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第34話「肉体装備区域」

ショパンとラフマニノフは「肉体装備区域」に来ていた。


 霊界では霊体で過ごすから、地上世界で肉体で生きていた頃の病気の苦痛とか、肉体的疲労とかそういうのは霊界では基本、味わえないのだが、この「肉体装備区域」にいると、肉体でいた頃の不自由さを仮体験することができる。


 霊体ではトイレをする排泄欲とかもなくなるし、食欲もなくなる。


 もちろん、食べたければなんでも食べることはできるが、やはり肉体を持っていた頃のような生理的欲求が薄くなり、刺激が少なくなる。


 つまり、地上世界、物質界で腹をたくさん空かせた時の大好物を食べた時の快楽、喜び、美味しさは霊界では基本的に同じようには味わえないのだ。


 しかし、「肉体装備区域」で仮に肉体の感じるものを装備すると、その物質界で肉体を持っていた頃と同じような感覚を味わうことができる。


 ショパンとラフマニノフは肉体装備区域に行き、仮肉体をつけて、地上世界にいた頃のような懐かしさというかそういうものを味わっていた。


 2人はステーキ屋さんに来ていた。


ショパン「ああ、やっぱり美味しいね。肉体をつけると。味が深まる。感覚が過敏になり、快楽が増すよ」


ラフマニノフ「こうやってたまに地上世界を思い出すのもいいよな」


 ラフマニノフはいきなりステーキを食しているときに立ち上がり、トイレに行った。


ラフマニノフ「ああ、最高!!」


 トイレの中から聞こえてきて、他のお客もいてショパンは少し恥ずかしかった。


 ラフマニノフはトイレから出て、戻ると、なんと息切れしていた。


 何故、息切れしていたのかショパンはすぐに悟った。


ショパン「ラフマ。どうだった?排泄は。霊体なら絶対に味わえないよね。肉体があるからこそ味わえるんだよね。出すの気持ちよかった?排泄音がここまで聞こえてきたよ」


ラフマニノフ「早くトイレで出す快楽におぼれたくて、下剤を飲んだくらいだからな。ああ、俺が80年前に地上で生きていた頃はこんな排泄、トイレを何回もしたんだよなと懐かしくなったよ」


ショパン「肉体を装備すると、霊体で食事するときの1億倍は美味しいよね」


ラフマニノフ「霊体で長い間、生活していると、とにかく刺激が欲しくなる。肉体があった時の痛みすら、痛覚すらありがたくなるよ。疲れとか、しんどさとかね。それすら嬉しくなる。よし、今度はサッカーしに行こう」


 2人はサッカー大会に出場することにした。


ショパン「うーん。僕のこの肉体はあまり運動神経、体力がないみたい」


ラフマニノフ「サッカーやってみたら意外と優秀かもしれないな。俺は。さあ、ウォーミングアップにランニングしながらサッカーの試合会場に行こうか」


 2人はサッカーをやるといっても初心者なので、初心者枠の大会にエントリーした。


 サッカー歴1年未満の人たちが集まる会場だった。


 簡単なルール説明から始まった。


 サッカー会場はショパンとラフマニノフが来たことで他の人たちが騒ぎ出した。


「握手してください!サインください!」


 そんなのばかりだった。


 ショパンとラフマニノフは互いにFWとして登録され、試合開始した。


 自身の予想を反して、ショパンはとってもドリブルが上手だった。


 何より、サッカーを初めてプレーして、その面白さの虜になってしまった。


 他のチームメイトにパスを送らずに、ドリブルばかりして個人で突破しようとする姿勢が強すぎて、しだいにショパンにパスが送られなくなる。


 ドリブルは上手だが、シュートはとっても下手で何度も決定機を逃した。


 ラフマニノフはショパンとは反対で、ドリブルは苦手だが、シュートがチームナンバーワンだった。


 とは言っても初心者の中限定だが。


 ショパンは「なんでパスをよこさないんだ!!」ってチームメイトを責めたが、言い返され、反論できなかった。


チームメイト「ショパン。。あなたはチームワークを重視してください。一人だけでプレーしないこと。しっかり、味方にパスをしながら、ドリブルをしていってください。それができないなら私たちはパスはしません」


ショパン「分かったよ」


ラフマニノフ「本当に分かっているのか?」


 ラフマニノフは汗をかく気持ちよさ、肉体を持ち、太陽がさんさん照り付ける暖かさ、暑さにすごく幸せな気持ちでいっぱいだった。


 地上世界で、、肉体があるときにいつも味わえていた、、


 当時の感覚が、、今、、完全に思い出された。。


 休憩時間に、、


 ラフマニノフは大量に汗を流し、、脱水症状により、、アク○リアスを1.5リットル、、一気に飲み干した。


 あまりの美味しさ、、喉の気持ちよさ、、快感にラフマニノフは心を震わした。。


 気温は39度で、、夏の世界にいる。。


 氷を食べたり、、全てが快感だった。


 ショパンはチームメイトに注意され、少し自信を無くして元気がなくなっていた。


 試合が開始され、ショパンにボールが渡った。


 ショパンは得意のドリブルで5人をかわし、初めてラフマ二ノフにパスを通した。


 地上世界のアルゼンチン代表の有名な5人抜きと、、同じコース、、同じタッチ数だったショパン。


 ショパンはドリブルは天才的だった。。


 そして、ラフマニノフが得意の長身を生かしたヘディングシュートで右上隅にゴールし、3-2で勝利した。


 しかし、ラフマニノフは下剤の影響で漏らしてしまった。


 あの排泄物の匂いが周りを包み、肉体装備ペンダントをラフマニノフは外し、みんなに迷惑かからないように名残惜しむように、霊体に戻った。


 霊体に戻ったことで、匂いも消えた。


 ショパンもすぐにペンダントを外し、ラフマニノフと同じように霊体に戻った。


ショパン「ラフマ。ナイスシュートだったよ。協力して、試合に勝てたことは本当に嬉しかった。でも、漏らすのは恥ずかしいね。でも、肉体があるからこそ感じられるものがあるんだよね。なんだか、肉体で死ぬまで暮らせる物質界、地上世界が恋しくなったよ。この霊界では、霊体だから刺激がなくなり、退屈を感じるようになるんだよね。だから、不自由を味わい、刺激を味わうために苦痛ばかりの地上世界に人は生まれていくんだね」


ラフマニノフ「非常に言いずらいが、漏れるか、漏れないか、出るか、出ないかの境目の時が一番気持ちいい。我慢しているときの快感はなかなか忘れていたよ。あの頃の感覚が蘇ったよ」


ショパン「そうか。僕も味わえないかな?」


ラフマニノフ「それはまた今度な。肉体を持てる幸せは計り知れないよ。それに気づいたよ。みんなも気づくといいな。今、肉体をまとい、物質界で生きている人は、いずれ、霊界に来たら、霊体で生活することになる。少しでも肉体でいられるときの今がいかに貴重で幸せかが分かると思う」



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