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第11話「コーヒー屋のゲン」

ショパンとラフマニノフはコーヒー仲間のゲンのところに来ていた。


ラフマニノフ「美味しいブレンドの配合を見つけたぞ。史上最高のおいしさだ。飲んでみてくれ」


ゲン「うーん。これはマンデリン『フレンチロースト7割』、エチオピア『シティロースト3割』」


ラフマニノフ「さすがだな!お前は神の舌を持つ男だな。正解だ」


ショパン「フレンチローストって何?」


ゲン「焙煎の度合いのことですよ。深い焙煎のことがフレンチロースト。やや深い焙煎がシティローストです」


ショパン「焙煎って何?」


ラフマニノフ「焙煎とはローストといい、生豆を加熱して、豆の細胞組織中に糖類や有機酸を精製させ、芳香物質や褐色色素、苦み成分を生成させることだ。ショパンはコーヒーの素人だからな。私たちについてきたくば、しっかりコーヒーの基礎を勉強しなさい」


ショパン「なんかめんどくさいな。僕はゲンさんの入れるコーヒーを飲みたくてついてきたんだよ」


ラフマニノフ「俺が毎日飲ませているじゃないか?俺のじゃ満足できてないのか?」


ショパン「同じ味にしか感じないんだ。僕の舌がおかしいのかな?でも、僕は生前、少年時代にどんぐりコーヒーを飲んでいたことは思い出すよ」


 ショパンは自身が書いたシャファルニャ通信1824年8月19日号の文面をラフマニノフとゲンに見せた。


「本年、同月18日、ショパン氏、ドングリコーヒーを七杯飲む。これを八杯飲まなければならない日も近いか」


ゲン「わざわざ証拠を見せつけなくてもいいと思いますけどね」


ラフマニノフ「ショパンはいろいろとこだわる奴なんだよ。こいつにコービーをハマらせたら私たち以上に美味しいコーヒーのブレンド黄金比を発見するかもしれない」


ショパン「僕はラフマに付き合っているだけで、コーヒーは興味ないのが正直なところなんだけど」


ゲン「それより今日はショパンさんと初対面です。ショパンの生のピアノ演奏をぜひ堪能したいな」


ショパン「何の曲がいいですか?」


ゲン「ラフマニノフに幽体離脱を習ってから、私は霊界に自由に来れるようになった。そして、あなた方二人と知り合えた。コーヒーを通じてね。あの有名なショパンに会えると聞いて胸が高鳴っていました。英雄ポロネーズを弾いていただけますか?」


ショパン「分かりました。」


ショパンはゲンが空中から出現させた、、王様の絵がカラフルに描かれたピアノで演奏した。


ゲン「ラフマと違ってゆっくりと味わうように弾きますね。これがショパンか。世界中の名だたるピアニストや音楽愛好家たちがショパンの生演奏を聴きたがっていることでしょう。でも、それはいずれ肉体が死を迎えることにより、霊界のショパンに会えるようになることで成就する。死は人間最後にして最大のご褒美なのかもしれません」


ショパン「私に会いたがる人は星の数ほどいます。でも、みんながみんな会えるわけじゃないです。ゲンさん。あなたは幸運ですね。ラフマのコネがなかったら多分、私とあなたは会えてない」


ラフマニノフ「ショパンは霊界でも人気者で、常に客人がひっきりなしに来る。それに嫌気がさしてショパンは槍を使う番人を雇ったくらいだ。無断で来た人を、許可なくショパンの前に現れた人を槍で追い返すんだ」


ゲン「今度、ショパンとラフマニノフの演奏会に私を招待してください」


ショパン「ゲンさん。あなたはシンガーソングライターらしいじゃないですか。ピアノ演奏した代わりに何か歌ってくれませんか?あなたの一番歌いたい歌を」


ゲン「分かりました」


「おはよう、世の中⋯」


ゲンは歌いだした。


ショパン「いい曲ですね。元気が出ます。イントロの出だしが特に好きです。私たちは音楽家として友達3人組になりましょう」


ゲン「友達と言ってもらえるなんて、恐縮です。まだまだあなた方お二人には及ばない駆け出しの音楽家ですから、これから精進していきます」


ラフマニノフ「ゲンは俺たちと違って声帯を使って歌う歌手だ。だから、種類が違うから比べられないよ。それぞれに違う個性や良さがあるからな。私たちはクラシック音楽家だ。ゲンはミュージシャンだ。まあ、天才度でいったら、俺、ゲン、ショパン、の順だな。だから、ゲンはもっと私たちの友達に相応しいくらいの天才を目指すんだ!」


ショパン「なんで僕がゲンより下なんだい?? そういうおふざけはいいから……」


ゲン「分かりました。もっと天才になれるように向上していきます」


ショパン「いくらゲンが才能あっても私たちみたいになるのは無理じゃないかな?」


ラフマニノフ「いや、ゲンならショパンを超えられる可能性がある」


ショパン「何だよ。それ。僕のこと甘く見てない?」


ゲン「ショパンを超えられるとは露ほどにも思っていません。ただ、過去の自分と比較して前進できればいいです。さあ、今度は私の選んだ史上最高のコーヒーを淹れましょう」


ラフマニノフ「ショパン、ゲンのコーヒーへの情熱はお前のピアノに対する情熱に似ていると思い、なんだか親近感が湧かないか?」


ショパン「あっ!!!ラフマのコーヒーより全然美味しい。レベルが違う!!!どうしたらこんな美味になるんだろう!!!ラフマはゲンを見習えよ!」


ゲン「そう言われると、嬉しいですね。まあ、これはラフマに教えてもらったブレンドですが」


ショパン「そうだったの?今までのラフマとは違うね」


ラフマニノフ「ゲン、それはないぞ。お前のオリジナルブレンドを淹れてくれ」


ゲン「喜んで!」



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