表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶっちゃけ大化の改新って何?ってレベルの俺が、当時のドロドロ権力抗争を最前線で見守ることになったんだが。  作者: 五稜 司


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/57

第51話:上司のムチャ振りは、いつも突然に

「……え、引っ越し? マジで言ってんの?」

飛鳥あすかの片隅で、俺、海斗かいとは目の前の光景に呆然としていた。

「こんなヤバい場所から逃げたい」ってボヤいただけなのに、なぜかそれが『国家レベルの戦略的撤退』として受理されてしまったらしい。


「あー……引っ越し作業とか、マジでコスパ悪いんだけど。誰だよ遷都せんととか言い出したやつ」

「――貴様きさまだ、海斗」

背後から聞き覚えのある、低くて厳しい声がした。


振り返ると、そこにはしばらく見ない間に一段とクマがひどくなった、俺の直属の上司・中臣鎌足なかとみのかまたりが立っていた。


「あ、鎌足かまたりさん! お久しぶりっす。……って、俺のせいなのこれ?」

「貴様が『ここは危ない』と不比等ふひとに吹き込んだのだろうが。おかげで中大兄なかのおおえ様までノリノリだ。斉明さいめい様が亡くなられてからというもの、中大兄様は即位そくいもせずにまつりごとに追われておられる。その上に遷都となれば、引っ越し作業と事務作業で大わらわだ。このブラックな労働環境をどうしてくれる」

鎌足さんは頭を抱えてため息をついた。相変わらず上下関係には厳しいけど、どこか苦労人気質なところがあるから話しやすい。


「いや、俺はただ『怖いから帰りてぇ』って言っただけで……。てか、斉明様が生きてたら、また『もっとデカい塔を建てろ!』とか言って、引っ越しどころじゃなかったかもっすね」


海斗の脳裏に、数年前までこの国を振り回していたパワフルすぎる女帝、斉明天皇の姿が浮かんだ。狂ったように運河を掘らせたり、石の塔を建てさせたり……。あのバアちゃんに比べれば、中大兄様はまだ話が通じる方だ。


「……ふん、あの御方の無茶に比べれば、遷都などまだ大人しいものか。だが、中大兄様からの指令だ。貴様には遷都の先遣隊せんけんたいとして、現地の近江おうみの状況をリサーチしてきてもらう。もちろん、佐伯さえき子麻呂こまろも一緒だ」


「えぇー! 俺、まだこの時代の地図も読めないんすけど! 近江ってどこ!? 琵琶湖びわこでバス釣りでもしてろってこと?」

「何を言っているのか分からんが、拒否権はない。もし遅れたら……わかっているな?」


鎌足さんの目が笑っていない。これはガチのやつだ。

俺は隣で「うう……緊張で胃が……」と吐きそうになっている同僚の子麻呂の背中を叩きながら、空を仰いだ。


「ま、なんとかなるっしょ。とりあえず、おやつ持ってっていいっすか?」

俺の能天気な問いかけに、鎌足さんは今日一番の深いため息をついた。


【今回の学習ポイント】


・中臣鎌足とブラック労働: 鎌足は中大兄皇子の右腕として死ぬまで働きまくった、古代日本屈指の「スーパー社畜」だよ。この時期は斉明天皇が亡くなった後のバタバタと、唐が攻めてくるかもっていうプレッシャーで、彼の胃の痛みはマックスだったはず!


斉明天皇は工事好き: 斉明天皇はとにかく大規模な土木工事が大好きで、「狂心たぶれこころみぞ」なんて呼ばれる無駄(?)に長い運河を掘らせたりしたんだ。超パワフルな女帝だったんだよ。


近江おうみってどこ?: 今の滋賀県大津市のこと。当時は「飛鳥から遠すぎる!」って大反対されたんだけど、中大兄皇子は「海路でパッと逃げられるし、防衛に最高じゃん!」って強引に決めたんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ