第59話 ヒント
基地に置いてあった茉莉の落書き帳を手に取って考える。
漫画やアニメやら何やらの趣味の絵を描く為にあるそれには、茉莉のまるっこい筆跡で様々な落書きが書いてあった。
ページをめくってみるが、ほとんどが二次元のキャラクターとか、ファンタジーもののイラストばかりだ。
将来は漫画家になるのかと思ったら違ってて、魔法使いになりたいとかそんな事を本気で言う様な、茉莉らしい落書き帳だった。
茉莉の事は、ずっと妹の様に面倒を見て来た。
そんな茉莉が俺の事を好きだと言うのが信じられらなくて……。
きっと何か言えても、
『冗談は休み休みに言え』
『冗談なんかじゃないもん。未来のばかー』
会話はそんな風になっていただろう。
あの時の俺では、きっとそんな風にすげない返事をするしかできなかった。
「猫……CATか」
落書き帳の画用紙の最後の方には、猫の顔が書かれていて、英語でそんな文字が記されていある。
ヒントになりそうなものはこれくらいだ。
後は、茉莉手製のこの町の地図くらいか。
落書き帳に挟まっていたその地図は、何枚か書かれていて、それぞれの用紙は細かくマス目で区切られていた。
縦のマスがH、I、J、K、L、M、Nと区切られていて、横のマスが、A、B,C,D、E,Fと区切られていた。
このマスから、猫というヒントを元に探せという事か。
子供の頃にそういえばこんな宝探しをやっていた。
大抵は家の周りとか公園とか、身近な範囲で、こんな広範囲を対象にした事は無かったが。
普通に考えれば、猫がいそうな所は公園だが……。
「いや違うだろうな」
それならわざわざ、町の全域を地図に書く必要はないだろう。
ネコをローマ字にしてみる。
NECO。
関係がありそうなのは、用紙に掛かれているNとEとCだけ。
縦のマスに並んでいるのはH、I、J、K、L、M、Nだ。
だから、Nの列を見ていく。
横のマスはA、B,C,D、E,Fがあるから、C列かE列のどちらかだろう。
それで宝探しの場所が分かるはずだ。
N列とC列が交差したマスか。
またはN列とE列が交差したマスが当たり。
どうする?
とりあえず大雑把だが、検討はついた。
二つともとりあえず足を延ばしてみるか?
だが、細かく地区が区切られていると言っても、一つのマスの範囲はそれなりに広い。
二つも調べていると日が暮れてしまうだろう。
やはり対象を絞るべきだ。
鍵となるのはマスの記号にはない残されたОだろうか。
アルファベットのO? いや、数字のゼロ?
数字と仮定するなら、他にも見えなくはないものがある。Eだ。Eは反転させて数字の3になる?
縦N列と横C列のマスの中にある場所、その地域にある物を思い浮かべながら30をヒントに場所を絞ればいいのか?
数字に縁がある物って何だ。
数学、学校とか図書館?
「サンゼロ、さんとぜろ。みっつとれい……みっつとぜろ。……まさか、みおか?」
澪。それは茉莉のパソコン上で活動する時の偽名だ。
例によって二次元物が大好物の茉莉は、それらにかかわる情報を得る為によくパソコンを使っている。
その時に、チャットを使う偽名が澪なのだ。フルネームは流星澪。
「そういう事か……」
そこまで、考えれば後はもう必要ない。
場所の検討がついた。




