お父様の帰還、我が子爵家の終焉
お父様が王都から帰ってきた。 私とお母様はなるべく元気に父を迎えようと相談していた。
弟は密かに王都からの土産を期待していたので一番元気よくお父様を迎えた。
父は元気なく私達の頭をなぜたが、何も言わず、まるで幽霊のように自分の書斎に消えていった。
心配して母様は書斎にすぐお父様の様子を見に行ったが、やがて母の泣き声が聞こえた。
私も心配になり、書斎に行ったが、父から後で皆に話があると言って追い返された。
これはきっと何か悪い話だ、と私は思った。
しばらくして私たちは居間に集まり、そこで父様から、最悪の話をされた。
「我が子爵家は今日で終わりになる。
子爵領の援助のことと税金の遅延をお願いしたが,聞き入れてもらえず、この度子爵領を国に返すことにした」との言葉に母は再び泣き出し、弟は意味が分からないのか、父様と母様をかわるがわる見て、困ったような顔をしていた。
私は胸が苦しくなり、絞り出すような声で、これからのことを聞くと、父様は「私たちは明日から平民になる、そしてこの館を出て、お爺様の持っている別荘に行くことにする」と力なく言った。
私はその言葉を聞き呼吸が苦しくなり、真っ青になったので、父と母は慌てて私の部屋に私を担ぎこみベッドに寝かせた。
神様、神様、私はもうすぐ死んでしまうのでしょうか? その男が現れ、私に微笑むと、私は気を失った。
3日ほど意識不明になっていたらしいが、私は突然目覚めた。
不思議と息苦しさは消えていた。 胸の痛みもなかった。
母が私にもってきてくれた食事を食べたが美味しかった。
父は私を見て「明日の引っ越しに間に合い良かった、もし意識が戻らなければ、そのまま馬車にのせるつもりだった」と喜んだ。
私は自分の部屋を見たが、ほとんどの家具はお金に代えたらしく、ベッドしか残っていなかった。
屋敷の中はもう何も家具が残っていなかった。
明日は馬車でお爺様の残してくれた別荘に一家で行く予定だ。 「今日はゆっくりやすむように」と言われたが、いままでズッート休んでいたので、もう少し起きていたかった。
「わぁ~い、骸骨姉さまが目をさました」と弟は私を見て無邪気に喜んでいたが、弟よ、その言葉は、私にとっては残酷な言葉なのだよ。
皆が私の部屋を出た時、私は自分の持っているドレスやすくない小物をヨロヨロしながらまとめてベッドの枕元に置いた。
しばらくして、現れたボロボロの男にあなたはこの家に住んでいるの? 明日はもうお別れね、私の願いを聞いて病気を治してくれてありがとう。
なんだか別の人間に生まれ変わったような気分、不思議に力がわいてくるようで、本当にありがとうごさいました、と彼にお礼を言い、祈りをささげた。
そしてその夜一晩中祈る私の体には、どうやら違う人間が入り込んでしまったようだ。




