そういえば…
愛子の元に猫を抱いた二十歳くらいの娘がやってくる。
「ねえママ、可愛いでしょう。」
愛子は娘の抱いている猫を見ると、まだ小さな小さな子猫だ。
「可愛いね。」
「ねえ私、この子飼いたいの。お母さんからも、お父さんを説得してよ。」
「それは難しいわね。」
「えー。でも、この子と暮らしたいの。」
「そうね…。一応頑張ってみようかな…」
「嬉しい!」
娘は猫を抱いたまま愛子に抱きついた。
「飼えるといいわね。で、その子名前は?」
「吾輩は猫である、名前はまだ無い。」
娘は、猫に胸を張らせるような格好をさせる。
「名前ないのか。」
「名前、何がいいかな?」
「みいちゃん。」
「みいちゃん?」
娘は楽しそうに笑っている。
「そう、猫と言ったらみいちゃんでしょ。」
「そう?今の時期にみいちゃん?」
猫が「みぃ〜」と言っている。
「ほら、猫もそう言ってる。」
「目が黄色でルンルンしてるから、イエローとかがいいかな。」
「そう?ピンとこないけど」
「そうなのよね、なんかイマイチで。もうちょっと考えてみよう。」
「そうね、でも、そんなことよりお父さんどうにかなるのかしら。」
「本当…。ならないときは…」
娘は、小さく頭を上下させている。
開け放っていた窓から強い風が吹き込んできて、ドアがバターンと閉まった。
娘の腕の中で猫がビクッとした。




