お母様の頑張りと子供らしからぬ嫉妬心
母様に洋品店から依頼が入り、母はお父様に了承を取り付けた、あまり無理のないようにとのことだが、母はなんとか見本のサンプルを早く仕上げようとかなり根を摘めてドレスを作っているようだ。
緑色のドレスはすでに出来て、母は今着ているがやはりこれもシンプルだが素敵なデザインで母に似合っている。
今日の夕飯は肉屋さんで牛乳を少しもらったので、小麦粉をバターで炒めミルクと骨付き肉の汁でのばした、玉ねぎと人参、白株をいれたクリームシチュウを作った。
私はクリームシチュウが好きで大学で好きな人と一緒に住んでた時、良く作っていた。
笑顔の素敵な優しいイケメンで、2人で将来結婚を誓ったが、友人と浮気したので、私はどうしても許せず、別れてしまった。
彼は土下座をして謝ったが、一度信頼を失ったら2度と彼を信じることが出来なかった。
その後何人かと恋愛して一緒に住んだが私に生活力がついてくると、相手は他の女に目がいったり、会社の仕事を辞めてしまったり、私は顔だけ良いダメンズコレクターになってしまった、などと過去を振り返りながらシチュウを作っていた。
母が「店にサンプルとして出すなら刺繍も少ししたほうがいいわね」と私に話しかけてきた。
そうそう、私はまだ14歳、ただれた男関係とはおさらばしてきた。
クリームシチュウは皆に好評だった。
食後、厨房を片付けから、母の部屋に行って私は母のドレス作りを見ていた。
母様は以前仕事で使っていた刺繍糸で今回のドレスの胸の部分をアラベスク風に刺繍していた。
母様は水色の布地で私のドレスを一枚と父様と弟とラルフのシャツを作る予定だったようだが、今回仕事が入ったので後になってしまったようだ。
あまり無理してもらいたくないので、サンプルはこのドレスだけで良いと思った。
注文は予約制にしてもらい、一か月本格的な婦人用ドレス一枚と街着用のドレス一枚ということにした。
今制作中のドレスが出来たら一度洋品店に母と挨拶にいかないといけない。
その時手間代のお金も相談しよう。
母はもともと子爵領のお嬢様だったようなので、交渉事は苦手かもしれない。
母は父との結婚の時支度金とたくさんの宝石を譲り受けたらしいが、その宝石も私の病気のためすべて売ってしまった。
私はこの家族のために生まれ変わったのだから、この家族を助けなくてはいけない使命がある。
「この刺繍糸は、伯爵夫人が定期的にドレスを注文してくれ、その際刺繍糸もたくさん用意されたので、余った刺繍糸でまだ母様の手元に大量に残っている」と母は私に言った。
きっとこの街にはない素晴らしいドレスが出来るので、手間代は弾んでもらおうと思った。
ブドウパンの売れ行きが心配で私は4日後再びオババのパン屋にブドウパンを6つ持って行った。
ブドウパンは馬車で買い物に来る人達に好評で今度いつ持ってくるのか、聞かれて困るとオババがいっていた。
そうでしょう、酵母がない世界では、ふっくらは柔らかいパンは、大金だしても買いたいと思う。
街に住む人たちには少し値段が高いせいか、買えないようなのでオババが上乗せしすぎなんじゃないの?
と言ってやった。
もう少したくさん持ってこられないか?と聞かれたが、今のところ増やす予定はない。
私は銅貨5枚を受取り、洋品店に行き、近いうちに母と一緒に挨拶に行くと主人に言った。
ラルフは私たちが街でアルバイトをすることになったので、自分も何か仕事をして家計を助けたいと言った。
街で週に一度位の仕事を探したが残念ながら、街には仕事が見つからなかった。
八百屋さんで野菜を買いながら、ラルフの仕事の話を聞いたら、「街には仕事はないが近くの村でっ収穫の労働力を求めているので、一週間ほどだが、兄さんみたいな色男が手伝いに来たら娘たちが喜ぶだろうから今度村の人が野菜を持ってきたら聞いてあげようか」とラルフに言った。
私はラルフの手をきつくつなぎ、一週間もいなくなるなんて嫌だ、と彼に言った。
これにはラルフも困って屋敷のご主人様に聞いてからにすると、その場の返事を控えた。
私は帰り道、不機嫌であった。
ラルフが村の娘を話しをしている姿を想像すると、なんだか、嫌だった。
ラルフは心配して私の体調を聞いてきたが、体調は良いんだけど、心が、、、なんだか変だった。
夕食の時、ラルフは農家での仕事のことを父に話していたが、父は「我が家でもそろそろ収穫できそうなものがある、それに今年の冬はここで過ごす初めての冬で薪も大量に必要になりそうだ、ラルフの助けがどうしても必要だ。 屋根の修理もあるし、暖炉も使えるようにしなくてはならない。
ラルフも自分の小遣いが欲しいとは思うが、今回は我が家の仕事を中心にしてくれ」と父はラルフに頼んだ。
ラルフは我が家にいてくれる、私は急に心が軽くなってしまった。
何なんだろう、この気持ちは、、、私はまだ幼い子供なのに、まだ見ぬ村の娘に嫉妬しているのだろうか? こんな気持ち悪い心、彼には絶対気づかれたくない。
私はラルフのことを思う、自分の心を封印した。
大人の私と子供の私がぶってかってしまい、バランスが悪い。
髪を梳き、ラルフが用意してくれたぬるま湯で顔を洗い、私はベッドに横になり神様を待った。
母に教わり黄緑の余った布で袋?のような不格好な服を作って枕元に置いたが、私の守り神様は現れてはくれなかった。
この服が気にいらなかったのかな? ボロボロの服よりましだと思うけどね。




