第16話 三度目の1月10日
吸血鬼が住む家 永野家 私室 AM6:30
何だかんだいって眠れた時は驚いた。
あのまま起きてたらバッドエンドになったかどうかは分からないけど、茉莉には感謝しよう。
リクエストしておいてなんだが、へたくそな子守歌だった。
一応効き目はあったのだから、感謝はするが。
携帯の月日の表示を見ると、やっぱり1月10日だった。
三度目にしてもう慣れたのは良い事なのか悪い事なのか。
とりあえず、原因を探らなければならない。
茉莉の起床のメールに適当な返事をしておいて、今日は学校をさぼる事にした。
目的地は隣町、一花町だ。
地元の町の中にいても、まるで何が原因か分からなかったので、今度は別の地域に言ってみようと言うわけだ。
一花町 AM8:00
隣町は一時間かからない町にあるのだが、しかし今日は平日だったので、制服を着ずに家を出るのもおかしい。
だから、替えの服装やら、学校鞄を入れる鞄を用意したりやらで、結構容易に時間をくってしまった。
それでも一応まだ朝の時間帯ではあるが。
大抵の人間が会社に行ったり、学校に行ったりした後の時間町をうろつくのは目立つ。
警官に鉢合わせないようにしながら、どこか休める場所はないかと探し回った。
ケンカ三昧していた時に大分連中には世話になったから、印象は最悪だ。
以前火事に巻き込まれた茉莉と同じくらいの子供を助けた事もあったが、それくらいでは悪評は払拭できなかったようだ。
そう言えば、円からは「アンタってそんな子ばかり助けてロリコンなの?」とか失礼な事言われたな。
過去のどうしようもない数々の出来事を思い起こしながらぶらぶらとしていると、ちょうど人目から隠れる様な場所を発見した。
背の高い木々に囲まれうっそうとした茂みが周囲を覆う、薄暗い神社だった。
とりあえず他に行く場所もないので足を踏み入れる。
人がいなさそうだと思ってここに来たのに、しかし先客がいたようだ。
「ここにくるのはボクぐらいのものだと思っていたんだけどね、まさか物好きな人間が他にもいたとは……。サボリかい?」
しょっぱなから初対面の人間にそんな言葉をかけて来たのは、同い年に見える栗色の髪をした少女だった。
可憐とも形容できる容姿で、良い所の御嬢さんと言われればしっくりきそうだ。
「人のことを色々詮索するんだったら、まず自分が名乗るのが先だろ」
「これは失礼、君って見た目に似合わず細かいんだね」
どこか人を食ったような物言いをする少女は、その場で優雅に一礼して自らを名乗った。
「ボクの名前は、織香。ここら辺ではすこーし有名な子で、方城さん家の織香だ。ちょっと訳ありで病弱な体をしているものでね。学校なら正式にサボらせてもらっているよ」
そんな堂々としたサボリ宣言は聞いた事がない。




