第13話「芳樹と彰一」
彰一「なんだ?この扉?」
芳樹「あまり得体の知れないものには触れないほうがいいぜ?」
2人は探検隊と称して、ある島にやってきていた。
彰一「とにかく入ろうか!」
芳樹「なんか怖いなあ。でも、ワクワクもするなあ」
いきなり遭遇したポツンと置いてある扉。どこに繋がっているのだろうか。2人の好奇心は頂点に達していた。
彰一「せーの!」
バン!
「えっ?わああああああああ!」
扉を開けた瞬間、2人は扉の中へと掃除機に吸い込まれるようにして消えた。
異空間のトンネルのようなものを進んでいった2人。10秒くらいで出口が見えた。異空間は宇宙みたいに星のような円形の光がたくさん見えて、美しかったが、一瞬だったのでその景色を楽しんでいるヒマはなかった。
彰一「死ぬかと思ったーーーー!何が起きたんだ……」
芳樹「あり得ないよな!扉に吸い込まれるとか。多分、これは夢だよ!僕たちは夢を見ているんだ!」
彰一「でも、意識も痛覚もはっきりしている。夢とはとても思えない!」
芳樹「もしかしたら開けてはいけない扉だったのかな??」
彰一「まあ、こんな経験は人生でもそうそうないだろうぜ!せっかく探検隊としてはこの未知なる旅のチャンスを無駄にしたくないからな!俺は先に進むぜ」
芳樹「あまり動き回ると、帰れなくなってしまうかもよ?それだけがすごい不安。でも、見た感じ、ここは建物がたくさんあるし、人もたくさん歩いているし、多分、大丈夫だよ!あっ、そうだ!あのベンチで座っている老人にここがどこなのか聞いてみよう!」
2人はベンチに座るおじさんに話しかけてみた。
芳樹「すいませーん!あの!ちょっとお聞きしたいことが!」
おじさん「どうしたのじゃ??」
彰一「あっ!よかった!日本語通じるね。てっきり外国みたいな街並みだから英語とかじゃないと通じないとか考えちゃったよ!」
芳樹「今、僕たちがいるこの場所はどこなんですか??」
おじさん「ここは火星じゃよ!」
彰一「はあ?火星だって?うそだろ?」
おじさん「ちょっと手首を見せてくれ!うーん。生命データによると君たちは地球から来たんだな。それも日本から」
芳樹「生命データってなんですか?手首見ただけで何が分かるの?」
おじさん「このサングラスには生命データを見ることができるんだ。君らには見えなくても、わしには全て見えている!」
芳樹「でも、火星っていったって、こんな人や建物があるはずないんだけど!」
おじさん「火星の霊界だ。霊界とは、つまり、幽霊たちの世界だ!」
彰一「ガーーーーン!てことは、あなたは幽霊なの?俺たちはまだ死んでないんだよ?」
おじさん「わかっている。君たち、ある扉から来たんだろう?ピンク色の」
彰一「そうだよ!なんで分かるの?探検していたら、その扉を見つけて、ワクワクして開けてしまったんだ!そしたら、その扉の中に無理やり吸い込まれたんだ!」
芳樹「僕たち帰れるの?帰り道が分からなくて!出口が見当たらないんだ!」
おじさん「ああ、あの扉は私が作ったんだ!安心したまえ。私はあの扉の開発者。私がこの火星に連れてきたい人にだけその扉が現れるんだ!」
彰一「どういうことだよ。それじゃあ、あなたが俺たちをここに連れてきたいから、その扉に俺たちは出会えたってワケ?つまり、あなたが俺たちを連れてきた?」
おじさん「君たちはショパン国際ピアノコンクールに出場するらしいじゃないか。嬉しいね。私の名を冠したコンクールが我が故郷の地球でこんなに有名になっているなんてね!」
芳樹「え?ということは?まさか⋯あなたはショパンですか?」
彰一「芳樹?バカか?そんなわけないだろう!ショパンがこんな火星にいるわけない。それに、いたとしてもこんなおじさんみたいな風貌しているわけない」
芳樹「でも、さっきおじさんがショパンコンクールを『私の名前を冠したコンクール』って……」
おじさん「2人がどうしてもショパンに会いたがっているってことで、その願いを叶えてやろうと思って、この火星に招待したんだよ」
芳樹「そんなことより答えてください!あなたがあのフレデリック・フランソワ・ショパンですか?」
おじさんは突如、ショパンの姿に変身した!
ショパン「こんにちは!芳樹君。私は正真正銘、本物のショパンですよ!」
芳樹「ああああ!あの!あの!あのショパン!あなたが?」
芳樹はショパンの手を取り、、強く握手したが、、ショパンの手はあまり力が入ってない様子だった。。
芳樹「ああ、本当にショパンに会えるなんて!こんなのあり得ないよ!彰ー!お前も喜んだらどうだ?嬉しいだろ??」
彰一「騙されやすいにも程が。僕は騙されないぞ?あなたがショパンだってどうしても信じられない。証拠だってないし!そりゃ、僕だってショパンには会いたいし。でも、どうしても信じられない。証拠がない」
ショパン「実は私の一番の目的は、彰一君に会うためだったんですよ!芳樹君というより、あなたにね!」
彰一「なんで?なんで俺に会いたかったの?」
ショパン「彰一君はいずれ世界一のピアニストになります。ショパンコンクールで優勝してね。そして、私の新たなる作品を地球に広める仕事に着きます。私が彰一君に憑依して、作曲をする仲になるんです!」
彰一「まったく意味が分からないな!未来のことは誰にもわからないはず!それに僕はショパンコンクールで優勝するはずない。芳樹より、全然才能ないし」
ショパン「いいえ。彰一君はある日、突然、ピアノがとても上達します。今は信じられなくても、人は突然変わることがあるのです。芳樹君とは比べ物にならないくらいの世界最高のピアニストになるのです」
芳樹「ねえ、ショパンさん。彰一ばかり気にしててずるいよ」
ショパン「仕方ないです。彰一君はいずれ、世界最大のピアニストになる。しかし、あなたはどこにでもいる凡人ピアニストにしかなれません!興味がないんです!」
芳樹はかなりショックを受けた。
彰一「でも、そんな話、、信じられない!やっぱり、僕はただの普通のピアニストだよ。未来を予知できるわけないじゃないか!あなた、何者なんだ?」
ショパン「いいえ、未来はある程度、、決まっています!! 霊界に本格的に来れば、、分かるでしょう。。そして、彰一君は私に会うことにより、ピアノへの愛が深まり、才能が磨かれ、コツをつかむようになります。私は彰一君を世界最高のピアニストにさせるためにわざわざこうして会う機会を作りました」
彰一「??」
芳樹「彰ーばかり優遇していて嫌だなあ。ショパンには失望したよ」
ショパン「さあ、彰一君。私が直にピアノを生演奏してあげよう。そして、レッスンもしてあげる。芳樹君は帰ってよろしい!髪の毛を一本抜くと、帰れるよ!」
すると大柄の男が近づいてきた。その顔はラフマニノフそっくりというより本人だった。
ラフマニノフ「こらこら、ショパン。お前、才能の無い奴に冷たくするな!お前の悪い癖だぞ!芳樹君は私が面倒みる。ショパンコンクールでどっちが優勝させられるか勝負だ!ショパン!」
芳樹「えっ?今度はラフマニノフ?あのラフマニノフが僕を気にしている??」
こうして、ショパンとラフマニノフは互いに、地球の生徒、彰一と芳樹を抱え、どちらがショパンコンクールで優勝させられるか、いい成績を残せるか。先生としての能力を競い合うことになる。
ラフマニノフ「泣くな!芳樹!未来は変えられる!私が未来を変えてやるから!一緒にショパンコンクールで優勝しよう!ショパンなんかに俺は絶対に負けないからな!可能な限りのことはしていこう!未来は常に刻一刻と変化している。俺がお前を、彰一をも超えるピアニストに育て上げればいいだけだ。難しいことに挑戦したほうが面白いからな。私はすごく今、燃えているよ!不可能を可能にしていくことをな!」
芳樹「ありがとう!ラフマニノフさん。彰一をやっつけましょう!ショパンなんかに負けたくない!」
ラフマニノフ「その意気だ!少年!」
ある日、いきなりコツをつかみ天才になるという彰一。凡才のどこにでもいる芳樹。2人はいずれ、ショパンコンクールで良きライバルとなれるだろうか??




