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one・days 「1.10」始まりの日の先へ  作者: 仲仁へび
第4章

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第24話 奇跡の石



 円は空をあおいで、生い茂る派の隙間から見える空をぼんやりと眺めている。


 いつもいい加減な事しか言わない口だが、今は至極真剣に話を続けている。


「罪と向き合う事ができた人間は、災の寵愛を受け特別な力をもらい受ける。人それぞれ解釈が違っていて、超能力が使えるようになるとかいう奴もいるけど、アタシは願いが叶うって解釈かしらね」

「願い?」


 視線を戻した円は、俺の胸板を軽く叩いてみせた。


「あら、もう忘れたのかしら、未来おじいちゃん。茉莉ちゃんにつきあって、噂話を確かめるため、この森を歩き回った事があるでしょう」


 ああ、そういえば、七つの綺麗な石を集めれば、何でも願いが叶うとかっていう話だった。

 それで円と先輩と一緒に、この森で見つかりもしないものを散々探し回ったのだった。

 収穫はゼロだった。


 石?

 そういえば、最近気になる物を見たような気がしたな。


 確か二回目の1月10日を過ごしていた時に。

 学校サボって基地にいた時に見つけたんだったか。

 それで、桐谷先輩に持ち主を教えてもらったのだ。


「クマの箱に石が五つ入ってたな」

「んなっ、アンタなんでそれを。も、も、もしかしてしまい忘れてた……?」


 言えば、円がすごい勢いでこちらに近寄って来て、どもりながら詰問してきた。


 やはりあれは円のだったか。

 前に来た時は結構探し回っても、一つも見つけられなかったのに、それを一人で五つも見つけたのか。

 とすると、円自身はこの森に何度も来ているのかもしれない。


 そうまでして、何か叶えたい願いでもあったのか? こいつに。


「も、目的なんて言わないからね。聞かれたってアンタなんかに教えるもんですか」


 円は必死の形相でそんな事を喚いている。

 そんなに慌てるほど隠したい願いなんだろうか。

 赤くなったり、青くなったりせわしない事だ。


 普段やられている分を返す為に、もう少しそんな円を見ていたくはあるが、そこまで意地悪をするのはさすがに気が引ける。


 先程思い出した事を考えれば、余計にな。


 俺は言うべき事を思い浮かべたまま、円に一歩距離を詰める。


「円……」

「な、何よ。口が裂けても言わないわよ」


 被害妄想もたいがいにしろ。


 呆れてくるが、そんな言葉は口から出てこなかった。

 なぜなら、足元に何か違和感を感じたからだ。

 今までとは違う固い感触に眉をひそめて、視線を落とすと。

 そこに二つの石が落ちていた。


 円が驚いて拾い上げる。

 

「え、これって」


 持ってきていたのか、それ。

 驚く彼女は基地から持参してきたのか、懐から見覚えのあるクマの箱を取り出した。

 前に見た通りの同じ箱だ。


 丁寧に開けられたその箱の中に入っているのは、五つの石だ。

 俺の足もとに落ちていたものと同じような物の。


 見たところ、ただ綺麗なだけの石にしかみえない。

 それぞれ色は違っていて、不純物の交ざっていないような石なので、綺麗だとは思うが。

 特に何の変哲もない物体だ。


 けれど、見つめていると妙に心が惹かれるというか、目に留まるようなそんな感じがする。


 円が信じられないものを見る様な目で見つめていると、周囲が光に満ちた。


「な、何よ!」


 キョロキョロと辺りを見回して及び腰になる円だが、無理もない。

 俺も結構驚いた。

 同じ一日を何度も繰り返してさえいなかったら、無様な悲鳴くらいは上げていたかもしれない。


 驚く俺達を置き去りにして、状況は変化する。

 目の前に小さな人影が現れた。


 少女の様な姿をしたそれは、輪郭がぼやけていて、姿、形、色もよく視認できない。


『――罪の懺悔を……待ってる』



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