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one・days 「1.10」始まりの日の先へ  作者: 仲仁へび
第2章

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第14話 明日にいけない



 吸血鬼の眠る家 永野家 私室 PM11:55



 時が知らない間にループしているのが恐ろしくて眠れなかった。

 何が起こったのか確かめたいという気持ちもあったが、純粋に理解できない事が知らない間に起こるのが怖かったのだ。


 だから、今意図的に眠ろうとしても、絶対眠れないだろう。


「何でこんな事に」


 文句がでる。

 二度目の1月10日が実は俺の勘違いで1月11だったらどれだけ良かったか。

 でも違う。

 やっぱり今日は紛れもなく1月10日で、それでいて同じ事が繰り返されていた。


 俺の行動で変わった事もあったけど、でも関わらないところではおおむね同じ事が起きていたはずだ。


「……」


 何か俺にできる事があれば良かった。

 そしたら不安も少しは紛らわせることができたのに。


 でも、俺には時間のループに関する知識もないし、出来る事なんてありはしないから。


 無言で部屋の中で途方に暮れているしかないのだ。


 そうこうしている内に深夜の12時。

 午前0時だ。


 携帯の時計の時刻表示を見つめていると、その時が来た。


 途端に、何か音がする。


「っ!」


 どんどんと何かを叩く様な音、誰かを急く様な調子で叩かれている音が。

 辺り一帯に響き割ったった。


 なんだこれは。


 しばらくびびってその場を動けなかったけれど、じっとしていても詳細は分からないので、おそるおそる音の発生源を探る。


「上?」


 音は上からしていた。

 天井とかではない。

 もっと、上の方。

 空からだ。


 窓を開けて夜空を見ると、空がひび割れていた。


「は……?」


 何だこれ。

 意味がわらかない。

 

 音がするたびに、空日ひび割れが起きて、夜空がコンクリートの壁のようにボロボロと剥がれ落ちてきている。


 こんなおかしな状況だと言うのに、しかし周囲の住民は誰も騒いではいなかった。


「……母さんっ。父さんっ!」


 いい年になって、両親の名前を必死になって呼ぶなど恰好悪いにも程がある。だが、仕方ないだろう。驚きすぎてそんな事どうでもよくなってくる。

 しかし、下の階の寝室にいるであろう母と、そして父の姿を探しに行くがどこにもなかった。


 忽然と姿を消したみたいだった。

 誰もいない寝室を前にして頭を抱えるしかない。


「何だよ、一体何がどうなってるんだ」


 次第に音が大きくなってくる。

 夢だと思いたかった。

 質の悪い悪夢だと。

 けれど、俺は眠っていない。

 なぜなら眠れなかったから。


 これなら何も知らないまま眠っていた方が良かった。

 けど、今更眠るなんてできっこない。

 眠って、それでどうする。

 この異常事態が収まるのか。


 そもそも何でこんな事が起きてるんだ。


 「――っ!」


 ふいに携帯が震える。

 メールの着信だった。

 そうだ時刻の確認をした時からずっと持ってたのだ。


「茉莉?」

『未来ー、大好きー。えへへ』


 気が抜ける様なメールだな。

 お前が俺に懐いていることはよく知ってる。


 だが、こんな夜中にあの幼なじみからメールを受け取ったことは一度もない。

 あいつはたまに夜更かしはするが、基本的には健康な生活を送らせているからな。


 電話をかけてみる。


『未来、まだ起きてたのー? 眠った方が良いよー』


 それを言うなら年下のお前の方がだろ。

 だけど、少しあいつのおかげで冷静になれた。


 いや、茉莉は「ここに」いるのか……?

 俺の両親はいなくなってるのに。


「茉莉、お前外の事分かるか」 

『外ってー?』

「いや、分からないなら何でもないんだ」

『未来、落ち込んでるー? ちょっとこわい?』

「何でだよ」

『あたしはねー。未来の幼なじみだからー』


 だからよく分かるって事か。

 俺が茉莉の事をよく知っているように。


 響いてくる音は段々大きくなってくる。

 外は、あまり確かめたくないな。

 一体どうなってるんだか。


 あんな風景を見た後なのに、冷静でいられる自分に少し驚いた。

 茉莉があんまりにも呑気だからだろう。




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