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「んっ」


朝日の眩しさに覚醒するも、夢うつつでフカフカの布団にくるまり枕に顔を押し付け私は気持ちよさを堪能していた。


〝気持ちいい…

…あれ?私いつの間に寝たんだっけ?確か昨夜金属性精霊に会いに行こうとして…〟


「…!!」


昨夜の事を思い出した私は慌てて起きて周りを見渡した。周りには赤ちゃん精霊が沢山居るがリクたちは見当たらなかった。外を見ると、まだ太陽が出てきたばかりで少し薄暗く室外の音に耳を澄ませると宿の使用人たちが起き始めたばかりのようだった。


「はぁ~。あのあとの記憶がないって事は、やっぱり高所はダメね。この村には、あと3日しか滞在できないからその間にどうにかしなきゃ。リクとアクアにも謝らなきゃだなぁ。」


残り3日でどうにかなる問題ではないと分かっていたが声に出すことで自分を激励した。その後は気持ちを切り替える為に私は、いつも通り魔力の練習をし、話し相手のリクたちも居ない事から小さな木をブロックのように作り出し、そのブロックでリクとアクアの椅子やテーブル、箱形の家もどきなど作り遊んだ。


『なにしてるの?』


リクの呆れた声が聞こえ、いつの間にか帰ってきていたリクの方へ顔を向けた。意外と楽しく、集中して作っていた為、全く気付かなかった。


「えへへ。ちょっとね。」


『また、マリーンは変なの作ってるのね。今は何を作っていたの?』


アクアも帰ってきたようで、同じように呆れた声で言っていたが私が今作っているものに興味があるようだ。


「えへへ~。これはね、怪獣だよ!」


前世、低学年時期にブロックにハマっていた私は一箱ほぼ使って作る怪獣をよく作っていた。

なかなかの出来映えに自慢げに話し見せるも返ってきた答えは期待するものではなかった。


『怪獣って何かしら?竜やトカゲに似てるわね。』


『変な生き物。』


アクアとリクの言葉にいろいろショックを受けた私は無言で怪獣を崩し始めた。


トントントンっとノック音がして周りを見渡すといつの間にか赤ちゃん精霊は居なくなってた。返事をするとドアから8才くらいの小さな女の子が出てきた。


「あら?あなたは?アニータはどうしたのかしら?」


小首を傾げ小さな女の子に尋ねると人見知りなのか目をキョロキョロしモジモジしながら答えてくれた。


「あっ、あのっ!私はこの宿の娘でリリです!侍女さまは何やら手が離せず来れないからと私が起こしにきました!」


あのアニータが来なくて、しかも宿の子どもを寄越したことに不思議に思うも、一生懸命、丁寧語を話すリリが微笑ましくニッコリ笑いお礼を言うと真っ赤になった。


「あのっ、あのっ、何をすればいいでしょうか?」


「そうねぇ…。じゃあ窓を開けて換気してくれる?」


小さなリリでも出来そうな事をお願いして、「はい!」と言う元気な声を聞きながら微笑ましい気持ちのまま洗面所へ向かうのだった。



さっぱりした私は簡素なワンピースに着替え寝室へ戻ると、そこにはが私が作ったブロックをマジマジ見ているリリがいた。触るとダメだと思ってるのかブロックの周りを回り色んな角度から観察していて、私が戻ってきた事にも気付いてないようだ。


「ふふっ、それは私が作ったおもちゃよ。こうやって繋げて色んな形を作ることができるのよ。欲しいならあげるわ。」


「いっ、いいえ!頂くことはできません!」


どうせ荷物になるし、また作ることができるので捨てるくらいならあげようと思ったがリリは断ってきた。しかし、その目は名残惜しそうにブロックを見つめていた。


「そう…、せっかく作ったけど荷物になるし、リリが貰ってくれないなら捨てるしかないわ。」


「えっ!?」


悲しげに呟くとリリが驚いた顔をして私を見てきたので再度要らないか聞いた。


「せっかく作ったけれど、要らないならしょうがないわね。残念だわ。…本当に要らないの?」


「やっ、やっぱり下さい!欲しいです!」


少し意地悪げに言うとリリは慌てて言葉を発した。この国には子供が遊ぶ玩具がないため欲しがるリリを見て嬉しくなった。


「はい、どうぞ。」


私は手持ちの袋にブロックを入れてリリに渡した。笑顔でお礼を言うリリをニコニコ見つめていると急に手を取られ走り始めた。


「お姉ちゃん、とっても優しいのね。お礼にリリの秘密の人に会わせてあげる!」


小さな妹ができたようで嬉しく手を引かれるまま着いて行くと、途中から誰とも会わずに宿の裏口まで来ていた。その事に驚く暇もなく「こっち」と更に手を引かれ着いて行くと昨日訪れた工房まで来ていた。


「もうすぐ来るよ。」


笑顔で話しかけてきたリリの言葉が終わるとすぐに工房裏口のドアが開き1人の青年が出てきた。青年は驚きに目を開き、すぐにリリを見つけると困った顔をしリリに注意した。


「リリ、僕に近寄りたがる人は居ないから知らない人を連れてきちゃダメだよ。」


「お姉ちゃんはとっても優しいから大丈夫!」


二人のやり取りを見ながら私の脳内ははしゃいでいた。


〝きゃー!!何何何!この美少年!年は15か16くらい?顔小さいし身長は170センチくらい?工房で何か打ってたのか薄い体なのに汗で服がしっとり濡れてて、うっすら鍛えられた肉体が見えてて色気が半端ない。しかも、顔は切れ長の奥二重に鼻も高くて唇は薄いけど綺麗な形をしてる。髪の毛は天然パーマなのかうねっていて艶はなく、くすんだ茶色をしているけど、前世のアイドルのみたい!いやぁ~眼福(がんぷく)眼福。

この世界って皆髪色も瞳も茶色を基本に色が薄かったり濃かったりするだけだから見慣れない色合いじゃないし顔の掘りも日本人よりは濃いけど、特に違和感も感じないけど如何せん周りはぽっちゃりか痩せてるけど普通ばかりで転生して初めてお目にかかった美少年だわ。〟


脳内で街中でアイドルを発見したかのように、はしゃいでいると美少年が困った顔のまま私を見ていた。


「リリがごめんね。村の外から来た人は知らないだろうけど、僕は醜い姿なうえ、僕に近寄ると皆の精霊様がどこかへ行っちゃうみたいで匂いが全くしなくなるみたいなんだ。だから僕には誰も近寄ろうとしない。君も誰かに見つかる前に僕から離れないと嫌な思いをするよ。」


悲しそうに話す美少年の言葉を脳内で反芻(はんすう)していて引っかかる言葉があった。

はて?あんなに臭い匂いを皆は漂わせてるのに、どうしてだ?

てか、臭い匂いがしなくなるとか最高じゃん!!

じゃあ、この青年が居たら鼻が麻痺することがなくなる!?

言うなれば彼は消・臭・剤!!

一家に一つは必要なものが目の前に!!

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