第25話 私に怖いものなどない!
俺の部屋で……
女騎士ナディア・エルゾーナはあの厳めしい全身鎧をひとつずつ取り外していき、とうとうTバック型の黒いパンティにスポーツ・ブラだけの下着姿になった。
ふわり♡
筋骨のはっきりとした肉体に、長く美しい金髪がリボンのように踊る。
俺はそのスポーツ・ブラの巨乳を右手でむにゅりと掴みながら言った。
「ナディア……本当にいいのか?」
「負けてしまったのだから仕方あるまい。武人に二言はないぞ」
「そうか」
というので、俺は首筋へひとつキスをしてみせた。
「う……ッ」
慣れない地声の呻き。
ナディアは18歳、俺より3つ上の女性だが……
しなやかで細身ながら、腕や腿、背中など鍛えられた裸は、ひたむきな人生を物語るようであった。
「本当に武一筋で生きてきたんだな」
「当然だ。そなたと結婚してもそれは変わらぬ」
それからゆっくりと彼女の下着を脱がせてやり、やさしくシーツへ誘うと、女の白い肩がカタカタと震えているのに気づく。
「怖いのか?」
「なッ、そ、そんなわけあるか! 私に怖いものなどない!」
「肩、震えてるぞ」
「こ……これは……その……武者震いだ!」
強がる青い瞳がこちらをキツく睨む。
俺はその美しい金髪の頭をなでてやりながらピトリと唇を合わせた。
「んんッ?……むう♡♡」
素晴らしい形の唇が俺の唇の内でパクパクと戸惑っている。
なんつーか、これまで友達だと思っていた女とのキスは妙なテレがあるな。
「ぷはッ……むむ、これは……悪くない心地だ。もっとせよ」
「よしきた」
チュッ♡ チュッ♡ チュッ♡……
さて。
部屋のランプは白いシーツと裸をあざやかなオレンジ色に染めている。
そのランプの油が切れて月明りを頼りにする頃、最初はぎこちなかったナディアもすっかり女となり燃え盛っていた。
頂点に達するたびにその鍛え抜かれた腹筋にはグッ、グッと力がこもる。
「はぁ、はぁ、はぁ……アルト殿。も、もう一戦、もう一戦手合わせ願おう!」
「しょ、しょーがねえなぁ」
「こ、今度こそ負けぬぞ……♡」
汗ばむ肌にリボンのごとく舞う黄金の髪。
胸筋に支えられた確固たる乳房。
発揮されるたくましい尻と力強い太ももの運動量。
騎士として磨き上げられた彼女の肉体の力が一気に女の喜びへと一枚一枚開花してゆく様は扇情を通り越し、生命の神秘さえ黙示されていた。
「はー! はー! はー!」
で、ようやくキリがついたのは空も明るんでくる時刻であった。
「こ、これが嫁というものか。悪くない……♡♡」
ナディアはうつ伏せになって俺の胸へ頬をうずめながら、そんなふうにつぶやいた。
「はー、はー、はー、そうかよ……」
「むッ、なんだ? そなたは嬉しくなかったのか?」
「そういうわけじゃねえけど、ものには限度というものがあるだろ」
俺は朝の鳥がチュンチュン鳴くのを聞きながらあきれる。
「それはお互い様ではないか」
「まあ、そうだけどさ」
俺はうつ伏せのナディアの尻をなでながら答える。
「ッ……」
こうしているとまた始まってしまいそうだが、今度はさすがにいつの間にか眠っていたらしかった。
◇
ところでステータス上、俺の嫁はまだ2人であった。
すなわちリリアとノンナである。
ちなみに、王都の母娘やステラについては『嫁』とカウントされていないようだ。
ナディアを「嫁3」にするためには、神木の前で正式に結婚式を挙げなければならないのだろう。
だが……
ナディアは立場のある女性だ。
マジで結婚しようとすると、王都へ行ってナイトの称号と役職を返上しなければならなくなる。
それは彼女の武一筋の結晶。
あまりにももったいない。
ので、正式な結婚はせず俺とは恋人として関係を持ちながらこれまで通り王城で仕えていったらどうだ、と提案した。
もちろん嫁ブーストはしたいけど、人の人生には代えられないものな。
だけれど……
「却下だ」
ナディアはいつもの全身鎧の鉄仮面の顔でそう答えた。
「なぜに!?」
「結婚すると約束したはずだ。約束はちゃんと守ってもらおう」
あれ、いつの間にか俺が約束を守る側になってる!?
「でもいいのかよ。ナイトなんて並大抵の努力でなれるもんじゃないだろ? いわばお前の武一筋の結晶じゃん」
「そんなものはどうでもよい」
「ふえ??」
「昨晩、わかったのだ。この胸の鼓動……」
ナディアは鉄兜を取り素顔を出すと、女らしく胸に両手をあてて続ける。
「……私の武人としての一生は、そなたのそばに居て、そなたに挑み続けるためにあるのだと!!」
よくわからんけど、そこまで俺との勝負にこだわっているのか。
「それに……嬉しかった」
「は? なにが?」
「そなたは初めて私を女として見て、愛してくれた。それが嬉しかったのだ」
「ナディア……」
俺がそっと手を握ると、基本クール無表情だったナディアがニコッとほほえんでくれた。
ちなみに……
それまで3人目の嫁というのに少なからず反感を覚えていたらしいリリアとノンナも、これを聞いてナディアの嫁入りを快く認めるようになったのだそうな。




