ラルフと馬と馬車
ラルフは夜更けに戻ってきた。
私達家族はラルフに何かあったのかと心配したが、彼は痩せた馬を連れ戻ってきた。
馬は痩せてしまっていたが、かなり体の大きな馬だった。
ラルフは泉の水で馬の体を洗い、手入れして、雑草を食べさせ、薬草も馬に食べさせた。
街で雑貨を扱っている店で飼い葉の話も聞いてこよう。
この国では荷運び、農業と馬は切っても切れない、貴重な動物だ。
街の雑貨屋さんは物知りだし、いろいろな物を扱っている、と私はラルフに言った。
ラルフは子爵邸の街から我が屋敷に帰る途中何も食べていなかったらしく、私がパンの売り上げでもらったお金をラルフに渡したが私に返してきた。
母が作ってくれた、スープも貪るように飲んでいたし、私が焼いたパンも美味しそうに食べていた。
父に使わなかった金貨一枚返していたし、正直で誠実な人なんだなぁと思った。
私が過去付き合った男の中ではかなり優良物件だ、なんて私は子供なのでそんな目で彼を見てはいけない。
パンの種に林檎酒を作ることも考えたが、リンゴを無菌状態で汁にするのは難しいのであきらめた。
冬の間ブドウの実が無くなるまでにたくさんの干しブドウをつくらなくてならない。
干しぶどうを熱湯を冷ました水にいれ、発酵させパンの種を作らなくてはいけない。
ブドウパンは人気があるが、最近我が館ではブドウパンの代わりにリンゴを入れたり、薬草を入れたり、チーズを入れたりして様々なパンを作っている。
今度ブドウパンの他に丸パンもおいてもらえば、もっとたくさんパンを提供できるかもしれない。
私の足の腫れが引き久々に街に行ったら、街は嵐がさったような静寂に包まれていた。
本陣の騎士たちは3日前にこの街から去ったようだが、とにかくお店は混乱が酷かったようで、パン屋さんのオババも疲れた顔をしていた。
私はさっそくブドウパンを10個と少し小さめの丸パンの見本を3個ほど持ってきた。
マルパンは真ん中にチーズやジャムをはさんで食べると美味しいとオババに言うと、そちらも委託販売してくれ、値もいままでより少し下げて販売してくれると言ってくれた。
私が一週間ほど顔を見せなかったので、もうパンを持って来てくれないのか、心配していたようだ。
私はブドウパンの代金、銀貨一枚をもらい、その足でラルフと雑貨屋さんに行った。
飼い葉の話をすると、定期的に買ってくれるなら安く仕入れてくれると言った。
私は痩せてしまった馬をみて、自分の姿と重なりラルフが馬を大切に思い可愛がってくれるなら、飼い葉でも何でも買って、馬にたくさん食べさせて元の姿に戻してあげようと思った。
馬が2頭になり、たくさんの餌が必要になるので、店にお願いした。
雑貨屋さんも隊が来た時大変だったようで、馬の蹄鉄が良く売れたそうだ。
その中に馬車の扉が壊れ、引き取りの依頼があったので、売り場の奥に置いてあるとのことで私はラルフと一緒に馬車を見に奥に行った。
馬車は何とか大人4人は乗れそうで、荷物の置き場もある。
ドアは壊れていたが、木のドアならラルフも修理が可能だと言ってくれた。
馬車の値は店主に聞いたら金貨さ3枚と言ったので、なんとか金貨2枚と銀貨5枚に交渉して下げた。
馬車はお父様の了承も必要なのでとりあえず、保留にしてもらった。
店の奥を覗くと、古い家具なのが置いてある。
リサイクルショップもしているのか?街の何でも屋さんなんだね。
屋根裏部屋の使わない家具があるかどうか父、母に確認してすこし店に出してもよさそうだ。
私は我が家にも馬車が持てるかもしれないとの期待が出てきて、嬉しかった。
そして、嬉しい事がつづいた。
洋品店に行き店主の話を聞き驚いた、母のドレスが高額で辺境伯の領主夫人に売れたそうだ。
母が店主に頼まれたクリーム色の街着も近じかできる予定だと言うと、店主は私にドレス代金として約束値の2倍の銀貨6枚をくれた。
母様も自分のドレス作りの腕が見込まれて、きっと喜ぶだろう。
私はラルフの長く伸びた髭が気になったので、雑貨屋さんに戻り、銅貨で髭そり道具を買った。
ラルフは恐縮してたが、ラルフは良い男だから、髭をそれば、さらに私の自慢のお兄さんに慣れると、彼に言った。




