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前話を少し変えてます。
「ごめんね。」
考えこんでいると美少年が謝ってきた。顔をあげると、悲しそうだった顔を更に眉を下げ傷付いた瞳で謝ってきて後ろを向かれ工房へと歩いて行こうとしていた。
「待って、待って!!」
慌てて追いかけた私は咄嗟に美少年の手を掴み引き留めるも美少年の体がビクッっとしたことに驚き手を放し謝った。
「ごっ、ごめんなさい!急に掴んで…。あなたと、もっと話がしたくて…。良かったら今日宿屋に遊びに来て私ともっとお話しよ?」
私の言葉を聞いた美少年は嬉しそうな顔をしたあと、すぐ困った顔になった。
「君は、まだ小さいから分からないかもしれないけど、迷惑になるから僕はこの工房周辺しか出歩かないようにしてるんだ。だから、僕が宿屋に行くことはできないよ。」
「なぜ?」
「さっきも話したけど、僕が近寄ると匂いがなくなるから皆嫌がるんだ。皆に嫌われたくないから僕は出歩かないことにしているんだ。」
「けれど私はあなたと、もっと話したいわ。出来れば二人っきりで。
…そうだわ!今日の夜9時に宿屋客室窓の下に来て!夜なら人も居ないし大丈夫よね?約束よ!」
言い逃げをし、私はリリの手を掴み宿屋に走って戻るのだった。
「ちょっ!僕は行くとは言ってなっ!」
美少年の返事を聞こえないふりをし走り宿屋に着くとリリの手を離した。
「はぁはぁはぁ…久しぶりに、はぁはぁ、走ったわ。リリ、急に、走って、ごめんね。」
「うぅん、大丈夫。それより、お兄ちゃん優しいでしょ?皆、不細工だからとか匂いが無くなるからって優しいお兄ちゃんに酷いの。お姉ちゃんは綺麗で優しいから大丈夫だと思ったけど、お兄ちゃんのこと気に入ったみたいだね!」
解せぬ。私は息も絶え絶えなのに、私より小さいリリは息一つ乱してない。これも私がぽっちゃりだからか…。
「うん。私をお兄ちゃんに会わせてくれて、ありがとう。」
息も落ち着き笑顔でお礼を言うとリリも笑顔で返事をして宿屋の手伝いがあるからと戻って行った。
リリを見送り私も部屋に戻るため歩きながら、リクに念話で話しかけた。
【ねぇ、あの美少年の周りは、なんで匂いしないの?】
『気付いてると思うけど、あの少年は金属性精霊のお気に入りだよ。金属性精霊は束縛が激しいし潔癖だから自分のテリトリーに、あの子たちを入れるのを嫌がるんだよ。僕たち成長した精霊にあの子たちは逆らえないから、金属性精霊の周りにはあの子たちは行けなくて、あの少年の周りから匂いは消えるってことさっ!』
自慢気に話すリクの言葉を聞き私は思った。じゃあ、リクたちにお願いして私も同じ事ができたんじゃないかと。
【私の鼻のためにリクたちも同じ事がしてくれたら…】
臭い匂いから逃れたいが為に淡い期待をもちリクをチラ見しながら言うも、すげなく断られた。
『ダメダメ、人が居るときに君に付いてる、あの子たちを追い払う事で君の魔力を僕が独占できるって約束だったでしょ?
それに僕たち成長した精霊はあの子たちの成長を促す事が仕事だから邪魔はできないよ。』
私としてもお腹を空かせた赤ちゃん精霊を見たり追い出すのは可哀想だと思ったが誘惑に勝てず、つい期待してしまったのだ。
【分かってるわよ。
けど、成長した精霊の仕事が赤ちゃん精霊の成長を促すことなら金属性精霊はどうなるの?】
『さぁ?普通だったら精霊王様に叱られるけど、彼女が怒られてるの見たことないから分かんないや。』
【そうなのね。】
何故なのか気になったがリクが知らないなら私が考えた所でで、分からないだろうと気持ちを切り替えた。
【あっ、そう言えば昨夜は無理にお願いしたのに気絶したみたいでごめんね。あと布団まで運んでくれて、ありがとう。】
『あぁ…君が乗ってたウォーターベッドをアクアと一緒にベッド上まで運んで解除して消しただけだから。僕にはあれくらい朝飯前さ!』
【それで、今日の夜もあの魔法お願いしたいんだけど…】
『エー!もう諦めなよ。君が高いところ苦手なのは僕にも責任あるけど、昨日無理だったじゃん。』
【違う違う、私が乗るんじゃなくて、今日はお客さんを部屋に招待したいから外から乗せて窓から入ってもらいたいの。】
『ふ~ん…まぁ、いいけど。じゃあアクアにも言っとくよ。』
【ありがとう。いつも、ごめんね。】
リクとの話が一段落した所で丁度部屋に着いたのでドアを開けると笑顔で鬼の形相をしたアニータが待っていた。
開けたドアをまた閉めたくなったが、再度閉めようと微かに動いた私を見たアニータが更に笑みを深めた恐ろしい目をした為に逃げることができなかったのだった。
ちょっと忙しく遅くなりました。




