第16話
罪在の森 PM11:45
あれから3時間近くが経過しているというのに、未だに残りの石は見つからない。
前回はさっさと見つかっただろ。
何でこんなに時間がかかるんだよ。
あれから苦労して一つの石は見つける事ができたが、残りの一つが見つからないでいた。
後、15分しかない。
誰かに明言されたわけではないけど、俺はもう残されたタイムリミットを薄々感じている。
今日中に見つけないと、おそらく茉莉は持たないのではない。
あのループ世界の始まりと同じ時刻にこの世界で起きた事に意味があるなら、きっち終わりの時刻にも意味があるはずだ。
どうして何度も繰り返したのが1月10日だったのか。
どうして他の日付ではなかったのか。
どうして地続きの1月11日ではなかったのか。
それは、茉莉が俺の目の前からいねくなってしまうという現実がつきつけられた転機の日付だたという事にも関係しているのだろう。
俺の中の罪と俺自身が向き合う為にはあの日付でないと駄目だった。
けれど、それ以外にも意味があるとしたら、俺も茉莉も本来なら1月11日の12時59分までに死ぬはずだったのではないかと言う事。
俺達には1月11日を無事に乗り越えられる未来が存在していなかったから、その日になる前の日を延々とループし続けていたのではないだろうか。
考えすぎかもしれない。
だけど、簡単に笑い飛ばすにしては無理がある。
早くしないと茉莉がまた手の届かない場所に行ってしまうかもしれない。
時間が近づいてくるたびに焦りが募っていく。
あいつはどれだけ俺を心配させれば気が住むんだ。
実は俺の事が嫌いとか言わないよな。
ストレスで間接的に俺を殺す気か。
「早く見つかってくれ、頼む……」
神頼みみたいな事もしたし、実際災にも呼びかけてみたが、何も変わらなかった。
罪と向き合った後は、自分で何とかしろと言う事なんだろう。
巻き込んどいて勝手な奴だ。
勝手だからこそ、神らしいとも言えるが。
いや、あの世界で過ごす機会を与えられた事は感謝してる。
本当なら俺は、何も知らないまま、何も気がつけないまま、運命に抗う事も出来ないまま、この1月11日に全てを失っていたのかもしれないだから。
チャンスをもらっておいて、その先まで欲張るのは欲深い人間の専売特許だ。
それらを掴むのは、俺達が頑張るべき仕事なんだろう。
「ん、ここにいたのか。おかしいな」
そんな中、離れた所を探していた先輩がこちらを見つめて、首を傾げて見せた。
「どうかしたんですか」
「いや、気のせいだろうな。先程、君に似た人間が向こうにいたような気がしたのだが、そんなはずはあるまい」
「……?」
俺に似た人間?
俺は言わずもがなで、ここで石探しをしていた。
それは俺自身がよく分かっている。
だから、先輩が見た人影は見間違いだろう。
そうに違いないし、そう考えるのが普通だ。
だが、何かがひっかかった。
俺は、何か肝心な事を忘れてやしないか?
茉莉は一応、アイツらの監禁場所からは助けたし、先輩の事情もなんとかできた。
けれど、他にもまだ懸念材料はあったんじゃないか?
例えば円は……。
円?
「まさかっ!」
俺は慌てて円の姿を探す。
近くにはない。
探すのに夢中で、どこかに離れてしまった様だ。
時間がないのに。
まずいまずいまずい。
何で忘れてたんだ。
あいつを殺したストーカーは、円を狙っていたんじゃなかったのか。
もし、この世界でも同じように円が首を突っ込んでいたとしたら。
一人になった時に狙われないわけがない!




