第26話 戦果
結婚式。
――わあ……!
村人たちのため息にも似た歓声があがった。
おふくろに連れられ、花嫁が神木の前にあらわれたのである。
「ナディア……」
「むっ、そんなにジロジロ見るな。恥ずかしい」
ウェディングドレスの女騎士は少し顔を赤らめながらうつむく。
天気は快晴。
真っ青な空の下に花嫁衣裳だけが白く映え、陽の光が長く美しい金髪を幻想的に照らしている。
「さ、アルト。神木へ向かって愛を誓いな!」
おふくろの言葉で式が始まった。
この土地の結婚式とは、神木の前で愛を誓うという儀式のこと。
出席者はその証人だ。
俺は神の前であるからギリギリ許されるような歯の浮くような愛の言葉を述べていく。
ちょー恥ずいけどな。
そして誓いの言葉が終わると、新郎は花嫁へ口づけすることになっている。
「アルト殿……」
かつての勇ましい全身鎧の女騎士を思い返すと、目の前の美しい花嫁が夢の露のごとく思われてひどく不思議だ。
鉄仮面の代わりに白いレエスのベールが。
籠手の代わりにウェディング・グローブが。
彼女の女らしさを100%引き出している。
「ナディア、こっちむけ」
「う、うむ……」
俺は肩を抱き顔を近づけると、ナディアと唇を重ねた。
――ぷに……♡
電撃が走る!
嫁ブーストだ。
―――――――――
嫁の人数: 2人→3人
(リリア、ノンナ、ナディア)
戦闘能力: 255→1005
内政ポイント: 2000→4000
特殊能力:
◇回復魔法マリッジ・ヒール
◇四次元BOX
◇風陣魔法カイザー・ガスト
◇身躱し
◇壁抜け【New!】
◇分身【New!】
―――――――――
あいかわらずの急上昇……!
黄金の陽射しに、気が遠くなる。
「アルト殿」
「……は」
ナディアに声をかけられて我に返った。
純白のグローブが、俺の手を握って言う。
「さあ、おふくろ殿たちのところへ行こう」
「あ……ああ」
美しい花嫁に手を引かれてゆく。
そして、礼のごとく領地のみんなと食って飲んでの宴会と洒落込むのだった。
◇
翌日。
「あんたたち、いいがげん起きなさい!」
おふくろに起こされたのはお昼ごろであった。
「め、面目ない、おふくろ殿……」
隣のナディアはとっさに裸をシーツに隠して、顔を赤らめる。
「チッ、うるせえなぁ……ふぁあああ!」
俺は欠伸をしながら起き上がった。
「ったく、腑抜けてんじゃあないよ」
「しょうがねえだろ。俺ら、寝たの朝なんだぜ」
「ふん、スケベに熱心なのも結構だけどね。そりゃお天道様の出ているうちにバリバリ働いた男だけの特権ってもんさ」
「……チッ」
まあ、たしかに、いつまでも寝てはいられない。
そう。
俺達はガゼット領との戦いに勝った。
ナディアとの結婚で、嫁ブーストも起こった
つまり、やることがたくさんあるのだ。
まず、ガゼット領から領土を獲得して、ダダリ北西部は次のように変化している。
《Before》
――――――――――――――――
ガゼット領 川
川
川
v□□□□□□川□□
v□□□□□□川□□
ライオネ領 v□◎◎□□□川□□
v□◎◎□□□川□□
v□墓□□□□川□□
――――――――――――――――
↓
《After》
――――――――――――――――
ガゼット領 川
□□□□□□□□□□□□川□□
□□□□□□□□□□□川□□
□□□□□□□□□□川□□
□□v□□□□□□川□□
□v□□□□□□川□□
ライオネ領 v□◎◎□□□川□□
v□◎◎□□□川□□
v□墓□□□□川□□
――――――――――――――――
□=ダダリ領
◎=館
V=堀
こうなると特にライオネに対する境が変わってくるので、堀を北西へ延長していきたいところ。
堀に沿って城壁や矢倉も建設したい。
堀の低さと城壁の高さで、より落差のある守りにできるはず。
そして、北の空いた土地は施設建設の格好のスペースだ。
さらに建設で言えば、東の魔境攻略で祠も建ててもらわなきゃだから、依然として大忙しである。
だが、ありがたいことに、昨日の結婚式で内政ポイントが2000から4000へ倍増していたからな。
そいつをとりあえずこんな感じに割り振っておく。
2000(農100 / 工500 / 建設1400)
↓
4000(農100 / 工1000 / 建設2900)
とにかく今は建設を重視するのは変わらない。
これで今までの倍以上の建設能力がブーストされるはずだ。
農業は後々は一番大事になるが、今はリソースを割く余裕がない。
ただ、100だけでも振っておくと飢饉の確率が減るので、据え置きにしている。
そして工業。
これも今回倍増させる必要がどうしてもあった。
工業1000……
これだけあれば『鍛冶屋』が育つ。
つまり、鉄製品を国産できるのである。




