第19話 確かめる準備
一花町 公園 PM11:50
見晴らしの良い公園で、警察に遭遇しないようにしながら夜を明かす準備をする。
寒いし凍えそうだが、幸いにも我慢できないほどではなかった。
視線の先には遠くに彩葉町の夜景が見える。
三度目の1月10日ともなると、少し慣れてきている自分がいる。
良い事だと思えばいいのか、悪い兆候だと捉えればいいのか。
複雑な気分だ。
ともかく。
今日の俺は、昨日とはだいぶ違う行動をとった。
それに今は違う町にいる。
俺の町に何が起きたか、この隣町から分かるかもしれない。
原因がなんであれ、こうすれば少しは真実にたどり着けるはずだ。
家族や茉莉達にはそれぞれメールを打っておいたから、そう心配される事はないだろう。
そう思っていると、メールが入った。
「?」
そこにあった文面は理解できないものだった。
送り主は桐谷先輩からのもの。
あの人は悪ふざけをするような人じゃないから、間違って送ったものだろうか。
それか、円辺りが悪戯をしたとか。
メールを返信して真意を尋ねてみるが、何も返ってこなかった。
電話をかけてみても応答がない。
忙しい?
そんなわけはない。
直前までメールを打っていたのだから。
それに先輩は、こんな非常識ともいえる時間にメールを寄越してくるような人ではない。
こんなメールは今まで送られてこなかった。
だから、俺の行動が先輩の行動に影響を与えたのだろう。
でも、だからって……。
どうして。
『私は君のことを特別に気に入っていたよ』
こんな告白の言葉みたいな。最後の言葉みたいな内容を選んだんだ。
嫌な予感がする。
俺は間違えたのだろうか。
いや、そんなはずはない。
こうして分からなかった事が少しづつ分かってきているのだから。
でも、悩んでしまう。
俺はこんな所にいていいのか?
「あ、いたいた。君ねぇ、いつまでそんな所にいるんだい。もう家に帰りなよ」
ふいにかけられた声に振り返ると、そこにいたのは昼間に社で会った少女、織香だった。
「何でここに」
「そんなの決まってるじゃないか、茉莉ちゃんに心配だって言われて探しに来たんだよ」
「茉莉に? 知り合いだったのか?」
予想外の言葉に驚いていると、彼女は憤慨したような様子で腰に手をあててこちらに身を乗り出した。
「あのねぇ。いくら暇を持て余していたボクでも、全く知らない人間にあんな風に馴れ馴れしく声をかけたりしないよ。ボクはネットで茉莉ちゃんから君の特徴とか口調とかエピソードとかよーく聞いていたから、君だと分かって声をかけたの」
「……よけいな事言ってないだろうな、あいつ」
「気にするとこ、そこ?」
つまり彼女は、ネットで今夜昼間の事を話したついでに茉莉に捜索を依頼されたのだろう。
心配するなと言ってしない奴じゃなかったな。




