第37話「フリスビー」
ショパンとラフマニノフはフリスビーを持って、桜並木のある公園にヨークシャーテリアのトムを連れて出没した。
ショパン「さあ、トム、このフリスビーを追いかけるんだ。口でくわえて、戻ってこい!」
ショパンは最初にトムに挑戦したが、トムはショパンを好いていなかった。トムはショパンの言うことを無視して、ラフマニノフにジャレまくっている。
ラフマニノフ「ショパン。手本を見せてやる!さあ、トム。行け!」
ラフマニノフがフリスビーを投げると、トムは物凄い勢いで追いかけた。
トムはフリスビーを持って、ラフマニノフの元へ戻ってきた。
ショパン「なんで?僕って嫌われているの?このバカ犬に」
ラフマニノフ「そういう些細な言葉遣いや態度が伝わっているだけじゃない。俺の場合は、餌の匂い付きのフリスビーで、ショパンのはただの何の意味もないプラスチックのフリスビーだ。トムは匂いに敏感だから、それで差ができたんだよ」
「ちょっと!ズルはダメよ。ラフマニノフ!」
なんとそこにはアゲハとピアニストのノブがいた。
ノブ「ラフマニノフさんとショパンさん。お久しぶりです」
ラフマニノフ「アゲハじゃないか。どうしてここにいるんだ?」
ノブ「僕がどうしてもショパンとラフマニノフに会いたいって懇願したんですよ。だから、連れてきてもらいました。僕のせいです。どうしても嫌だとしても、そんなの関係ありません。僕は2人に会いたいという気持ちは誰にも負けないのです」
ショパン「ノブ君。久しぶり。ピアノの腕前は上達したかな?? 僕が見てあげよう!」
「ドスン」
ショパンは公園にグランドピアノを魔法のように空中から出現させ、ノブに座らせた。
アゲハ「見せてやりなさい、ノブ」
ノブ「では、ショパンの蝶々のエチュードを弾きたいと思います」
ショパンの練習曲25-9「蝶々」がノブの手から紡ぎ出されている。途中、トムがピアノに乱入しようとしたら、いきなりノブはピアノに座りながらトムを蹴っ飛ばした。
「キャイン」
トムは心外な顔して、少しショックを受けているようだった。
演奏終了。
ラフマニノフ「ノブ、、、ひどいじゃないか。いくら、ピアノに熱中しているからといって、我が愛犬、トムを蹴っ飛ばすなんて!君にはガッカリしたよ。ピアノの腕より、人間性をもっと磨いてくれ!大丈夫か?トム!おーよしよし!」
トム「僕、ノブさんに蹴飛ばされて嬉しかったよ!アゲハさんにいつも蹴られているせいか、蹴られるのが快感になってしまったんだ。ラフマニノフさん!だから、大丈夫!」
ノブ「アゲハさんがトムは蹴飛ばされるのが大好きだって言っていたので、つい良いかなって思ってしまいました。ラフマニノフさんが不快になられたなら、申し訳ございません」
アゲハ「そうよ。ラフマニノフ。あなたの愛犬はオシリを蹴られるとすごく興奮して、喜ぶのよ。でも、ノブはオシリじゃなくて腕を蹴っ飛ばしたから、トムはやせ我慢して、ラフマニノフを安心させようと嘘をついているかもね」
ショパン「トム。ごめんね。僕がピアノをノブ君に弾かせなければ、痛い思いしなくて済んだのに」
トムを心配する言葉をかけたが、、本心では、、生意気な可愛くないトムがノブに蹴られて、、内心、、ざまあみろと、、ほくそ笑んでいたショパンであった。。
トムはまたショパンの言うことをスルーした。。
アゲハ「ノブ、トムにも同じようにあなたを蹴らせてあげれば?そうすればお互い様でしょ?」
トム「では、僕がノブさんが弾いたのと同じ蝶々のエチュードを弾くので、ノブさんは僕の邪魔をしてください」
ラフマニノフ「そんな設定プレイまでするのか?もうよくないか?この話は」
アゲハ「えっ?トムって蝶々弾けるの?ピアノ弾けるの?なんで?犬でしょ?」
ラフマニノフ「トムにもピアノを教えているからな。愛犬だから当然だろう!」
トムはいきなり2足歩行で犬が人間になった感じに変身した。ピアノを弾く手もしっかりと出現した。
トムは蝶々を弾きだした。
ノブは「ワンワンワンワン」とめちゃくちゃリアルにトムの真似をして、一同は少し引いてしまった。
トムはノブの乱入が始まると、思いっきりノブの体を蹴り飛ばし、ノブは10メートルくらい吹っ飛んだ!霊界じゃなかったら大けがしているところだろう。
トムは最後まで蝶々を、ノブより美しく弾いた。
ノブはあまりのトムの蹴りの威力に呆然としてしまった。
トム「これでアゲハさんの言う通り、おあいこですね。ああ、すっきりした」
ショパン「ちょっと威力強すぎるよね。トムの蹴りは。余程、恨んでいたんだろうな。建前と本音は分からないものかもなあ」
トムはまた犬の姿に戻り、かわいらしくラフマニノフに甘えだした。
「クウーーーン」
ノブ「犬から蹴られるなんて体験は本当にすっごい貴重だと思います。今日は来てよかったです。でも、たかが犬に人間の僕より美しいピアノ演奏を見せつけられて、悔しくて仕方ないです」




