第61話 答え
九条邸 PM6:00
「なるほどねぇ」
「ふむ、そう来たか」
さっそく俺は、授業が終わった二人に声をかけて、先輩の家に集まる事になった。
合言葉を告げてやれば、二人はそ心当たりがあるような反応だった。
「やっぱり、茉莉ちゃんには叶わないわね。これで二回も先を越されちゃったわ」
「幼なじみのなせるわざ、といったところかな」
二人が一体何に感心しているのか分からないが、とりあえずもったいぶらないでどういう事か教えて欲しい。
そう思っていたのが顔に出ていたのか、円がこちらを見ながら言葉をかける。
「茉莉ちゃんに一か月前に頼まれてたのよ、あんたが合言葉を言いに来たら、自分じゃ解決できない事で何か困ってるから助けてやってほしいって」
「茉莉が? そんな事を?」
今度は桐谷先輩が、教えてくる。
「茉莉はいつも君の事をよく見ていたよ。君が困っているのに一番に気づくのは、いつも彼女だったさ」
「そう、だったんですか」
俺は言葉をなくししまう。
俺が想像するより、ずっと茉莉は成長していて、強くて、立派だったようだ。
さすがにこんな事になるとは予想してなかっただろうが、俺が何かに困る事が目に見えていたんて。
守ってやらければならない、面倒を見てやらなくちゃいけないか弱い存在だなんて思っていたのが、嘘のようだった。
一番最初に、最初の1月10日に言われた言葉を思い出した。
何で忘れていたのだろう。
あの時の茉莉は言っていたではないか、周囲の助けを借りろ、一人で悩むな、と。
あれは俺の幻のはずだった。
けれど、あれはきっと茉莉の本心だったのではないかと思う。
「茉莉……俺は」
一番最初の所から間違っていれば、それはできるものも出来なくなるはずだ。
「謝る相手はまず、今目の前にいるアタシと桐谷でしょ。そんで、その後でアンタの見える茉莉ちゃんには十倍頭を下げときなさい。ほら、さっさと吐いちゃいなさいよ。何があったの?」
「ふむ最初は、例の事かと思っていたのだが、どうやら違うみたいだしな」
友人に相談するなんて、そんな簡単で当たり前の事が出来ていなかっただなんて、茉莉に返す言葉がなくなってしまうではないか。
「ああ、信じられないかもしれないけど信じて欲しい。実は……」
最初から、もっと早くから事情を話していれば良かった。
俺は、意を決して今までの事を話し始めた。




