第20話 ひどく暴力的な解決方法
心配は要らないから、さっさと帰れ。
そう言おうとした途端、目の前で織香が消えた。
「――っ」
目の前で人が消えたのだ。
驚かない方がおかしいだろう。
だが、冷静になれ。
その可能性はもう予想していただろう。
確かめなければならない事があるはずだ。
彩葉町の方を見つめる。
景色は昨日と同じだ。空が割れて剥がれ落ちている。
まるで世界の終わりだ。
地面も、崩れて、暗闇の中に消えていく。
だが、光輝く場所があった。
「あそこは……」
あの場所は罪在の森か。
あそこだけ、異変から守られるように比較的原型を留めている。
あの場所に何かがあるのかもしれない。
もう一度、あそこに行って調べてみるべきだろう。
昼間、織香から言われた言葉を思い出す。
災だなんて言われるよく分からない神何かのご機嫌取りの為に、大勢の人間が犠牲になった場所。
気に入られた人間は異能を得るという。
俺が同じ一日をループしているのも、その影響なのかもしれない。
しかし、調べに行くためには眠らなくちゃいけないわけで。
もう一度こんな状況で眠れるのか、俺。
眠れるわけないだろ。
「……」
異変は彩葉町に留まらなかった。
この一花町も崩壊してきている。
俺にこんな力を授けた奴は何を考えてるんだ。
俺に一体何をしてほしい。
恰好悪いが、俺は昨日に引き続いて茉莉に電話をしてみる。
『うーん、能力発動のトリガーって本当に眠ることだけなのかなー。意識の断絶どかが条件だって場合もあるよー。別に眠ることにこだわらなくて良いと思うよー。気絶とかでもできそうな気がするー』
なるほど、そういう考え方もあったのか。
「そうか、分かった」
俺はその言葉を聞いてとても安心した。
それなら慣れてる。
『あれ、何かあたしすごく嫌な予感がしてきました。未来、だいじょうぶー?』
「問題ない、切るぞ」
「あー、待」
切った。
茉莉には悪いが、折り返しかけてきても無視しよう。
俺はちょっとそこらへんの電柱と向かいあった。
ケンカなら死ぬほどしてきたからな、人を気絶させるのなら得意だ。
ここに円や先輩がいたら、あるいは何か言われたかもしれないが、生憎といないので何も問題はない。
幸いなことに自称病弱設定の織香もいないし、偶然目撃して頭のおかしい奴認定してくれる一般人もいない。
次の瞬間、俺は何の気兼ねなく他人からみたらひどく暴力的な解決方法で、この世界から脱する事に成功した。




