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妖精のことがら  作者: 岡池 銀
第三章
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第三章「そして夜が明ける」その五

全てはモンハンが面白い事が原因なのです。

 六時間目はただただ普通に授業が進み、そして何事もなく終わった。

 拭い去れない違和感は、依然として正体を現す事なく僕にちょっかいをかけてくる。

 緩急はなく常に一定。だからこそ、僕の気持ち一つで感じ方がいくらでも変わる。

 他の事に集中していたら違和感は気にならないし、逆にぼんやりとしていたら違和感が気になって嫌でも意識してしまう。

 そうなると僕が取るべき行動は限られてくる。

 集中できて、尚且つ授業中にできる事。

 それは書く事だ。

 黒板に文字が書かれればそれを写し、時間が余れば清に借りたノートを写す。

 机の上の物が多くなって目立ち、先生から注意を受けたが気弱な先生なので怒られはしなかった。

 ……まあ、正直に言うと、この先生の授業なら大丈夫だろうと思っていたからこそ、ノート写しをしていた部分もある。

 その甲斐あってか、普段以上に集中していた為かはわからないが、全てのノートを写し終えた。

 ありがとう、丸井先生。後で謝りに行きます。


 一先ず、僕のノート事情は置いておこう。

 今僕は、二時間分の授業を終え、終礼も終わり、学校の清掃も終わらせていつでも帰れる状態にある。……あるのだが、僕は帰れずにいた。

 いや、正確には僕達一年四組の生徒は。

 もっと正確に言うと、清や一部の人のように、すぐに家に帰ったり、部活に行かないといけない場合は帰り、特にこれと言った用事がない人は教室に残っている。

 今こうして残らされているのは教壇にいる二人の生徒、文化委員の山中くんと森尾さんの指示だ。

 普段は最初に机を後ろに集めて教室の前半分から掃除するのに、机を前に集めて後ろから掃除するように指示したり、床掃除が終われば机を元の位置に戻すのに今はそのままになっているのも二人の指示だ。

「今こうして残ってもらっているのは他でもありません! 私達の文化祭での出し物、性別逆転喫茶についてです!」

「今から採寸と演技指導をするからそのつもりで! まずは女子が採寸するから男子は出て行こうな!」

 普段はあまり大声を出さない印象がある二人だけど、思わぬ一面を見られた。

 

 流されるままに採寸が終わり次は演技指導か。一体何をするのだろう?

 前にいる二人は突然ブレザーの内ポケットからサングラスを取り出して掛けた。

 あのサングラス母さんが録画していた刑事ドラマで見た気がする。

「いいか、お前ら! 昨日も言った通り、我が校の文化祭は最後に投票が行われて、ベスト3に入ったクラスには表彰がされる!」

 お前らなんて言うキャラでは無かった気がする。イメチェン?

「もちろん、せっかく文化委員になったのですからそれを狙いたいとは思いますがそれが一番の理由ではありません!」

 山中くんにつられてはいるが、やはり恥ずかしそうだ。叫んでいる途中でサングラスを外してるし。

「……この後の事は他言無用でお願いします。私のバイト先の卒業生の方が言っていたのですが、投票で全体の三分の一の票を獲得したクラスには購買と食堂で使える無料券が与えられるそうです」

「僕はそれを聞いて本気で狙ってみたいなって思ったんです」

 山中くんもサングラスを外している。少し前の勢いはもうなかった。

「それにどうせやるんだったら本気でやって後悔しないようにしたいじゃないですか。……協力してくれますか?」

 たかが文化祭、されど文化祭。出し物の需要がニッチではあるが、だからって頑張らないでいいとか本気でしなくていいなんて寂しいもんね。イベントは楽しんだ方が勝ちなんだから、全力全開、自分の全部で打ち込んで、誰よりも本気で楽しんでやろう。

「ま、いいんじゃない?」

「本気でやらないと損だもんね」

「そんな景品があるなら欲しいよな」

「別に二人に乗せられた訳じゃないからな、景品の為なんだからな!」

 とりあえず意見は一致みたいだ。

「ところで演技指導って具体的何をするの?」

 それは確かに気になる。宝塚みたいな感じになるのか?

「演技指導とは言いましたが実際は接客術です。男の子が男の子を萌えさせ、女の子が女の子を萌えさせる為の」

「そして森尾さんは萌えの道のプロなんだ。実際僕はお店で骨抜きにされている」

 おい、山中くん。そんな真顔で言うことじゃないだろ。

「ちなみに何の店なの?」

「……メイド喫茶です」

 存在していたのか、メイド喫茶。きょうび、話や文化祭の時だけに聞く店だと思っていたのだが。

「女の子の好みは千差万別で一概に言えないのですが、男の子の好みは単純です。可愛い子に、もしかして自分に気があるのでは? と思わせられたら後は加点方式でいくらでも好感度が上げられます。外見は良いに越した事はないですが、それほど整った顔立ちでなくても、化粧や笑顔、所作等でいくらでもカバーできるので、今からそのあたりを指導していきたいと思います」

 一言言いたいところだけど、言い返せない。

 というのは置いておくとして、ますます性別逆転喫茶なんてやめて、普通のメイド喫茶とかにした方が受けるのではないだろうか。

「それではまずは、教室の入り口側から窓側に向かって横に並んで歩いてください。とりあえず三人ずつ」

 ……その後は中々大変だった。

 男子は歩き方の練習をして、女子は自分の好みを書き出して二人一組で接客の練習をしていた。最後には自宅でできる笑顔の作り方をそれを課題として出された。自然な笑顔が作れるように、だそうだ。

 しかしあの二人、というか森尾さんのイメージがガラリと変わった。あの子笑顔のままキツイことを言うんだよ。

 ただ、アドバイスは具体的だし、わかりやすいから学校とか塾の先生になれば、きっとその才能を遺憾無く発揮できると思う。

 

 中々濃密な一時間でした。これから学校終わりに毎日するみたいだ。可愛いは一日にしてならず。

 これから一ヶ月、頑張っていこう。

お疲れ様でした。

前回に続き、日曜日投稿になってすみません。モンハンが楽しいのがいけないんです...。

責任転嫁はよくありませんね。次週からは土曜日投稿できると思うので、期待して待っていてください。


励みになりますので、レビューや感想、評価ポイントを付ける等して頂けると幸いです。

「妖精のことがら」を今後ともよろしくお願い致します。

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