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第101話「無になりたい」

地上世界を他界してすぐに、、霊界最高責任者のシナメルドにある用で会いに来た少年「カイト」がいた。。


 カイト「僕は!! 僕はシナメルドに会いに来たんだ!!」


 霊界の霊役所にシナメルドはいる。。


 霊役所の職員「困ります!! シナメルド様には許可されてからじゃないと会えません!!」


 カイト「シナメルドーーーー!!!! 出てこい!!!! シ・ナ・メ・・・」


 全部言いかけた時に、、


 シナメルド「おう、、君の想いがここまで届いて胸が苦しくなったよ。。」


 シナメルドが、、カイトの前に現れた。。









 シナメルド「そうか、、完全な無になりたいということか。。一応、聞こう。。なぜ、、無になりたいんだ??」


 カイト「地上世界で死んだらすべて終わると思っていたんです。。自分という存在から解放され、、何も感じなくなれると、、無になれると思っていた。。でも、、実際は霊界がありました。。死後の世界があり、、またそこでも生きなくてはいけない。。もう、、これ以上、、生きるのはうんざりです。私は人生に疲れました。。だから、、無になりたい」



 シナメルド「無になることはできる。。この『無水』を飲めば、、、君は跡形もなく、、存在ごと消える。。どうする?? 飲むか??」


 シナメルドは、、水が入ったペットボトルをカイトに見せた。。


 ペットボトルを振り、、無水を強調した。。


 カイト「はい!! 飲みます!! 飲ませてください!!」


 シナメルド「ちょっと無になる前に、、私の頼みも聞いてくれ。。君の頼みを聞いたのだから、、いいだろう」


 シナメルドは生命通信時計を出した。。


 シナメルド「ショパン!! ラフマニノフ!! ゲン!! 私だ!! 今、、人生に疲れて、、無水を飲みたいという少年がいるんだ。。だから、、君たちの音楽の力を借りたい。。来てくれるか??」



 


 10分後くらいに、、ショパン、ラフマニノフ、ゲンの3人がシナメルドと少年「カイト」の前に登場した。。



 シナメルド「3人とも、、私に力を貸してくれ。。頼む!! 彼の苦しみを音楽で癒してくれ!!」



 ショパン「カイト君。。君にピアノ演奏を聴いてもらう。。大して時間かからないから。。無水を飲むのは、、後にしてもらおう」



 カイト「今すぐ、、飲みたいんだけど、、まあ、、いいか。。それより、、あなた方2人は超有名な音楽家ですよね?? ゲンも、、知っています。でも、、僕はピアノ音楽をあまり聞いたことがないから……」


 シナメルド「聞いてやれ!! ショパンの名演奏を!!」



 ラフマニノフ「ショパン!! 弾いてやれ!! 極上の舟歌を」


 ゲン「楽しみだ!!」



 ショパンは、、オレンジ色のグランドピアノを出現させて、、自身の最高傑作、、「舟歌」を弾き始めた。。




 少年のカイトは、、舟歌が、、だんだん盛り上がって幻想的になる部分で、、気づいたら、、涙を流していた。。



 そして、、最も静かで美しい箇所が演奏された。。



 まるで、、人生という美しい大海原の波が、、いきなりやさしくなり、、波の音が、、小さく、、そよ風のように、、揺れているような。。


 小さくも、、儚く、、美しい、、静かな波音。。


 それをピアノが奏でている。。


 ショパン本人が。。


 もう、、カイトはこの世とも、、あの世のものとも思えない、、興奮と胸の高鳴りを覚えた。。


 カイト「な……な、、、なんなんだ、、これは……なんて美しい音楽なんだ。。こんな音楽があるのに、、僕は無になろうとしていたのか……無になったら、、無水を飲んだら、、もうこんな美しい魔法のような感動的な音楽を聴くこともできなくなるのか……」


 カイトはひざまずいて、、目を閉じ、、放心状態になり、、我に返った。。


 あまりに感動してしまった。。

 

 とんでもなく、、心が癒されたのだ。。


 ショパン「あと、、3曲、、幻想ポロネーズとバラード4番とノクターン12番を弾きます!!」



 ショパンはピアノを35分ほど弾きとおした。。



 カイトはすでに、、無にはなりたくないという心が芽生えていた。。


 これからもこの美しい音楽を楽しみたい、、味わいたい。。


 生きて行こうと、、思った。。



 シナメルド「ラフマニノフ、、次に君のピアノ協奏曲第2番のメロディーを少し弾いてやれ!!」」


 ラフマニノフ「シナメルド様、、オーケストラを連れてきてしまいました!! 少年のためです!!」



 今まで、、気づかなかったが、、生命隠匿装置で隠れていた、、ラフマニノフのオーケストラが、、


 いきなりみんなの前に現れた。。



 ショパン「僕の最高傑作の舟歌を弾いたんだから、、ラフマも最高傑作をすべて弾かないとね!!」



 ラフマニノフは、、ショパンの弾いたピアノに座り、、自身のピアノ協奏曲第2番を全楽章、、オーケストラと共に本格的に弾いた。。



 カイト「凄い……」


 カイトは涙目になり、、存在していてよかったと、、存在していることこそが喜びだと本気で感じた。。



 シナメルド「ゲン!! 最後に君の最高傑作を!!」


 ゲン「では、、一番お気に入りな、、アイデアを」


 ゲンは、、そのラフマニノフのオーケストラの演奏で、、アイデアをマイクで熱唱した。。



 


 シナメルド「少年よ。。どうだ、、これでもまだ無になりたいか?? この無水を飲もうと思うか??」



 カイト「みんなの、、特に、、特にショパンの舟歌などに癒されました。。無水を飲んだら、、もう二度と聞けないと思うと、、絶対に、、飲めません。。僕に無水は必要なくなりました。。ありがとう。。皆さん!!」


 カイトは、、シナメルド、ショパン、ラフマニノフ、ゲンに頭を下げて、、感謝した。。



 ラフマニノフ「特に、、この演奏した3人の中で誰が良かった??」


 カイト「ショパンが圧倒的でした。。ショパンの舟歌などは、、僕のような、、苦しんでいる人の太陽です!!」


 ショパン「ベートーベンやモーツァルトもこの場にいれば、、更に、、この少年を感動させられたのにな!!」


 シナメルド「今、、呼び出そう!!」


 ラフマニノフ「えっ?? 今から??」


 カイト「更に、、凄い音楽家の本人による生演奏が聞けるのか……」



 ゲン「カイト君!! 君が知らないだけで、、この世界には、、美しいものや感動、、喜びもたくさんあるから、、一緒に、、生きて行こう。。それに、、無水なんて本当は存在しないんだよ。。そうでしょ?? シナメルド様??」



 シナメルド「ああ、、本当は、、無水なんてものはない。。我々は、、永遠に無にはなれない。。死ぬことはできないんだ。。でも、、それを苦しみと捉えるか、、喜びと捉えるかは、、自分たちで選べる。。喜びと捉えれば、、この世は幸せなことばかりだ。。もちろん、、後ろ向きな気持ちになることもあるだろう。。本当に苦しい時には、、前向きになれない時ももちろんある。。だがな、、少年よ、、ショパンも、ラフマニノフも、ゲンも、私もいる。。君は一人じゃない。。これから先、、もっと素晴らしい音楽を聴いていこう。。そのために、、苦しんでいる人を救うために、、音楽は存在しているんだからな」


 カイト「ありがとうございます。。僕、、やっぱり、、無にはなりたくないです。。ショパンの舟歌が聞けなくなるからです。。舟歌が聞けるなら、、どんな苦痛があっても耐えて、、生きていきます。。生きていきたいです!!」


 ゲン「シナメルド様、、これで、、私たちは失礼します。。エキスパートピアノ音楽学校の、、成績表彰式の準備がありますから……」


 シナメルド「ゲン、、君も私をシナメルドと呼び捨てにしたまえ。。なんか距離を感じるからな!! 君だって、、ショパン、、ラフマニノフの大事な相棒であり、、友だからな。。私にとっても、、大事な友だぞ??」


 ゲン「ありがとう。。シナメルド。。 じゃあ、、これからは何なりとタメ口の呼び捨てにするよ!!」


 シナメルド「それでよろしい!! それで!!」




 「おまたせ!!!!」



 ベートーベンとモーツァルトも登場した。。



 ベートーベン「私の第九、、特に歓喜の歌を聞かせてやろう!!」


 モーツァルト「私は、、えーーーーと、、何にしようかな??」



 カイトはこの日は、、なかなか家に帰らせてもらえなかったという。。


 初めて、、、「なぜ、、音楽が存在しているのか?? ここまで発展してきたのか??」


 を知る日になった。。


 「苦しんでいる人を癒すために、、音楽は存在していて、、必要とされていて、、今も、、発展して、、聴かれ、、演奏され続け、、作り続けられている」



 人間にとって、、生命にとって、、音楽がいかに大事かをカイトは思い知ったのである。。


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