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妖精のことがら  作者: 岡池 銀
第三章
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第三章「そして夜が明ける」 その四

始めに言っておきます。モンハンは楽しい!


昨日はモンハンを遊んでいて、執筆をサボってしまったので今日投稿します。

楽しんで読んで頂ければ幸いです。


 二階に上がったらすぐ目の前に部屋がある。潮高校の生徒達を教え、導く、聖職者達の神聖な領域。

 あまりの威圧感に扉を叩く事すら躊躇する。それが職員室である。

 中では教師同士の派閥争いやハラスメントが横行し、ナイフではなく言葉を凶器に、心で血を流しあっている。

 と、暇な生徒の間で噂されている。

 根も葉もない噂だ。

 ドラマの見過ぎではないか。

 まさか先生達がそんな事をしているはずがないだろう。

 ……ないよね?

 

 さて、馬鹿みたいなことを考えてないで、遅刻届を書いて早く戻ろう。

 軽く息を吸って、覚悟を決めてノックする。

「失礼します。一年四組の秋野紅太です。遅刻をしたので遅刻届を書きに来ました」

 とりあえず噛まずに言えた。偉いぞ、僕。

「左側の棚の一番上の段に入ってるから、記入した後で私の所に来なさい」

 今の声はうちのクラス担任、椚木(くぬぎ)先生だ。国語の教科担任だけど、この時間は授業がないみたい。

 部屋の中に入り、紙を取って記入をして、それを先生に差し出す。

「寝坊、ですか。高校始まってから一カ月にもなると気持ちが緩んでくるものでしょうけど、そういう時こそ自分でしっかり意識して学校生活を送るように。初めてですし私からは以上です」

 受け取った遅刻届に判子を押し、小言とともに返してくる。

 次遅刻すれば、多分もっと長い説教が飛んでくるだろう。

「失礼しました」

 入ってきた扉から出てゆっくり閉める。

 早足で階段を降り、自分のクラスへ。

 手前の扉が開いている。そこから入れということだろう。

「遅刻届書いてきました」

 中では既に授業が進められており、生徒はノートを睨みながら黒板の文字を写している。

 基本、真面目な生徒が多いクラスなのでそれは普通の事だ。

 普通の事のはずなのに、何故だか違和感を覚える。妙に落ち着かないような、空気が痛いような。

 そんな、はっきりと言葉に言い表せない違和感がこの教室にはあった。

「おかえり秋野くん。紙は教卓に置いて席に着いてね」

「はい」

 教卓には出席簿と授業で使うであろうプリントの束が置かれている。僕は出席簿の上に遅刻届を置いて自分の席に着いた。

「まだ黒板に書いてある分しかやってないから早く写しとけ」

 僕が座ると同時に、清が前を向いたまま呟く。

「ありがと」

 こちらも小声で返す。

 

 教科書、ノート、筆箱を鞄から取り出しながら、僕は職員室から戻ってから感じていた違和感について考える。

 最初に入った時には感じなかった、いや、気付かなかった。

 多分、全力で走った後だったので余裕がなかったのだろう。

 

 気のせいだと割り切るにはストレスが大きく、いつもと違うと確信するには根拠が無い。

 しかし、根拠が無いながらも予想はできる。

 昨日までと今日で確実に違う事。それは僕が妖精の契約者になった事。

 もしもそれが原因なのだとすれば?

 妖精の関係者がこのクラスにいる?

 ……考えすぎか。

 

 気を取り直してノートを取ろう。

 そう思った時には、黒板に書かれた文章は、入ってきた時に見たものとは別のものになっていた。


 考え事をすると周りが見えなくなったり、手が止まったりする。


 前に、清が僕にそう言った事を思い出した。

 ……後で清にノートを写させてもらおう。

 

 一ページ分の余白を作ってから僕はノートを取る。

 定期テストでの点数があまり高くはない為、提出物を忘れたりすると通知表が悲惨な事になる。

 中学の頃にそれで痛い目を見た。

 

 粛々と授業は進められ、五時間目終了のチャイムが鳴る。

 米谷先生は次回までの課題を言い残して教室を出て行く。

 それと同時に生徒同士で談笑を始める。授業中は静かでも休み時間になればこんなものだ。

 さて、僕は僕で清にノートを借りないと。

「ねぇ、清。今日の一時間目から五時間目までのノートを借りたいんだけど」

 清は座ったまま、膝を右側に向けつつ体を捻ってこちらを向いた。

「それは良いけどな、それよりもまずは今日遅刻した訳を聞かせてもらおうか」

 あれ? 寝坊したって返信しなかったっけ?

「返信できてなかった? 寝坊だよ、寝坊」

「ああ、それはちゃんと返信されてたよ」

「それは良かった。だったら何で訳なんか聞くの?」

 僕の返答を聞いて呆れたように溜息を吐く。

「あのな、紅太。お前が中学の頃は学校を休むなんてしなかったし、遅刻の回数も片手で足りる。そんな奴が遅刻したらどう思うよ?」

 静かに、しかし決して他の話し声で消えない声量で僕に問う。

「珍しい事もあるな〜って」

「自分で言うのは恥ずかしいけど俺がそうだったら?」

 目を逸らしながら言う。

「えっ? バイト忙しいのかな、とか身体壊してないか、とか思って心配するよ。当然でしょ?」

 掛け持ちもしているし、土日も働いているみたいだから、流石に無理していると思う。

 改めて話されると一層心配になってきた。

「俺なら当然で、お前なら違うって思ってるなら、はっきり言うぞ。そんな訳ないだろ。いいか? お前が遅刻した時は大したことがなかろうと原因と理由があった。それを聞かせろって言ってんだ」

 

 遅刻した理由か。確かに理由はあったが、自分からは話したくないし思い出したくない。

 今でもたまに笑われるし、その度に恥ずかしさで悶えそうになる。

 課題を終わらせる為に夜更かしをした時は、朝起きられなくて遅刻したし、入学式の日に、学校に行く事が怖くて、何度も通学路を行ったり来たりしていたら遅刻した。

 

 後は階段を駆け降りようとしたら転んで、柵の角で額を切った事か。

 ハンカチで押さえながら学校に行こうとしたら、血が染みてきて管理人さんにバレて、救急車を呼ばれて病院に行ったっけ。左の額を二針縫い、今でもその痕が残っている。

 遅刻はしたし、早退もした。

 母さんも昼に帰ってきたりして、色々大変だったな……。


「で、結局理由は?」

 相変わらず目を逸らしている。

「妖精だよ。買い物の帰りに妖精に出会ってさ、嬉しくなって話し込んだら帰るのが遅くなったんだよ」

「はぁ……今はそれでいいけど、いつかちゃんと聞かせろよ?」

 清は前に向きながら答える。少し寂しそうな目をしていたのは気のせいではないだろう。

 戦争が終わったら全部話すから、その時まで待っていてね。

 

 心の中で謝罪をしてから、六時間目の準備をする。

 教壇には既に教師が立っており、僕の準備が終わってすぐに、六時間目の始まりを告げるチャイムが鳴る。

話は変わりますが、そろそろキャラクター紹介や小ネタ、設定などを紹介していきたいと思うのですが、後書きでするか、外伝や別章でするか悩んでいます。

ツイッターにアンケートを置いておきますので、票を入れてくださると嬉しいです。

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