母のドレス
母は天気の良い日の午後、薄緑色のドレスに美しい刺繍を施したドレスを持ち、私とラルフを伴い街の洋品店に出向いた。
私は馬に乗せられ、母とラルフは歩いて街に行った。
新しいドレスをまとった母は誰より美しく、やはり前領主妻としての気品と風格があったので、街の人達は私達を元貴族ということで噂したようだが本当のことなので黙認しよう。
ラルフが馬を馬止まりで馬の世話をしている間、私と母は洋裁店に行った。
店主は美しい母を見て、大変恐縮してたが、私は店の主人にさっそく母の作ったドレスをみせた。
母の着ているドレスは私とお揃いの胸に細いタックをとったものだか、袋から出したドレスは豪華で店の見本が何点かある中、一番豪華なものだった。
街に一件だけある洋品店は街の人達の利用が多いが、2か月に一度ほどは他領の貴族達がこの店に顔を出すらしい、「今までいた、優秀なお針子が他領に嫁ぐことになったので、ドレスを縫える人がいなくなり困っていた」とのことだった。
母の今着てるドレスは街の人達にも需要がありそうなので、クリーム色の生地を出してきて、これで一着サンプルを作ってほしいと頼まれた。
縫い賃は街着のドレスに銀貨2枚、刺繍入りドレスには銀貨3枚を私が提示したが、あっさり話はまとまった。
次回からは私が母の作るドレスを持ってくるとのことで了解してもらった。
そう言えば、私の作るブドウパンを初日に食べてくれたらしく、街では評判になっているという。
この間はパン屋に馬車でくる少年がやってきて、全部買い占めていったので、幻のパンになっているという。
私にはその少年にこころあたりがあり、銀貨3枚をくれたあの子だと思った。
店主にぜひ作ったらこちらでも買いたいと言われたがオババににらまれると怖いので、今度は2日後に行くのでその時買ってほしいと店主に行った。
オババは私のパンにかなり上乗せした金額でブドウパンを売っているらしい。
今度行ったら、もう少し値を下げてパンを売ってもらうか、パンの買い取り金額をあげてもらおうと思った。
クリーム色の布地をラルフに預かってもらい、私達親子はいつもの肉屋さんに立ち寄った。
肉屋さんのおじさんは、私の母を見ると、「この辺りでは見かけない絶世の美人」と褒めてくれ、「お嬢さんも大きくなったら、お母さん似の美人になる」と嬉しいことを言ってくれた。
まあ、私のことは多少褒めすぎだとおもうけど、ほんとうにそうなれたら、嬉しいな。
私も最近少し肉がついてきて、顔色も普通になりつつある。
自分でもすこしは見られるようになったと思った
ただ心配なのは私がこれ以上肉がつくとラルフとの馬の2人乗りが出来なくなる。
あまり私が重くなるとお馬さんが、可哀そう、、、私に体力がつけば、歩いて街にいくことも苦にならない。
私はパン屋さんでもらったお金で、肉屋さんで肉の塊と乾燥肉買った。
最近は裏庭の野菜畑で野菜が採れるようになったので、食卓はすこしゆとりのある食事が出せるようになってきた。
「お嬢さん、今日は何かのお祝い事か」と肉屋のおじさんに聞かれたので母の仕事祝いと言うと、バターの塊をサービスしてくれた。
朝の散歩は頑張ろうと思った。 今日はこの肉でステーキを焼こう。
ラルフの馬に乗せられ再び来た道を帰ったが、私たちは未来への希望の燃えていた。




