冬の気配
風がだんだん強くなってきて、私の屋敷を冬の気配がとりまくようになった。
父は馬車を買うことを許可してくれ、ラルフは何処からか木材を買って来てくれ、屋根を治したり、馬小屋を屋敷の庭に作ったり、馬車の扉を取り付けてくれたりととても忙しい。
私も馬車で街に行けるようになると、アップルパイとかピザとかをパン屋においてもらえるようになった。
店の三分の一は、私のパンコーナーになっている。
最近ではお婆は店を私に譲っても良いなどと言っているが、それでは、昔と変わらぬ仕事中心の生活になってしまうので、出来れば、家族中心に生活したいので、お断りした。
私のパンを店に置くために午前中はパン釜の前で、なんども火入れをして忙しくなってしまったが、もうこれ以上のパン焼きは私一人では無理がある。
ラルフも横で手伝ってくれるが、彼には山で木を切って薪を作る仕事があり、こんど暖炉の火を入れるため煙突掃除もしなくてはいけない。
暖炉もパンをたくさん焼けるように工夫して作り直してくれるという。
彼は一家に一人は欲しい、オールマイティなのかもしれない。
だから今は私がパン焼きの方は一人でがんばるしかない。
パン代のほうは、月、銀貨9枚ほどになるが、小麦粉を買わないといけないので、儲けは銀貨8枚ほどなのかもしれない。
それより、母の仕立て代のほうが3枚ほど請負い、月に銀貨6枚ほどになるので効率が良い。
ラルフが買い受けた馬は次第に元気を取り戻し、元気に馬車をひいてくれている。
ラルフの馭者で家族が馬車で街に買い物に行く日もいずれあるかもしれない。
父と母に相談して屋根裏部屋にあった豪華な家具は下におろし使うことにして、子爵領から持ってきた家具を.3点雑貨屋に売ることにした。
ラルフはベッドを持っていなかったので、父は屋根裏部屋にあったのベッドを使い、父のベッドはラルフに譲った。
母はラルフのために父のベッドのお古は嫌だろうと、私が買ってきた綿の布で水色の布でベッドカバーを作ってくれた。
これから寒くなるので床より、ベッドで寝るほうが暖かいだろう。
最近ラルフは山で木を伐り出すとき、ナッツやキノコを採ってきてくれる。
私はナッツをパンにいれたり、畑でとれた豆などを入れたりしながらパンの食感を楽しんでいる。
お父様中心で作っている畑は青菜はもりろん、イモ類、豆類、トマト、白株、人参、玉ねぎなど多くとれるようになり、山からの土のせいかとても育ちが良くこれらの野菜やキノコを使った料理が私たちの食卓には並ぶようになった。
母もスープ作りが得意になり、少しの肉で美味しいスープを作ってくれたりパン生地作りを手伝ってくれたり、ここに来てからだんだん元気を取り戻しつつある。
弟はと言うと、最近はお父様の畑仕事を手伝ったり、馬の世話を手伝ったり、弟なりにがんばってくれている。
彼の勉強のほうはラルフが忙しすぎて中断しているが、冬になれば、また時間が空くので、そのとき頑張ってほしい。
弟はあまり学校には行きたくなさそうだが、彼の可能性を考えると学校に行ったほうが良いと思う。
学問というより、学校に行って物作りでもなんでも何か好きなことが見つかればよいと思う。
母は水色の布地でお父様、ラルフ、弟のシャツブラウスを作ってくれた。
母のために買った水色の生地だが、母は残りの生地で私のドレスを作ってくれた。
ラルフは髭をそったので、青い目と水色のシャツが似合い、まるで貴公子のようだ。
ついでに、お父様も弟も水色のシャツが良く似合っている。
3人が並ぶとやはり親子のようにみえる。
街に行くときは街の娘さん達に言い寄られないよう、ラルフに私はべったりつきそっている。
そういう私も最近、器量が良くなってきていると肉屋の叔父さんをはじめお店の人たちが褒めてくれる。
水色のドレスを着た私はバラ色の頬をして、物語に出てくるような可愛い感じになってきた。
もっと妖艶さが、出てくると良いけど今のところそれはのぞめないようだ。
母にはラルフに相談して他領に行き雪が降ったら素敵なドレスをプレゼントしようと思った。
自分用のドレスを自分で縫うのは、プレゼントとしては、ワクワク感が半減しちゃうものね。
雪が降って本格的な冬がきたら、この重苦しい冬を乗り越えるため、皆で外国の映画のような楽しいパーティーをしたい。
異世界に転生して14歳の私が出来ることはまだそんなにたくさんないかもしれないが、それでもここにいる皆を守りたい、どうぞ私の神さま、初めて冬を迎える私と家の者を暖かく見守ってね、と私は神に祈った。




