく珍しく、効果も強いものが多いようだ。
キィとロックのユニークスキルは先天性であり、商会の中では一目置かれる存在であるのだがハルトはそれをまだ知らないのだった。
しかし強い効果なだけに制約もあり、ロックは1度作った鍵は使用後に消えてしまい、同じ鍵は1週間経たないと再び作ることは出来ない。
キィはカットした感覚以外は通常通り働いているため時と場合と場所選びが重要となる。
しかし今の状況での二人の働きは最高の結果を生んだのだった。
難なくギルドを抜けると、ギルドの中ではいなくなったことに気づいたらしく騒然としていた。
ハルト達は商会へと全速力で向かい走り続けるのだった。




