アップルパイとピザパイ
今日はラルフと買い物に出て、やはり少し疲れてしまった。
夕食は母様にまかせ、私は自分の部屋で少し休んだ。
母様は私の部屋にお茶と一緒に昼間焼いたアップルパイを持って来てくれた。
母は私にナイフでパイを切り分け、お皿にいれてくれた。
食べる前に私に見せてくれたのだ。
弟は私の部屋の外で、アップルパイ、アップルパイと大きな声で叫んでいた。
煩いから、少し小さめのアップルパイを切ってあげて、と母に言うと、弟は姉様それは酷い、と部屋に入ってきた。
ダニエルは今9歳であるが、もうすぐ10歳になる。
12歳になったら、貴族学校に行かなくてはならないのに、あまりに幼すぎる。
子爵令息なら、何でもないが、平民になった今彼には風当たりが強くなると思った。
大体特別枠で入れる能力があるのかも疑問である。
しょんぼりしてる彼に私は飴玉を一つあげた。
ちゃんと皆に均等にパイはわけてもらうから、もうすこし静かにしてね、と私は彼に言った。
それから、勉強はラルフに少しづつで良いから、教えてもらうようにして勉強してね、と彼の頭をなぜた。
明日は庭の釜でピザパイを焼こう、バターもたくさんもらったし、チーズも乾燥肉もある、香りのよいハーブのような草もある。
家の庭にも八百屋さんでもらった野草のどれかがあると助かるんだけど、明日ラルフとさがしてみよう。
私はお母様に明日はピザを焼くから、楽しみにしてて、ワインにもとても合うのよ、と言うと、アーノルドも喜ぶと顔をほころばせた。
母の笑顔は美しく、最近元気に少しづつなってきたのかと、私は嬉しくなった。
今日の夕飯はお父様の畑でとれた人参と菜っ葉をいれて、あと街のパン屋さんでもらった焦げたパンの焦げを落として、スープのなかにいれて、、、私はそのスープだけでよいから、と母に言った。
私は一人になった部屋で水鏡に顔をうつした。
痩せた青白い顔の少女が映っている。
まだ、目覚めて2週間ぐらいしか経ってないので、あんまり変わらないか、とため息をつくと、例の男が現れた。
ねぇ、誰だか知らないけど、乙女の部屋に勝手に表れないでよ、なにか私に話したいことでもあるの? と聞くと男は消えてしまった。
今回は聞き方が悪かったな、ちょっと自分の顔を見て、がっかりしてたから言葉がきつくなってしまった。
夕食に私が食卓に着かないと、皆が心配するかと思ったが、今日はこのまま部屋に閉じこもっていたかった。
ラルフのくれた飴玉を一つ、口に含んだ。 甘い懐かしい味がした。
部屋食を食べて、今日は明日に備え、早く休むことにした。
やはり体力のない私には、まだ、外出はきつかったのかもしれない。




