第5話
箱から出た後は、二人から事情を聴きながら、町の中へ。
先輩達が土の中に埋まった俺に辿りつけたのは、先輩の屋敷に送りつけられてきた脅迫状があったからだ。
先輩の会社のライバル会社が、先輩の作った試薬品やサンプル狙って、取引に使う為に、身近にいる友人(つまり茉莉)を誘拐したようだ。
そして、茉莉が人質にされた事を知った先輩は円と話しあい、俺とも連絡を取ろうとした。
しかし、俺と連絡が取れないため(いつも茉莉と一緒にいることから)、共に巻き込まれてしまったのではないかと推測したらしい。
1月10日の時点では、彼女たちは犯人との交渉や手がかりについて話しあいを進めつつも、俺の行方についてあれこれ思いをめぐらせていたらしかった。
しかし日付が変わって1月11日。
円が父親から、罪在の森に不審者がいるらしいという情報を手に入れた。
それで来てみれば、石を探しに来ていた織香と出会う事になって、本当の不審人間(つまり俺を埋めた奴等)の目撃証言を聴いた後、俺が埋まっている詳しい場所を探し当てたのだった。
罪在の森の不審者情報といい、円の家族の事といい、あの世界で信じられない目にばかりあったが、それらの事は、虚構の情報ばかりでもなかったようだ。
そんな成り行きがあって、現在に至る俺達だが、今は町の中である手がかりを探して奔走していた。
実は、あれから茉莉からのメールが追加でまた送られてきていたのだ。
「茉莉から送られてきた暗号は、NECOだ。そして、もう一つは、交通標識。何か心当たりはあるかな」
桐谷先輩が心当たりがないか、こちらに尋ねてくる。
たぶんあいつの居場所の手がかりだろう。
送られてきた内容は上の二つだけだ。
だが、俺にはそれが何を示しているか分かった。
俺はとある巻き戻りの世界で世話になった、場所へと辿り着いた。
あの世界での出来事が、ただの虚構の集まりでないとするならば、きっとここで間違いはないはずなのだ。
予想が正しければ、この近くに茉莉が捕まっているはずだが……。
町の中にある、その場所……ネットカフェを前にして、円が不満そうに訪ねてくる。
「ねぇ未来、本当にその考えで合ってるの? 茉莉ちゃんの落書き帳なんて今、手元にないじゃない」
いぶかしまれるが、説明している時間が惜しかった。
「いや、これであっているはずなんだ」
茉莉を長々と、よく知りもしない連中に預けていていたくない。
急く気持ちを自覚しながらも、俺は付近の疑わしい場所をしらみつぶしに探していく。
だが、ここら辺は、商業用の建物ばかりが並んでいるため、迂闊におかしな所まで入り込む事はできない。




