第60話 ログ
俺は自分の家……に戻るのはまだ学校の授業中なのでまずいから、適当なインターネットカフェにお邪魔して、パソコンを起動させた。
たまに茉莉と来る場所だったのだが、そういうのが好きな割には茉莉には不評な場所だった。
「未来とだったら、別のとこが良いなー。一緒にいるのに喋れないのは楽しくないよー」というのが茉莉談だからだ。
だからここに来るのは、時間が余った時とか、部屋の掃除とかで家から追い出された時だけにしていたのだ。
茉莉がよく参加していたチャットを覗いてみる。
茉莉の発言した内容のログが残っていた。
『魔法少女ものは、もっと盛り上がった方がいいと思います!』
『男の娘が女装で萌えです、第二期クールするかなー?』
『マナーを持って楽しくお話しよー、しょくしゅぷれいは駄目だよー』
どんな話題について話をしていたのだか。
俺には理解できそうにない。
茉莉の活動痕跡は、どれも少し前でぱったりと止まっていた。
最近のものはない。
チャットに参加する顔ぶれはなじみのメンバーが多いが、たまに違う人間が交ざったりしている。特に気になる人名は無かった。織香らしき言葉遣いの人間もいるのだが、偽名を使っているなら分からない。
ログを見て行って、その中で一番新しいものに検討をつける……。
『やっほー、茉莉です。未来、見てるー? 宝探しのヒントだよー。最近悩んでるみたいだから、あたし頑張りました! 銃話と無限本に会いに行こー。合言葉は「この子をお願いします」だよー。えへへー、解いたら誉めて!』
力がぬけそうになる。
「……急に私情の発言するな」
今まで二次元の会話してたというのに、いきなり意味不明な事言い出したから、ログで他の人間が驚いていた。
茉莉なりの言葉で言えば、「いきなりそういうメタ発言するな」って言うところだろう。
記録は「気にしない気にしないー」と言った茉莉の発言で、元の会話の流れに戻っている。
しかし……。
「銃話と無限本って……円と先輩の事だよな」
アサルト・トークとインフィニティ・ブック。
そんな大仰な異名は茉莉が名付けたものだ。
何でもかんでも中二な名前を付けていく茉莉は、仲間にも一応それらしい名前を付けていたのだ。
ちなみに俺はノーアンサー。
答え要らずとか答え知らずという意味らしい。
良い意味にも悪い意味にもとれそうだが……。
ここ最近の出来事を考えると、笑えない異名だ。
しかし、これだけではまだ肝心の事が分からない。
せっかくここまで来たというのに、まだ答えはお預けだ。
どうやら宝はまだ見つからないらしい。
時間を考えればもうじき学校が授業が終わる頃合いなので。
先輩と円の二人に聞いてみるしかないだろう。




