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第60話「ノブ号泣コンサート」

ショパンはピアニストのノブために「ノブコンサート」を主催者として開催した。


 ノブに幽体離脱を教えたアゲハも来ていた。


ノブ「最高の音楽家であるショパンに招待してもらい、私はもう喜びで発狂しそうです」


アゲハ「さっきまで発狂していたじゃない。体を大きく動かして、飛び跳ねていたじゃない」


ショパン「ノブさん。地上世界で僕たちの作品を演奏してくれて、どうもありがとう」


ラフマニノフ「演奏はまだまだ未熟だが、演奏する喜びを誰よりも顔に表して、ピアノを楽しんでいる!それは、評価するぞ!」



 コンサートではノブの写真入りポスターが貼りだされた。


 今回の主役はノブだった。


 ショパンはノブにご褒美を与えたのである。


 いつも、ピアノを愛し、演奏してくれている。


 こんなにピアノが好きな人は珍しい。


 ショパンはノブがピアノのみを生きる糧としていることを気に入っていた。


 ノブは最初に「英雄ポロネーズ」を弾いた。


 ノブにとって思い入れがある曲だ。


 ピアノを始めるきっかけになった曲。


 それの感謝の思いを演奏にぶつけた。


 ノブは涙を流しながら演奏している。


 目の前にショパンがいる。


 あの偉大なショパンが自分の演奏を聞いてくれている。




 その事実に、打ちひしがれ、全身が感動で震えた。


ショパン「ノブ君は本当に私の英雄ポロネーズが好きだな。ここまで好きなのか。彼にとって英雄ポロネーズが一番なんだな。私が霊界でたくさんポロネーズを作曲したから、それをいずれ、君に聞かせてやり、弾かせてやろう。演奏の仕方も作曲の仕方も教えてやりたい」


ラフマニノフ「ノブはすごいな。ショパンへの憧れの強さは半端じゃない。ショパンを超える天才になるかもしれないな!」


アゲハ「そんなことあり得ないわ。ピアノ曲の作曲に関しては、ショパンの足元にも及ばないからね。以前、ノブの作曲したピアノ曲を聞いてみたけれど、ショパンみたいな独創性のかけらもなかったわ。残念だけど、ショパンは一生超えられないと思うわ。ノブ本人はショパンを超えるピアノ曲が作曲できましたって豪語していたけどね」


 ノブは次にショパンの「ピアノ協奏曲」を弾いた。


 ノブはこの曲を弾くときも涙、涙、涙だった。


ショパン「僕が生前、20歳の時に作曲した、オーケストレーションの役割が縮小されている作品だね。我ながら、反省するよ。もっと、ラフマみたいにピアノ協奏曲も優れた傑作を書きたいな」


ラフマニノフ「もう、呪いは解けた。これからはたくさんオーケストレーションを上達して、オレと同じどころか、それ以上のピアノ協奏曲を生み出し、俺に相応しいライバルでいてくれ。今まで、ショパンがオーケストレーションが苦手だったのは、呪いのせいなのだから。自分を責めるなよ。オレを超えてくれ!そして、超えたら、オレがまた抜き返す!そうやって一緒に成長していこう!」  


アゲハ「あんたたち、仲良すぎて、やばいわね。見てるこっちが恥ずかしくなってくるわ」


 そうするうちに、ピアノ協奏曲1番を弾き終わったノブは、立ちあがり、マイクを持った。


ノブ「次の演奏曲は、死や虚無感、孤独、寂しさ、悲しみ、苦しみ、悲劇などを表現したかのような、死を連想させる曲です。僕は、この曲の虜になってしまいました。悲しい時に、この曲を弾くと、すごくメロディーに共感して、僕は泣いてしまうのです。こんな負の感情の全てを10分ちょっとでこれだけ表現し詰め込めるショパンは破格の大天才だと思います!ショパン!こんな素敵な曲をありがとう!」



 ノブは後ろでラフマニノフと一緒に座っているショパンに振り返り、丁寧に頭を下げ、また椅子に座り、ピアノを弾き始めた。


「バラード4番」


 ピアノ曲の最高峰である。


 ノブはバラード4番の演奏中に泣き出した。


 今度は号泣だ。


アゲハ「何よ、ノブ。泣きすぎにも程があるんじゃない?さっきから泣いてばかりね!」


 ノブの弾いている場所の上の部分には大画面のスクリーンがあり、そこには演奏のたびに映像が映し出される。


 英雄ポロネーズの時には、ある勇者が世界平和を実現させ、世界王になってゆく映像を。


 ピアノ協奏曲1番の時には、ノブの今までの地上世界での人生の一部始終の映像を。


 バラード4番の時には、あることが原因で亡くなった人への回想の映像を。


 バラード4番を弾いているときは、今までしていたように顔をフリフリさせなかった。


 今度はいつもと違く、顔が崩れて、ノブにとって人生で一番の号泣となった。


アゲハ「なによ。顔をフリフリさせて弾かないノブなんて初めて見たわ。珍しいわね」


 それは、号泣して、演奏がミスらないように、必死に鍵盤を意識したせいで、顔をフリフリ揺らして演奏するクセがその時だけ隠れたのだ。


 その次、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲2番」を演奏した。


 ラフマニノフは自分の曲が演奏されるとは聞かされていなくて、困惑した。


ラフマニノフ「どういうことだ?今日はオールショパンプログラムのはずだが……なぜ、俺の曲を?」


ショパン「なぜだろうね」


 ラフマニノフの2番を弾いているときは、スクリーンはショパンとラフマニノフの2人の仲良しの日常の映像しか流れなかった。



 約30分間、ずっとショパンとラフマニノフしか登場しなかった。


 2人が握手している場面や、海や空で日光浴しながら、作曲している場面や、イチゴジャムをショパンから取り上げているラフマニノフなどだ。


 演奏が終わり、今日のショパンがプロデュースしたノブによる演奏会は終了した。


ノブ「ショパンさん!! こんな素晴らしい日がやってくるとは夢にも思いませんでした。ありがとうございました!!念願だったショパンさんとの連弾、革命のエチュードも演奏できて、ヤバい嬉しくて仕方ないです」


ショパン「それはよかった。君は本当に楽しそうにピアノを弾く。見ていて笑顔になれるくらい心からピアノを愛してくれていることが伝わります。喜んでくれて、何よりです」


ラフマニノフ「なぜ、今日は俺のコンチェルトも弾いたんだ?? ショパンオンリー演奏会じゃなかったのか??」


ノブ「ショパンさんにはラフマの代表曲のピアノ協奏曲も必ず弾いてあげてほしい。僕だけの曲じゃなくてね。僕とラフマは一心同体で、最高のバディだから、僕だけの曲しか演奏しなかったら、ラフマが悲しむからって言ってくれました」


アゲハ「そうだったの?? 本当にショパンとラフマニノフは仲良しね。あなたたち、ちょっと友情が行き過ぎじゃない?? 見ていて、ゾクゾクするわ」


ラフマニノフ「ショパン!ありがとう!お前の真心が嬉しい!!」


ショパン「当たり前だろ!ラフマ!!!君を悲しませることは絶対にさせない!! 君を喜ばせることならいくらでも無限にするけどね!!」


 ショパンはラフマニノフにそう言い、、両手でハートマークを作り、、ラフマニノフに向けた。


アゲハ「ショパン、、あまりにラフマニノフと親密すぎて、、本当にこれ以上ないくらい稀なバディね!!」


ノブ「2人が今まで見たことがないくらい仲が良いのが、本当に僕も嬉しいです。見ていて、号泣するくらい」


アゲハ「もう、号泣はいいわ」


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