第4話
1月11日
吸血鬼の住む家??? 暗闇 AM6:30
目を覚ましたら箱の中に入っていた。
「……?」
意識がはっきりしてくると、記憶が蘇って来る。
そうだ、あの日……1月10日の朝に茉莉をなくしたわけじゃなかった。
茉莉が攫われたんだ、だからあの日は一生懸命探していたんだ。
それで、そこで犯人達を見つけて尾行してたら、ふいをつかれてしまった。
犯人を捜すつもりが、逆に返り討ちにあうなんて、何て滑稽だろう。
茉莉は今何してるんだろうか。
泣いてるんだろうか。怖がってないだろうか。
無事でいてくれるよな……。
ふいに携帯が鳴り響く。
メールの着信だ。
狭い箱の中で苦心して携帯をのぞいてみると、そこには……。
『未来、おはよー。あたしは元気です』
そんな文面があった。
「な……」
ひょっとして無事だったのか?
そう思ったが、それならば俺はこんな所に棺桶じみた狭い箱の中に閉じ込められてたりはしない。
どうにかして、犯人の目を盗んでメールできたのか?
のんびりしているようにみて、茉莉はあれで結構悪知恵が働くからな。
「まったく、人を気遣う前に自分の心配しろ」
安堵の感情を抱く共に気が抜けそうになる。
が、安心感に浸ってる間もなくこちらを頭痛が襲ってきた。
息苦しい。
一体どれくらい閉じ込められていたのか分からないが、こんな狭い場所に入れられていたら遠からず窒息してしまう。
気分的にも薄暗くて、まるで棺桶の中に死体になって入ってるような心地になってくるしで、良い事がない。
早くどうにかして出なければならないだろう。
だが……。
「箱を壊しても生き埋めになるだけだよな……」
鼻につくのは土の匂い。
棺桶風の箱の天井を殴って壊したところで、土がなだれ込んてきて窒息するだけだろう。
どうやら犯人はご丁寧にも、俺を入れた箱を、堀った地面の中に埋めていったらしい。
「気が滅入るな」
だが、かといって諦めるわけにはいかない。
どうにかしてここから出なければ。
そんな事を考えていると、ふいに箱の外が騒がしくなった。
聞き覚えのある声だ。
ややあって、シャベルで土を掘るような音がして、箱の扉が叩かれた。
「……かない。ぜんっぜん開かないじゃないの。クソ頑丈じゃない」
「困ったな。どうしたものだろう」
円と先輩の声だ。
どうやってかは分からないが、助けに来てくれたらしい。
だが、外から箱を開けるのは中々難儀しているようだ。
この体勢では、あまり力が出せないが、内側からも頑張るしかなさそうだ。
「円! 先輩」
しかし、外に伝えようとして叫んだら、頭痛がひどくなってきた。
完全密封されていなかったためか、箱の隙間から空気が入ってきているのはいいものの、同じ場所で同じ姿勢でいた事が影響してそうだ。
「未来! やっぱり、そこにいるのね。桐谷の言った通りだわ」
「ああ、無事……とはいいがたいようだが、君が生きていてくれて良かった」
俺は安堵する二人に近くから退くように言って、力まかせに箱を蹴りつけた。
さすがに一度では無理だったが、何度かやると隙間があいたので、そこに円が穴掘りに使ったらしいシャベルを挟み込んで、無理やり箱をこじ開けてもらった。
箱を開いて、最初に土の匂いが強くなって、それから……。
外の陽の光が眩しかった。




