第13話
罪在の森 PM9:00
あの後無事に地下下水空間から出られて、茉莉も無事に然るべき場所へと届ける事ができた。
予想したほど雨の影響もでてなくて、懸念していたほど時間もとられなかった。
けれど、それだけで本来の予定していたよりも大幅に時間を使ってしまった事は確かだった。
つまり、事ここに至って俺は、織香が何を懸念していたのか、やっと理解したのだった。
彼女が石を探せと言っていた理由は、その為だった。
一応、その他の場所で同時進行していたライバル会社の取引の件については、人質である茉莉を救出した後に、円経由で警察に通報してある。なので、これ以上先輩も先輩の会社も、新たな被害を被る事はないだろう。
だが言った通り、俺達がやるべき事はまだ残っている。
夜も深まって来るこの時間帯。
俺達は、茉莉を病院に預けたその足で基地へ向かい、五つの石が入った円の箱を回収してから、罪在の森へとやって来ていた。
そこでするのは奇跡をもたらす、残りの二つの石の捜索。
つまりここにきてするのは神頼みというわけだ。
オカルトに頼る事に関してはまったく今更だと思うが、こう人の力でなんとかできない分野に足を突っ込むのはあまりいい気分ではない。
そう言えば、円には本当に今更だと言われたし。
先輩には完全に人の力だけで純粋に解決できるものなど、ありはしないと言われたが。
とにかく話を戻すが、病院で診てもらった茉莉の容態はよくなかった。
一体何を投与されたのか分からないが、茉莉の熱はひどくなる一方だった。
眠っている茉莉はとても苦しそうで、見ていられなかった。
明らかにただの風邪や熱の症状ではないのは、あらじめ分かっていた事だ。
だがそんなの、だからといって簡単に割り切れる現実じゃない。
本音を言えば、苦しんでる幼なじみの傍に、ずっとついてやりたかった。
けれどそれじゃあ駄目のなのだ。
一緒にいては茉莉を助ける事ができない。
だから、俺達ば渋々ここまでやって来た。
「そんな顔しないの、茉莉ちゃんはきっと助かるわ」
「円」
円が俺に励ましの声をかけてくれる。
彼女はあの地下で、俺が考え無しに扉を叩いて痛めた拳を、持ち前のハンカチでさっと手当してくれたりしていた。
今の彼女は、普段のがさつさが嘘みたいな態度で、俺の事を気遣ってくれる。
その優しさが今は少しありがたかったが、同時に今までの態度を思うと変な感じもしてくる。
円とはずっと男友達みたいな感じで接してきたからな。
「まさか、こんな鬱蒼とした森の中で、夜中に石探しする事になるなんて思わなかったわね」
比較的近くで探している円は、懐中電灯で地面を照らしながら、絶えず悪態をつきながらうろうろしている。
地下に入る時は一つしかなかった懐中電灯だが、ここに来る差異に人数分を確保してきたので、各地にばらけるのに不自由はしなかった。




