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彼が歩くたびに揺れて圧迫されるお腹に力を入れ耐えること数分、ドアが開く音がし周りを見渡すと簡易なベッドに小さなテーブルがある殺風景な6畳ほどの小さな部屋に連れられた。

彼の見た目とは裏腹に優しく降ろされベッドの縁に座らされ、すぐに縛られていた手足の縄と口元の布を取られた私は空気を求める体のまま大きく息を吸いながら動くようになった腕を軽く動かした。

この時、鼻と口は繋がっているからか鼻栓をしていたというのに強烈な匂いを感じ私は一瞬息を止め体の動きもぎこちなくなっていた。


そんな私の様子を見て何を思ったのか私を降ろして見下ろしていた男は眉を寄せ険しい表情をしていた。それを目にした私は不機嫌な虎が草食動物を食い散らかすイメージが脳裏に浮かぶほど凶悪に見えた。ブルッっと身震いをした私を彼はチッと舌打ちしドア付近まで離れて行って壁に寄りかかった。


「おい、ちゃんと喋れるか?親はどこだ?」


「はっ、はい!少しクラクラしますが大丈夫でふ。」


離れて行った男は眉に寄ったシワを無くし無表情顔で話しかけてきた。急に話しかけられた私は慌てつつ返事を返すも、ここでも鼻栓が邪魔をし最後、言葉がおかしくなったが開きなおって気にしないことにした。


「お父様とお母様は今はお仕事中で私は1人で買い物に来たのです。」


「チッ!めんどくせぇ。おめぇ、良いところの娘だろうよ。護衛は?」


「ごっ、護衛はでふね…あまりにも歩くのが遅く置いていってしまって…」


「はっ?」


気まずさに視線をさ迷わせながら護衛が居ない理由を言うと男が呆けた顔をし信じられない物を見たと、表情からありありと読む事ができた。

ピリピリとした男の表情だが少し変わるだけで印象が180度変わり、私は男の印象が危険な男から下町の口は悪いが気の良い兄ちゃんへ変貌し一気に気が抜けた。


「あのねっ、買い物行くのが楽しくて歩いて振り向いたら護衛がいなくてねっ!それでジョンホンが変な男と居てねっ!」


「あ"~…要は迷子になって拐われたって口か。」


オールバックにしている髪を手でぐしゃぐしゃにしながら「くそっ!めんどくせぇな。」と言って、ぐしゃぐしゃにした髪を手でかきあげ先ほどより少し乱れたオールバックに戻しながら男は「おら、行くぞ。」と言いドアを開けた。

緊張から解き放たれた私はボーっと男の動きを見ていた。私は男が何を言ったのか脳が理解せず、ただ見つめるだけのアホ面を晒していた。


「チッ!来い!」


急に視界の高さが変わったことで、ようやく頭を働かせた私は現状を理解し慌てた。

焦れた男は私を片腕で抱き上げたのだ。私は顔を下に向けた。男の肩があった。横を向くと端整な横顔を見ることができた。


「あのっ!歩けます。おろしてください。」


「うるせぇ、黙ってろ。」


腕から降りようと身動ぎすると頭をギュッと肩口に押し付けられた。

私は身悶えた。そして涙が出てきた。客観的に見るとイケメンに抱っこされながらギュッとされてるとか、鼻血案件だが今の私は男の臭さに涙まで出てきた。冷静になり改めて男の近くに来て気付いたが男からは精霊の匂いとは別の匂いがするのだ。

なるべく息を止め景色を眺めていると建物の隙間から見慣れたお店がチラホラ見えた。いつもの公園が遠目に見えるくらい近くまで来た所で私は男からおろされ地に足をつけることができた。


自分の足で立つことができた私は男を見上げたると男は後退り「あ"ー」と急に言いったあと私の頭を乱暴に撫でた。


「怖かったな。ここまで来れば大丈夫だ。調度あそこに騎士も居る。あの騎士に親のところまで連れてってもらえ。」


彼が指す方を見れば城を出てすぐにへばった騎士がキョロキョロしながら焦っている様子で歩いていた。私はお礼を言おうと後ろを振り向くも誰もいなくなっていた。周りを見渡すも男は見当たらず届きもしないお礼を私は呟いて、へたれ騎士の方へ駆け出した。


――――――――――――――――



私を見つけた騎士が号泣しながら「良かった。良かった。」と言い暫く泣き続け、落ち着くと今度は私のぐちゃぐちゃの髪と汚れた服を見てどうしたのか聞いてくるので拐われたみたいだけど、どうにかなったと伝えたら「どうしよう、どうしよう。隊長に殺される。」と呟き始めて困った私は騎士を連れて衣料店に入りワンピースと編み紐を騎士に支払わせワンピースに着替え、適当に髪を編み込んで編み紐で結び鼻栓を外し鼻をやっとかむことができた。

しかし、この鼻栓は都合良く落ちてたもんだなぁ~と鼻栓を眺めながら考えているとリクが『マリーンも魔木出すの上手になったよね~。』なんて言うものだから、驚いたことに、この鼻栓はどうも私が無意識に作ったものみたいだ。

疲れた私は鼻栓はどうでもいいやっとゴミ箱に捨て外に出ると、騎士は「ひっ、姫…。」と頬を染め見つめてくるが無視して城へ帰路した。

次はsideストーリー予定です。

いつになったらマリーンに物作りをさせてあげれるのか。。(〃_ _)σ∥

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