夏休み
夏休みといっても美紀に何かプランがあるわけではなかった。
帰省する故郷があるわけではないし、普段と変わらない生活だ。
ボーナスで市民プールに少しだけ多く行けたらな…と美紀は思った。
そんなことを漠然と考えていると、夏実を迎えに行った保育園の帰り道でばったり千佳さんに出会った。
「ちょうど良かった、電話しようと思ってたんだ」
「電話?」
「そうそう、そろそろ夏休みだからさ。もし、あまりプランないなら夏実ちゃんうちの実家に来ない?」
「実家?」
「そう、伊豆の家の実家。今年は久しぶりに1週間ぐらい帰ろうかと思って。実家には妹がいて5歳と7歳の女の子がいるんだけど。
「千佳さんの実家が伊豆だったなんて知らなかった。」
「そう…。実家は無いものだと思ってた。」
「…。」
何を返そうか迷った美紀の顔を見て千佳は笑った。
「父とソリが合わなくてさ、いつも喧嘩ばかりしてて…。ある日、理由も、わからないほど些細なことだったと思うんだけど、喧嘩して「二度と帰ってくるな」て言われて…それでそれから帰ってなかったんだ」
「それから?」
「去年夏休みといっても何かプランがあるわけではなかった。
帰省する故郷があるわけではないし、普段と変わらない生活でボーナスで市民プールに少しだけ多く行けたらな…と美紀は思った。
そんなことを漠然と考えていると、夏実を迎えに行った保育園の帰り道でばったり千佳さんに出会った。
「そろそろ夏休みだね。もし、あまりプランないなら夏実ちゃん家の実家に来ない?」
「実家?」
「そう、伊豆の家の実家。今年は久しぶりに1週間ぐらい帰ろうかと思って。実家には妹がいて5歳と7歳の女の子がいるんだけど。
「千佳さんの実家が伊豆だったなんて知らなかった。」
「そう…父とソリが合わなくてさ、いつも喧嘩ばかりしてて…。ある日、理由も、わからないほど些細なことだったと思うんだけど、喧嘩して「二度と帰ってくるな」て言われて…それでそれから帰ってなかったんだ」
「…でも、帰れるようになったんだ…」
「そう。去年、そんな父が脳梗塞になってさ、倒れて…見舞いに帰ったよ。結局、帰るなって言われたら帰らない頑固なところとかは父親似なんだよね…。」
(頑固ものか…)
「今は何もわからなくなっちゃちって、老人ホームにはいった。でも、今はとても幸せそう。でも…この年になって思うのはもうちょっと話しておきたいことがあったなぁって…。」
千佳さんは遠くを見ている。




