表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/121

第22話「シャーベットランド」

「シャーベットランド」に旅行に来ているショパンとラフマニノフ。


ショパン「雪が降るとどこかへ移動したりする車が使えなかったり、何メートルも積もって溶けるまで身動きとれなくなったり、ろくでもねえなって思っていたこともあったけど、それも昔の話さ。雪をひとつの芸術として、美として感じることができるようになっただけ、僕は成長したみたいだな」


ラフマニノフ「ショパンは芸術家だ。音楽家。だから、、どんなもの、どんなことも『美しい魅力』を感じ取り、、吸収する目や心、感受性を高めることが何よりの喜びであり、、名作を作るうえで一番必要なことだからな。それより見ろ、ショパン。雪のうさぎだぞ。10匹くらい作ったぞ。この一番大きいヤンキーみたいな目つきのうさぎが番長で、そのほかは子分だ。ショパンはうさぎたちが帰る宿を作ってくれないか?」


 うさぎの目にはピンクダイヤモンドが埋め込まれていて、それはそれはとっても雪の色とマッチして美しかったに違いない。


ショパン「僕がピアノ曲を作曲するようなこだわりと情熱で、うさぎの家をつくってやるか」


 ショパンが作った家はうさぎ本体より全然小さい、手抜きと思われても仕方ないものだった。しかし、ショパン日く、この家に入ろうとすると、うさぎが家に合わせて小さくなり、広い敷地を満喫できるようになっているらしい。


ラフマニノフ「雪に絵を描こう。この食器用洗剤の容器に絵の具とお湯を混ぜたカラー色水を入れて、お絵描きするんだ」


ショパン「これなーんだ!」


ラフマニノフ「なんだこの雪だるまにしか見えないものは」


ショパン「ド〇〇もんだよ。日本では国民的キャラクターなんだよ。現実世界でも実在するらしいよ。霊界にもド〇〇もんはいるらしいよ。会った人がいるんだって噂だよ。都市伝説みたいな類だけど。僕、このキャラクター好きなんだ!」


ラフマニノフ「都市伝説だろ?俺はド〇〇もんに会ったことがないが……」


ショパン「いや、ド〇〇もんは実在するよ」


 2人は粉雪が降るシャーベットランドの人気の温泉に入っていた。


ラフマニノフ「雪を浴びながらの温泉は最高だよ。雪の肌寒さと温泉の肌温かさが絶妙に組み合わさって、素晴らしい感覚を体験させてくれる」


ショパン「あっ、サルが入ってきた。僕のイヤなアレを温泉の中でしないだろうね?なんかサルと一緒の温泉は嫌なんだけど。犬ならいいんだけどね。シベリアンハスキーとか」


ラフマニノフ「相変わらず細かいな。お前は。全く、その繊細さがあのバラードを生んだのかな」


ショパン「『明るくユーモアに満ちた彼自身の光の部分と、病弱で神経質だった影の部分が彼が生み出す美しい旋律の随所で伺い知れます』って言ってほしいね」


 ラフマニノフは荷物からハンバーガーとフライドポテトを取り出した。


ラフマニノフ「ほら、食べろ。ペンギン君!」


ショパン「ペンギンって可愛いよね。僕、大好き。歩き方が特にヨチヨチ歩きで僕を笑顔にさせてくれるんだよね!」


 ペンギンが何匹か、温泉の中に侵入してきた。美味しそうな食べ物につられてのことだ。


ラフマニノフ「なあ、ショパン。今、降っているこの雪の結晶たちをしっかり観察してごらん。面白いことに気づくぞ?」


ショパンは注意深く、雪の結晶を手に乗せ、目を細くして、見てみた。


ショパン「あっ、僕の顔じゃん。この雪。なんで?なんでこんなことが?あっ、ラフマの顔もある」


ラフマニノフ「この雪は自分の思った通りに形を変えてくれるらしい。面白いだろ?」


ショパン「僕もやってみる!」


 ショパンはラフマニノフの目の前に降っている雪に自分の思念を飛ばした。そうすると、ラフマニノフの目の前に大きな葉っぱの形の雪が作られ、「粋な演出ありがとう!ラフマ」と書かれていた。


 このシャーベットランドでは太陽がさんさんと照り付けながら、雪が降っているので、太陽の日差しと、雪を2種類、同時に楽しめるという地上世界では体験できない現象が起きる。


ショパン「ああ、太陽が最高!ずっとこのままでいたーい。青い空から雪が降ってくるという神秘。この体験からまた曲を生む霊感が育まれそう」


ラフマニノフ「俺も快晴の空を見ながら、太陽の光に照り付けられるほど嬉しいこと、幸せなこと、快感なことはないと思うぞ」


ショパン「ねえ、ラフマ。なんで、神は地上世界を作ったんだろう。この霊界だけあればいいのにね。霊界のほうがずっと幸せになれるしね。地上世界、つまり、物質界なんていらなくない?戦争とか貧困とか嫌なことばかり目がついて、地獄としか言いようがないよね」


ラフマニノフ「でも、霊界にずっといると飽きてこないか?全て自由で思い通り。なんか、刺激が欲しくなるんだと思う。魂がな。不自由を味わったから、自由に幸せを感じることができるんだよ。霊界では全て自由だから、その自由が当たり前になり、だんだん幸せという感情が薄れてくるかもな。だから、あえて不自由の多い地上世界に行き、不自由や苦痛を味わうんだ。そうすることで、感覚をリセットさせ、また自由に幸せと強く感じるようになれると思うしな。物質界でしか味わえない喜びもあるしな。この霊界ではお腹が空くことがないから、物質界のほうが食事も美味しいと思うぞ。肉体による生理現象で、食欲があるからな。肉体にいるときしか味わえない幸せがあるんだと思う」


ショパン「じゃあ、ラフマは物質界にまた転生したいと思うの?」


ラフマニノフ「絶対に嫌だ!あくまで俺は考えを述べただけだ。戻りたいなんて少しも考えちゃいないよ。それより、あと20分後にアイスレースを2人で参加するように予約してあるんだ。そろそろ温泉から出るぞ?」


ショパン「そんなの聞いてないよ」


ラフマニノフ「言ってなかったからな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ