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ぶっちゃけ大化の改新って何?ってレベルの俺が、当時のドロドロ権力抗争を最前線で見守ることになったんだが。  作者: 五稜 司


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第56話:海斗流、適当(?)な懐柔策

「……というわけでさ、おじいさん。ここに都ができると、ぶっちゃけ便利だよ?」

近江の岸辺。海斗は先日、網を繕っていた例の老人の横に座り込み、不比等から押し付けられた計画書を地面に放り出していた。


「……また貴様か。便利など求めておらんと言っただろう」

老人は相変わらず冷たいが、海斗は気にせず、懐から取り出した干し肉(古麻呂からくすねた)を差し出した。

「まぁ食ってよ。これ美味いから。あのね、都が来れば道がすげー綺麗になるわけ。おじいさんが市場に行く時も、足元がグチャグチャにならなくて済むじゃん。あと、網の糸とかも、もっと丈夫なやつが飛鳥からドバッと届くよ、たぶん」

老人の手が、ふと止まる。

「……丈夫な、網だと?」

「そうそう。あっちの連中、そういうの作るの得意だし。おじいさんの網も、もっと楽に直せるようになるって。マジで」


海斗は深いことは考えていない。ただ、自分が不便だと思ったことと、飛鳥で見かけた「すごそうなもの」をノリで結びつけただけだ。しかし、その「生活が楽になる」という単純なイメージは、難しい理想を語る不比等の演説よりも、老人の心にスッと入り込んだ。


「……フン。調子の良い小僧だ。だが、その丈夫な網の話、嘘ではないだろうな?」

「嘘ついたら、あっちで胃を壊してる子麻呂くんに罰ゲームさせるから。信じてよ」

遠くで調査中の子麻呂が「くしゅん!」とくしゃみをするのが聞こえた。老人は小さく笑い、「……少しだけ、話を聞いてやらんでもない」と口を開いた。


その様子を影から見ていた不比等は、信じられないものを見る目で絶句していた。

「(……論理的な利害説明ではなく、網の糸の話で心を掴むとは。海斗殿、やはり底が知れない……!)」

海斗の「適当」な説得が、不比等のエリート頭脳を混乱させながらも、着実に近江の地盤を固めていくのだった。


【今回の学習ポイント】


・大陸の最新技術: 当時の日本は、唐や百済から来た渡来人たちが持ち込んだ最新技術の宝庫で、建築や金属加工だけでなく「織物・繊維技術」も飛躍的に向上し、漁具や衣類の耐久性が上がった時期でもあったんだよ。


官道かんどうの役割: 遷都に伴い整備された道は、軍事的な移動だけでなく、地方の特産品を都へ運ぶための「物流インフラ」としても機能したんだ。これにより、地方の産物が都の市場へ、都の最新技術が地方へと循環する仕組みが整い始めたんだ。


近江おうみの特産品: 琵琶湖周辺は古くから漁業が盛んだったけど、都が置かれたことで「淡海おうみの魚」は朝廷への献上品としても重要な位置を占めるようになっていったんだ。地元の民にとって、都が来ることは最大の「お得意様」が目の前に現れることでもあったんだね。

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