第27話「バイオレット」
音楽学校「エキスパートピアノ」で教授たちに推薦された一人の女性がいた。
その女性の名は「バイオレット」。
ショパンとラフマニノフのどちらかを選んでくださいと言われたときにバイオレットは迷わずラフマニノフを選んだ。
その時の態度の勢いはとても殺気立っていて、教授たちは驚愕した。
ラフマニノフは弟子選抜試験を実施した。
バイオレットのために。
バイオレットはラフマニノフに至近距離で会えて、話ができるのが歓喜の瞬間だった。
ラフマニノフ「バイオレットだな。では、弾いてみろ!」
バイオレット「はい!」
バイオレットの演奏は圧巻だった。ラフマニノフはただただ、頭をコクコクしてうなずいていた。
ラフマニノフは口を結んだり、顔の表情が幾度となく変化した。
バイオレットは演奏が終わると、ラフマニノフに急接近して、ラフマニノフの顔を両手で挟み、なんと、大胆にもキスをした。
ラフマニノフ「何するんだ!お前正気か?」
バイオレット「大好きです!ラフマニノフ先生。私のキスをいくらでも拒めたのに、、拒まなかったのは、、ラフマニノフ先生も、、私にキスをしてもらいたかったからではないですか??」
ラフマニノフ「そ、、そんなことはない!! 残念だったな!私はすで心に決めた人がいる!お前の願いは叶わない!早く服を着ろ。そんなので弟子にしてもらおうとするな!お前の演奏はとにかく今まで見てきたこの学校の生徒の中でも3本の指に入る。弟子にはしてやるが、これからも誘惑するなら、指導はできないぞ?」
バイオレット「いや、本気なんです!本気でラフマニノフ先生のことが好きなんです!あなたしかいないんです!こんなに胸が熱くなるのはあなただけなの!」
『ダーン!! ダン!!』
いきなりピアノから不協和音が流れた。
スケルツォ1番の冒頭のショパン史上最大の怒りに似た二つの不協和音だ。
バイオレットの後ろにはショパンがいつの間にかいた。
ショパン「バイオレットさん。この学校でラフマニフを誘惑するのはダメだと入学式で言ったはずですよ。あまりしつこいと、退学も考えてもらいますからね!」
バイオレット「そんな⋯では、ラフマニノフ先生が心に決めた人って一体誰なんですか?まさか、ショパンとか言いませんよね?」
ラフマニノフ「それはどうだかな」
バイオレット「ラフマニノフ先生、しっかり答えてください!!!」
ラフマニノフは困ってしまった。
ショパンに対する相棒愛と異性に対する恋は種類が違うのだ。
ショパン「ラフマは私のものだ!絶対に渡さない!あなたが本気でラフマを手に入れようとするならば私はこの学校の校長としてあなたを退学処分にさせる!」
バイオレットも困ってしまった。
ラフマニノフをあきらめきれない。
でも、この学校を辞めてしまえば、これからの生きる原動力であるショパンとラフマニノフを超えるピアニストと作曲家になるという夢を失う。
バイオレット「では、ラフマニノフ先生に手を出さなければいいのですね。一緒にいるだけなら問題ないですね?」
ショパン「本当に一緒にいるだけならね」
ラフマニノフ「俺ってそんなにモテるのか??」
バイオレット「ラフマニノフさんと一緒にいたいんです。何かしら力になりたい!」
ショパン「ラフマが君に力を貸すんだよ。逆だよ!」
バイオレット「ショパンなんか相手にならないくらいの魅力的な人間になって、ラフマニノフ先生から愛される人になります!」
ショパン「私を舐めすぎだな。自惚れるのも程々にしたまえ!」
ラフマニノフ「とにかく、明日の朝7時ちょうどだな。この部屋にまた来てくれ!バイオレット。君は正式な弟子だ。私をものにしたいという欲望は分かったが、それはそれとして君の演奏は確かに何か魅力があり、私に教わる資格は十分あると思う!」
バイオレット「ありがとうございます!それではまた来ます!」
バイオレットはそそくさと顔面を赤くしながら、満足そうに退出した。
ショパン「ラフマ。君があまりにモテるから、僕がラフマを好きになっているように見せかけて、君に寄ってくる恋人目的の人たちを遠ざけてるつもりだが⋯バイオレットは美人だし、君は正直、どう思っているんだ?バイオレットのことを」
ラフマニノフ「お前がいなかったら、今頃、バイオレットと混ざり合っていたかもしれないな。俺は本当は誘惑に弱いからな。これからも、歯止めを効かせる俺のブレーキになってくれ!」
ショパン「君に寄ってくる女が本当に多すぎるね。学校設立してもう9人目だ!君も大変だな」
ラフマニノフ「バイオレットは今まで寄ってきた何百人の女性の中でも、、飛び抜けて、、別格で、、一番良い女だな。。美人すぎるが、、性格も情熱的で、、魅力的で、、久しぶりに興奮してしまった!! いきなりキスをしてくるとはな。大きな度胸と勇気に、、惚れてしまいそうだ!!」




