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one・days 「1.10」始まりの日の先へ  作者: 仲仁へび
第2章

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第15話 未練



「なあ茉莉、もしもの話だけど聞いてくれるか」


 俺はループの事と、今の事を茉莉に話した。

 あくまでも創作物の中の出来事として。


「原因は一体何だと思う? 解決方法は何をすればいい」

『設定、がばがばだよねー。そのアニメきっと視聴率良くないと思うよー』


 そういうのはどうでもいいから。あと何でアニメの話なんだ。ゲームでも漫画でもあるだろ。


 茉莉は少し考えた後、自分の推論を俺に教えてくれる。


『うーん、それは多分……世界が許さないんじゃないかなー。主人公が起きてるから異常な現象が起きるんだと思う―。力を与えた人がいると仮定して考えたら、主人公にその力を使ってほしいって思うだろうしー。よくあるのは、そこから先の歴史が存在してないからって事じゃないかなー。天変地異とかが大事件みたいなのが起きて、世界消滅または主人公が死んじゃうから、ループしてる時間の中でそれを防ぐように、主人公が使命を課せられてるとかー』


 つまり、俺にはやるべき事があると。

 その力を使って、誰かまたは俺が死ぬのを防止する、何かの事件を防止する、大災害を何とかしろってことなのか。


 俺の命どうこうではないはず。二日過ごしていて何も無かったから俺以外の事なんだろうな。


「じゃあ、眠ればこの以上は収まるんだな」

『たぶん?』


 そこははっきりしてくれ。


 だが、あっているかどうかは別として、茉莉の助言には助かった。

 何も分からないでいるよりは、目標があった方が気がまぎれるしはるかにましだ。


 しかし……。


 玄関から恐る恐る外を覗くととんでもない事になっていた。

 なくなってる。

 

 俺の住んでいる地域以外が、バラバラに砕けて、どこかに消えていってしまった。

 あとにあるのはよく分からない暗闇だけだ。

 これ、かなりまずいだろ。

 あんまり信じられない光景を目にすると、人間って逆に冷静になるんだな。


 この状況で眠れと言われてもな……。


「もし主人公がそんな状況で眠れなくなったら、どうなると思う」

『終わりなんじゃないかなー。バッドエンド?』


 聞かなきゃよかった。逆効果だ。


 頭を抱えていても現実は変わらない。何かしなければと思うけれど、でも、考えれば考えるほど、頭がはっきりとしてしまう。


 メールが来た。

 茉莉からだ。

 何でわざわざ?

 今電話してるだろ。というか電話中にメールなんてできたか?


『未来ー、おやすみ。誕生日ケーキ、もう一度作ってあげたかったなー』


 誕生日ケーキ?

 思い出すのは、数年前の出来事だ。

 俺がまだ不良まっさかりみたいな状態で、町のゴロツキにかたっぱしからケンカふかっけて荒れてた頃の事だ。


 中学を退学させられそうになって、ひねくれてたその頃の俺は、自分の誕生日も分からずに深夜も町の中を歩いてて、そんな俺を祝ってくれようとした茉莉が探しにきてくれたんだったか。


 結局途中で行方不明になってて、当時知り合ったばかりだった先輩の力を借りて、俺の方が探し回る事になったんだけど。


 あいつが作ってくれたケーキ、当日中には食えなかったからな。


 だから、俺はそうメールを返しておいた。


『気にするな。次があったら、食ってやる』


 世界が終わる最後の未練として伝言を残すのにそれを選ぶとは。本人は外の事なんか知らないんだろうけど、ひどく茉莉らしいと思った。



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