第13話 頼れる人だけど
星降りの丘 秘密基地
学校の授業はとても受けていられなかった。
昨日とまた同じ授業をする一時間目でリタイアして、そのままの足で基地へと向かう。
さぼった何て言われると面倒なので家にいくのは無しだし、その辺をぶらついていたら補導される。
一体どうしてこんな事に?
なぜ二度も1月10日を繰り返している。
答えの出ない考え事を延々と繰り返している内に、無駄に半日時間が過ぎていった。
そう思っていたら珍しく桐谷先輩が基地にやってきた。
「ここにいたのか、心配したぞ」
「先輩……」
彼女は言った通り、わずかに表情を動かして、こちらを案じる様な顔をこちらに向けている。
「朝、メールしても返信が無かった。どうしたんだ」
もしかして俺の教室まで俺の様子を見に来てくれたのだろうか。
だとしたら申し訳なく思う。
円なんかは別に心配をかけても多少の罪悪感が湧く程度だけど、先輩を心配させると何かすごく悪い事をしているように思えてくるのだ。
きっと同年代とは思えない落ち着いた態度をしているからだろう。
彼女と接していると、いつも大人と会話しているような気分になる。
クラスの女子なんかは見てると、お洒落がどうのとか彼氏がどうのとか言ってるのに、先輩は全然そんな事は話さないから。
「何か悩みがあるなら私が聞こう。力に……必ずなれるかどうかは断言できないが、君に最大に力添えをすることを誓うよ」
先輩はそう言ってに俺に約束してくれる。
本当に頼りになる人だな。雰囲気からして。
だけど……。
「いえ、大丈夫ですよ。ちょっと具合が悪いだけですから」
「そうかい? ならしっかりと休養をとらないとな。帰りに車を頼もう。送るよ」
信じてもらえるとは思えないから、俺はそうやって誤魔化した。
「そこまでは」
「先輩らしいことをしたいんだ。これくらいいいだろう。私の顔を立てると思っていればいいさ」
家がそれなりだから、先輩にとっては送迎の車ぐらい本当にどうでもないことなんだろう。
「ええと、じゃあお言葉に甘えて」
頭が上がらないな、この人には本当に。
笑みを浮かべて俺を説得した先輩は、自分の作業をするためにか、鞄から色々道具を取り出していく。
忙しだろうに、結構迷惑をかけてしまった。
思えばこの人にはずっと前から迷惑をかけっぱなしだった。
俺が一度中学の時もめ事をおこして、退学になりかけた時だって色々力添えしてくれて停学にとどめてくれたのだから。
小学生イジメてる良い年した大人が許せなかったとか言って、かなりぼこぼこにしたからな。
あそこでイジメられてるのが茉莉だと思ったら、我慢できなかったんだ。
気づいたら、周囲に野次馬が集合していて結構な騒ぎになってしまった。
考え事をしていたら、部屋に見慣れないものが転がっているのに気が付いた。
可愛らしい熊の絵柄のついた箱だ。
手を伸ばして開けてみると、綺麗な石ころがいくつも入っていた。
五つか。
「勝手に触るのは感心しないな。それは円のだよ」
「あいつの?」
「罪在の森で、ね。これ以上は私の口からは言えないな」
「はぁ」
あいつに叶えたい願い事なんかがあるのだろうか。
今度顔をあわせたら聞いてみよう。




