第40話「シナメルド」
ショパンとラフマニノフはシナメルドの屋敷に呼ばれていた。
シナメルド「私の政治家としての職務の手助けをしてほしい」
ショパン「といいますと?」
シナメルド「私は重度のうつ病を患っていたのだが、ショパンとラフマニノフの演奏を生で聞いたときにそのうつ病が一時的に回復したのだ。それからは、毎日、君たちの演奏を聴いている。生での演奏じゃないとダメなんだ。盗聴機をこれから仕掛けることを許可してほしい。君たちがピアノの演奏をする時だけ、盗聴器のスイッチを入れてほしい。これは頼みだ。生の君たちの演奏じゃないと、うつの気分の落ち込みが回復しないのだ。同じ音源の演奏はやがて慣れてしまい、何の効果も無くなってしまう。もし、頼みを聞いてくれるならば、君たちのエキスパートピアノという学校の経営許可証を無期限で発行しよう。更に、政治にも介入してもらう。君たちにこの地球圏霊界の運命を握らせたいと思う。もちろん、君たちは政治には詳しくないだろうが、音楽家としての名声をうまく利用すればいい効果が期待できると思うんだ」
ラフマニノフ「悪いですが、お断りですね!」
ショパン「こら、ラフマ。もっと口の利き方に気をつけなよ。この方は霊界の最高責任者なんだから」
ラフマニノフ「私たちは音楽家だ。ショパンを超えるピアノ音楽作曲家と私を超えるピアノ協奏曲の作曲家を輩出するために音楽学校は設立した。そして、今は、その志事に集中したい。二足のわらじは履けない。シナメルドさん。音楽学校の経営はいつも通りの方法で更新する。無期限の経営許可証が無くても、毎年の手続きを行えば済むことだ。私たちは政治に興味がない。あるのは音楽だ。政治は政治家に任せるつもりだ。頼むから集中させてくれ!」
ショパン「でも、シナメルド様はうつ病になり、困っているから、生の演奏をする時だけ接続される盗聴機は許可してあげたいな。シナメルドさんと仲良くなっておけば、太いパイプができるよ。何かあった時に助けてくれるかもしれないよ」
ラフマニノフ「霊界のトップだからこそ、盗聴器なんていうものは許可できない。生の演奏を聞きたければ、毎週行われている私たちのコンサートに来ればいい。盗聴機を許可したら、それができない人たちが可哀想だ。しっかりコンサートに足を運ぶ人たちに失礼だろ?私たちはシナメルド様に会いに来てもらいたい。毎週ね。そうすれば持病のうつ病も消し飛び、毎週、回復するだろ?それじゃダメなのか?」
シナメルド「さすが、ラフマニノフだ。ショパンよ。彼を見習いたまえ。実は試していたんだよ。私の変な提案をどのように断り、新しく自分の意見を言えるか、再提案するかをね。それは政治家として活動する上で最も大事な能力だからな。。ラフマニノフの考えはもっともだ。筋が通り、誠実だ。しかも、よく考えているね。私が君たちのコンサートに毎週、来れば、それだけでニュースになり、音楽学校の宣伝にもなり、より、君たちの夢が叶う確率が高くなる。また、毎週、私と会えることで、何かしら私たちとの距離が縮まり、仲が良くなり、何か大きな可能性が広がるかもしれない」
ショパン「ラフマ。君、すごいね。そこまで考えていたなんて。僕はまだまだ未熟だな」
ラフマニノフ「霊界のトップだけあり、あなたこそ誠実だ。やろうと思えば、私たちに音楽学校をご自身の権力で圧力をかけて、潰すことも簡単なはず。でも、それをしないんだからな」
シナメルド「私が最も重要としている永遠の人生観は、誠実であることだ。誠実であることに特別こだわっている。人間として腐らないように。心だけは美しくありたいんだ。どんな状況においても、自分でどのように解釈し、意味づけし、捉え、思い、行動するか。生き方だけは気高き、誇れるようなものでいたい。私は霊界では最大の権力を持っている。ラフマニノフが言った通り、君たちを潰そうと思えば、3日でできる。君たちを霊界から住めなくすることもできる。でも、そんなことして私には得がない。損しかないんだ。君たちはこの地球圏霊界の宝だからな。。君たちの夢を心から応援したい。政治の仕事を手伝ってほしいというより、君たちが音楽学校をできるだけ有名にし、ショパンとラフマニノフを超える音楽家を育て上げることは、私の願いでもある。夢があるんだよ。君たちの目指す未来には。だから、私のトップとしての権力を、力をできるだけ使い、その夢を全力でサポートする。追い風になるようにね」
ラフマニノフ「願ってもない話だが、なぜ、そこまで私たちに協力してくれるんだ?不思議でしかない」
ショパン「それはシナメルド様が私たちの音楽や演奏を気に入ったからですよね?好きになってくれたから、応援してくださるんですよね?」
シナメルド「応援ではない。協力したくなったのだ。一緒に夢を叶えていこう。ちなみに私にショパンとラフマニノフの音楽を教えてくれたのは、ゲンというコーヒー職人だ。君たちの親友って言っていた。だから、ゲンに感謝している。久しぶりにワクワクしているんだ。やはり、目標や夢はあったほうがいいな。目指すべきものを明確に持った方が、毎日が楽しくなる」
ラフマニノフ「ゲンが?あいつに感謝しないとな。シナメルド様と友達になれたんだからな」
ショパン「最近、ゲンは何しているかと思ったら、僕たちの力になってくれていたんだね。ありがとう。ゲン」




